「高校数学の知識庫」を今より10倍活用する方法

係数に文字を含む関数の最大値・最小値

スポンサーリンク

 


 

 

こんにちは。 da Vinch (@mathsouko_vinch)です。

 

 

文字が含むとどう変わる?

最大値・最小値の問題には2次関数でもあった通り、文字が含むことも多いです。その場合にどう解いていくかはその問題によって違いますが、まずやることはやはり「グラフを書く」ことです。これをしない限りは特に文字が入った関数の最大・最小値の問題を攻略することは難しいでしょう。

というわけで文字が入ってもやはりやることはグラフを書くこと、すなわち3次関数以上であれば「微分」ですね。増減表を書いてグラフを書くことからはじめるわけです。一つ例をとってグラフを有効活用する術を見てみましょう。

いったん広告の時間です。

スポンサーリンク

微分を使って当たりをつける

例えばこの問題を解いてみましょう。

\(a\)を正の定数とする。3次関数 \(y=x^3-2ax^2+a^2 x\) の \(0\leq x \leq 1\)での最大値を求めよ。

 

関数に文字が入っていますが、やることはただ一つ。まずは微分をして増減表を書きます。

微分すると、

$$y’=3x^2-4ax+a^2$$

なので\(y’=0\)としてその時の\(x\)を求めてみると、

$$3x^2-4ax+a^2=(3x-a)(x-a)=0$$

であるので

$$x=\frac{a}{3}\ ,\ a$$

となります。ですので増減表を書くと次のようになります。

ここまでは大丈夫ですね。

さて、今定義域は \(0\leq x \leq 1\) であるので、グラフを書きたいところですが、グラフの極値に文字が入っており、位置を定められません。

今欲しいのは「最大値」ですから、最大値がどう変わるかが重要です。すなわち、文字がこの時は最大値がこうなる」という情報が欲しいわけです。

これは一発でわかるものではありません。最大値がどう変わるかを、定義域を動かしてみていくことが大事になります。

わかるところは書いておいて、変化するところをみていきましょう。

例えば次のようになる場合があるでしょう。

こんな風になるグラフの場合は \(x=1\) で最大値をとります。ですがこればっかりではありませんね。\(1\)がもっと小さい場合は最大値が変わりそうです。

ちょうど最大値が \(\frac{4}{27}a^3\) と同じになるような\(1\)の場所がありそうです。これを越えると、

\(1\)ではなく \(\frac{a}{3}\)で最大値 \(\frac{4}{27}a^3\) を取っています。ではもう少し小さくしていくとどうなるでしょうか。最大値が変化する場所がありますでしょうか。

山を越えると、最大値が変化します。この時は最大値がまた\(x=1\)で取ることになります。

このように最大値がどうなるかは、最大値がどこで変化していくのかをグラフを変化させながら(定義域の場所を変えながら)判断をしていきます。

今回の場合、一番最初に見た通り、最大値が\(\frac{4}{27}a^3\) になるところでまずは最大値が変化しますので、最大値が\(\frac{4}{27}a^3\) になるような\(x\)の値を求めておきましょう。

すなわち

$$\frac{4}{27}a^3=x^3-2ax^2+a^2 x$$

これは \(x=\frac{a}{3}\) を解に持つことはわかっているので、3次方程式をとけばいいですね。因数分解すると、

$$(x-\frac{a}{3})(x^2-\frac{5}{3}+\frac{4}{9}a^2)=0$$

$$(x-\frac{a}{3})(x-\frac{a}{3})(x-\frac{4}{3}a)$$

なので

$$x=\frac{a}{3}\ ,\ \frac{4}{3}a$$

となります。ということは\(\frac{4}{3}a\)が1より小さいときは\(x=1\)で最大値をとることになります。

この図ですね。

よって\(\frac{4}{3}a<1\)すなわち\(a<\frac{3}{4}\)の時、

$$x=1で最大値 f(1)=1-2a+a^2=a^2-2a+1 をとる$$

ことになります。

次は、\(\frac{4}{3}a>1\) の時ですが、もちろん\(\frac{a}{3}\)を超えると最大値が変化しますので

\(\frac{a}{3}<1<\frac{4}{3}a\)すなわち\(\frac{3}{4}<a<3\)のときは

このような図ですから、

$$x=\frac{a}{3}のとき最大値f(\frac{a}{3})=\frac{4}{27}a^3をとる$$

ことになります。

最後は\(\frac{a}{3}>1\)すなわち\(a>3\)の時ですね。

これは

という図ですから、

$$x=1のとき最大値f(1)=a^2-2a+1をとる$$

ということが分かります。これで終わりですね。\(a\)は正の定数であるので、それを考慮しておきます。

まとめると、

\(0<a<\frac{3}{4}\ ,\ a>3\)のとき最大値は \(a^2-2a+1\)

\(\frac{3}{4}\leq a\leq 3\)のとき最大値は \(\frac{4}{27}a^3\)

です。ちょうど変わるところはどちらでもいいので範囲としては下のほうに入れておきました。また、同じ最大値になるところはまとめて書きました。

このように、最大・最小は「どこで最大・最小が変化するのか」をメインに考えていけば、場合分けの場所が見えてきます。見ただけでわかるものではありませんのでしっかり取り組むことをお勧めします。

終わりに

関数の最大・最小は関数の問題の中でも1・2を争うほどよく出てくる問題ですし、大事な問題です。特にこのような応用問題は何かを使えば解けるとか、すぐに答えがわかるということはありません。じっくり考えて慣れることで簡単に答えを導き出せるようになるものです。大変ではありますが、少しづつ理解していきましょう。

ではまた。

スポンサーリンク
微分と積分
スポンサーリンク
高校数学の知識庫

コメント