「高校数学の知識庫」を今より10倍活用する方法

平均変化率と微分係数

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こんにちは。 da Vinch (@mathsouko_vinch)です。

 

 

平均変化率とは

関数について考えるとき、微分はかなりの威力を発揮します。ですが微分を理解するために一つ足踏みをしなければなりません。それが「平均変化率」です。

「平均変化率」なんてかっこいい言葉がついていますが、言ってしまえばこれは傾きです。傾きを求める式をかっこよく書いただけです。見てみましょう。

ある関数\(f(x)\)を考えます。この関数はもはや何でもOKです。数学Ⅰで学んだ関数に限りません。三角関数や指数関数・そしてこれから多く扱っていく3次関数・4次関数などでもよいです。

その関数上にある点を2つとります。これを\(A(a,f(a))\)、\(B(b,f(b))\)と書きます。要するに適当に\(x\)座標をとって関数上の点を考えただけですね。

図でいうとこんな感じです。

そして、線分ABを考え、傾きを考えてみます。

これは高校の範囲ではありませんね。もちろん\(x\)の増加量は\(b-a\)、\(y\)の増加量は\(f(b)-f(a)\)ですから、傾きは

$$\frac{f(b)-f(a)}{b-a}$$

となります。当たり前ですね。これを私たちは微分範囲では、

”\(x\)が\(a\)から\(b\)まで変化するときの”平均変化率

と呼びます。

適当に点を取ってその2点間の傾きを平均変化率と言っているにほかなりません。名前に惑わされないでくださいね。

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微分係数を考える

では、先ほどの平均変化率の\(b\)を\(a\)に限りなく近づけるとどうなるでしょうか。

どんどんと直線は下に降りていき、\(b\)が\(a\)に”ほぼ一致”するまで近づけると、それはまさに点\(A\)でのこの曲線の接線になります。

一致させることはできません。なぜなら一致させると傾きが考えられなくなってしまうからです。

ですがその”ギリギリまで近づけた”時には「平均変化率」が「点\(A\)での接線の傾き」になりますよね。

これを私たちは点\(A\)での「微分係数」と呼ぶことにしているのです。すなわち、この微分係数なるものは、”曲線の点\(A\)での接線”の傾きであるといえます。

これを式で書くときはこういう記号で書くことにします。

$$f'(a)=\lim_{b\to a}\frac{f(b)-f(a)}{b-a}$$

 

左は微分係数を表す記号です。関数に”‘(ダッシュ)”を付けて書くことにします。

そして先ほど説明した”\(b\)を\(a\)にギリギリまで近づける”という動作を\(\lim_{b\to a}\)という記号で書くことにします。これを「極限」といいます。

この極限について詳しく触れるのは数学Ⅲです。ここでは難しく考えずに、ギリギリまで近づける動作を表していると思いましょう。

これを少し書き換えることにします。なんてことはありません。\(a\)を\(x\)に替え、\(b\)を\(x+h\)と表すことにします。すなわち図がこのようになります。

\(b-a\)が\(h\)に、\(f(b)-f(a)\)が\(f(a+h)-f(a)\)に代わるだけなので、点\(A\)での微分係数は

$$f'(a)=\lim_{h\to 0}\frac{f(a+h)-f(a)}{h}$$

とも書けます。極限のところが\(h\to 0\)になっているところに注意してください。

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平均変化率と微分係数を求めてみる

少し問題を解いてみましょう。

 

関数\(f(x)=x^2-x\)について、次の問題に答えよ。

1.\(x=1\)から\(x=1+h\ (h\neq 0)\)まで変化するときの平均変化率

2.\(x=1\)における微分係数

3.曲線\(y=f(x)\)上の点\(A(t,f(t))\)における接線の傾きが\(-1\)となるとき、\(t\)を求めよ。

 

まずは1から。平均変化率は傾きなので、\(x\)の増加量と\(y\)の増加量を求めればいけるはずです。

\(x=1\)の時\(f(1)=1^2-1)=0\)、\(x=1+h\)の時\(f(1+h)=(1+h)^2-(1+h)=h^2+h\)なので、平均変化率は

$$\frac{h^2+h-0}{(1+h)-1}=\frac{h^2+h}{h}=h+1$$

となります。

2に移りましょう。2は微分係数ですね。\(x=1\)における微分係数なので、先ほどの式

$$f'(a)=\lim_{b\to a}\frac{f(b)-f(a)}{b-a}$$

でいうと、\(a\)が\(1\)に当たりますね。では\(b\)はどうするかというと、そのまま残して、最後に極限として\(b\to 1\)とします。この極限は、今の段階ではただ単に式変形が最終的に終わった段階で\(b=1\)にすると考えてOKです。

まずは式を作ります。微分係数の式は

$$f'(1)=\lim_{b\to 1}\frac{f(b)-f(1)}{b-1}$$

となります。\(f(b)=b^2-b\)、\(f(1)=0\)なので

$$f'(1)=\lim_{b \to 1}\frac{b^2-b-0}{b-1}=\lim_{b \to 1}\frac{b^2-b}{b-1}$$

となりますが、まだ式変形ができるので代入しては行けません。今代入すると分母が0になってしまいますからね。

$$f'(1)=\lim_{b \to 1}\frac{b(b-1)}{b-1}$$

とくくれば

$$f'(1)=\lim_{b\to 1}\frac{b(b-1)}{b-1}=\lim_{b \to 1}b=1$$

と計算できます。最後は\(b=1\)としただけです。これで微分係数が1と分かったので、\(x=1\)という点での接線の傾きが1と分かりました。

最後に3です。これは今の問題の逆ですね。”接線の傾きが与えられている=微分係数がわかっている”ですから、まずは微分係数の式を作ってみます。

\(x=t\)での微分係数で

$$f'(x)=\lim_{h\to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}$$

を使ってみると

$$f'(t)=\lim_{h\to 0}\frac{f(t+h)-f(t)}{h}$$

です。求められる値を計算していきます。

$$f'(t)=\lim_{h\to 0}\frac{f(t+h)-f(t)}{h}=\lim_{h\to 0}\frac{\{(t+h)^2-(t+h)\}-(t^2-t)}{h}=\lim_{h\to 0}\frac{2th+h^2-h}{h}$$

と計算できます。このまま極限をとるわけにはいかないので\(h\)で約分します。

$$f'(t)=\lim_{h\to 0}\frac{2th+h^2-h}{h}=\lim_{h\to 0}(2t+h-1)=2t-1$$

と計算できました。

これが今回は\(-1\)なので

$$2t-1=-1$$

より

$$t=0$$

と計算できました。これは\(x=0\)での接線の傾きが\(-1\)であることを意味しています。

終わりに

平均変化率と微分係数は微分のイメージをつけるためには欠かせないものです。センター試験でもこの平均変化率の式を書かせる問題が出たほどです。定義に戻ってしっかり理解してほしいのでしょう。ここが微分の基礎になりますのでゆっくり理解していきましょう。

ではまた。

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微分と積分
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コメント

  1. […] 微分係数の記事で微分係数とは […]

  2. FECHNER374 より:

    Thank you!!1

    • da Vinch da Vinch より:

      You’re welcome!!

      Thank you for visiting my website. I hope you improve your skills to use my mathematics website!!

      Regards, da Vinch