無限級数の性質と便利な公式 〜その1〜

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無限級数同士を足す・引く

私たちはこれまでで無限級数が収束するか・発散するかを調べることができるようになりました。

計算としては部分和を求めて、その極限を計算する、これだけですね。

この手順を踏んで収束することが確認できた数列を2つ \(a_{n},\ b_{n}\) 用意します。

収束することが最重要です。どちらもちゃんと無限級数が収束するとします。そして、収束値を \(\alpha\ ,\ \beta\) としましょう。

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}a_{n}=\alpha\ ,\ \sum_{n=1}^{\infty}b_{n}=\beta\)

 

この時、次の無限級数はどうなるでしょうか。

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}(a_{n}+b_{n})\)

 

つまり先に数列を足してしまってから無限に足すのです。ここでの疑問は、「この数列は収束するのか・発散するのか」。そして、「収束するなら収束値はなんなのか」ですね。

結論から言うと実はこうできます。

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}(a_{n}+b_{n})=\sum_{n=1}^{\infty}a_{n}+\sum_{n=1}^{\infty}b_{n}\)

 

なんか直感的に当たり前な気もしますが、極限計算は当たり前が通用しないことがたくさんありますからこのように単純になることは驚きなのです。

つまり

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}(a_{n}+b_{n})=\sum_{n=1}^{\infty}a_{n}+\sum_{n=1}^{\infty}b_{n}=\alpha +\beta\)

 

と計算して良いことになります。

同様に引き算もできます。

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}(a_{n}-b_{n})=\sum_{n=1}^{\infty}a_{n}-\sum_{n=1}^{\infty}b_{n}=\alpha -\beta\)

 

 

これらの証明は高校数学の範囲では厳密にできません。気になる人はイプシロンデルタ論法が必要なのでその勉強をしてみてください。ここではこの公式を認めることにします。

さて、ここまで説明してきましたが、これの何が嬉しいのか今の所さっぱりだと思いますので少し使い道を示してみます。

例えばこんな無限級数を考えるとしましょう。

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\left(\frac{3}{2^{n}}-\frac{1}{3^{n}}\right)\)

 

シグマの中に入っているのが数列の一般項です。部分和ではありませんから気をつけてくださいね。一応書き下しておくと

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\left(\frac{3}{2^{n}}-\frac{1}{3^{n}}\right)=\left(\frac{3}{2}-\frac{1}{3}\right)+\left(\frac{3}{4}-\frac{1}{9}\right)+\cdots\ +\ \left(\frac{3}{2^{n}}-\frac{1}{3^{n}}\right)+\cdots\)

 

ですね。ではこれの部分和を計算することができるでしょうか。

じーっとみてると、よくこの形の時に出てくる隣同士が消えてくれるパターンに見えますがそうでもありません。このままだと数列自体私たちがよく知らないものなので、計算のしようがありませんよね。

このような時に先ほど出てきた無限級数の性質が役に立つのです。

数列の一般項を見ると、1項目と2項目それぞれは等比数列に見えます。等比数列の無限級数、つまり無限等比級数なら私たちは散々やってきました。

ですから

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\left(\frac{3}{2^{n}}-\frac{1}{3^{n}}\right)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{3}{2^{n}}+\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{3^{n}}\)

 

とできるのであれば計算ができそうなわけです。

もう気づきましたね。そうです。この変形が可能であると言ってくれたのが

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}(a_{n}+b_{n})=\sum_{n=1}^{\infty}a_{n}+\sum_{n=1}^{\infty}b_{n}=\alpha +\beta\)

 

の性質なのです。これなら計算が続けられそうですよね。

ただし最大の注意があります。この変形をして良いのは

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{3}{2^{n}}\ ,\ \sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{3^{n}}\)

 

これらの無限級数それぞれが「収束」する時「のみ」です。つまり片方もしくは両方が発散なり極限がない無限級数ならば、分けることすら許されません。

ですからこの変形ができることを確認しなければならないのです。確認の仕方は簡単。無限級数をそれぞれで「一旦」計算してみればいいのですね。

今回は

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{3}{2^{n}}\ ,\ \sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{3^{n}}\)

 

この2つの無限級数を考えればいいです。もちろんこれらは無限等比級数なので部分和はそれぞれ

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{3}{2^{n}}=\frac{3}{2}+\frac{3}{4}+\cdots +\frac{3}{2^{n}}+ \cdots\)

 

は初項 \(\frac{3}{2}\) 公比 \(\frac{1}{2}\) なので

 

部分和 \(\displaystyle=\frac{3}{2}+\frac{3}{4}+\cdots +\frac{3}{2^{n}}=\frac{\frac{3}{2}\left(1-\left(\frac{1}{2}\right)^{n}\right)}{1-\frac{1}{2}}=3\left(1-\left(\frac{1}{2}\right)^{n}\right)\)

 

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{3^{n}}=\frac{1}{3}+\frac{1}{9}+\cdots +\frac{1}{3^{n}}+\cdots\)

 

は初項 \(\frac{1}{3}\) 公比 \(\frac{1}{3}\) なので

 

部分和 \(\displaystyle=\frac{1}{3}+\frac{1}{9}+\cdots +\frac{1}{3^{n}}=\frac{\frac{1}{3}\left(1-\left(\frac{1}{3}\right)^{n}\right)}{1-\frac{1}{3}}=\frac{1}{2}\left(1-\left(\frac{1}{2}\right)^{n}\right)\)

 

 

になります。すなわち無限等比級数の計算は

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{3}{2^{n}}=\lim_{n\to\infty}3\left(1-\left(\frac{1}{2}\right)^{n}\right)\)

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{3^{n}}=\lim_{n\to\infty}\frac{1}{2}\left(1-\left(\frac{1}{2}\right)^{n}\right)\)

 

をやることと同じです。これはどちらも公比が \(-1<r<1\) であることがすぐにわかるので極限をとると

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{3}{2^{n}}=\lim_{n\to\infty}3\left(1-\left(\frac{1}{2}\right)^{n}\right)=3(1-0)=3\)

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{3^{n}}=\lim_{n\to\infty}\frac{1}{2}\left(1-\left(\frac{1}{2}\right)^{n}\right)=\frac{1}{2}(1-0)=\frac{1}{2}\)

 

です。つまりこの2つの無限級数はどちらも収束します。すなわち

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\left(\frac{3}{2^{n}}-\frac{1}{3^{n}}\right)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{3}{2^{n}}+\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{3^{n}}\)

 

とできる、と結論づけられるわけですね。

 

もちろん無限等比級数であることがわかっているならば公比と初項さえわかれば計算は簡単です。もし収束するなら収束値が

 

\(\frac{a}{1-r}\) 

 

(\(a\) は初項、\(r\) は公比) であることを使ってサクッと計算できましたよね。ここに詳細が書いています。

無限等比級数とは 導入と公式を解説
等比数列を無限に足す ここでやることは全く新しくありません。私自身もこれだけを取り上げて一つの記事にするのは少し疑問なのですが、高校数学では非常によく出てくるので、1つ記事使って解説しようと思います。 無限等比級数とは何かと言うと ...

こっちが主流な気もしますが今回は確認も兼ねて根本からやってみました。

ここまでくればあとは

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\left(\frac{3}{2^{n}}-\frac{1}{3^{n}}\right)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{3}{2^{n}}+\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{3^{n}}\)

 

と変形できたので、それぞれの無限等比級数を計算すれば良いです。もちろんこれは今まさにやっていたので

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\left(\frac{3}{2^{n}}-\frac{1}{3^{n}}\right)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{3}{2^{n}}+\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{3^{n}}=3-\frac{1}{2}=\frac{5}{2}\)

 

ですね。一見解けなさそうな無限級数でしたが、分けることができたおかげで計算ができました。

このように

 

無限級数における足し算引き算は、それぞれが「収束する時に限って」分けても良い

 

ということをしっかりと覚えてください。ここまでで使い道もちゃんとあることがわかったと思います。

無限級数の定数倍も外に出せる

同様にこのような無限級数の定数倍も外に出すことができます。

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}ka_{n}=k\sum_{n=1}^{\infty}a_{n}\)

 

\(k\) が定数倍です。つまり \(n\) に関係ない数字ということですね。これは先ほどと同様に

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}a_{n}\)

 

が収束する時のみに使えるので注意してください。これの使い道は詳しくは言いませんが、単純に定数倍は後からかけてもいいですよ、と言っているだけです。

まとめ

こんなに書くつもりではなかったのですが、使い道を説明しようとすると長くなってしまいました。ですが無限級数は扱い方を間違えるととんでもない答えを書いてしまう恐れがありますので念押しの意味も込めてたくさん書かせていただきました。とにかく「前提条件」をしっかりと確認してください。数学Ⅲの、特に極限については色々な制約が付きまといます。これをおろそかにするとできている気がするけどなんか間違っている状態になってしまうので気をつけてください。

ではまた。

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