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2倍角・半角は覚えるな! 三角関数の公式を効率よく理解する方法

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三角関数の公式は多い?

三角関数は好きですか?嫌いですか?

多くの人は「嫌い」でしょうね。そもそも数学が嫌いという人が多い世の中ですから無理もありません。

嫌いな人はなぜ嫌いなのでしょうか。その理由の一つに

公式が多すぎる

ということが挙げられるのではないでしょうか。最初の単位円の話をやっと超えたと思いきや、すぐさまいろんな公式がどんどんと出て来て覚えなさいと言われる。

気持ちがすごくわかります。管理人もそうでした。

ですが正直なところをいうと「こんなこと」で三角関数が苦手だというのはもったいないです。

なぜなら

三角関数の公式のほとんどが「ある」一つの公式で作れる

からです。

実は教科書はそのようにちゃーんと導出しているのですが、先生はそこを軽視して「覚えなさい」と言います。

管理人の考えは違います。私は公式は「使って覚える」ものだと思っていますから。

だってそうでしょう。学校の先生や塾の先生だって最初はみなさんと同じ立場だったんです。それが今では何も考えずとも頭の中に公式が出てくる。そうなったのはたくさん「使った」からです。覚えようとして覚えたのではないはずです。

”でも覚えないと使えないんじゃないの?”

という声が聞こえて来ます。そうですね。確かにそうです。

しかし三角関数の莫大な数(20個ぐらいでしょうが)の公式は一つの公式でほとんどが「作れて」しまうのです。

作れるということは忘れても大丈夫ということになります。自分にとっても忘れた時の保険になるわけです。また作ることを通して、別の問題へのアプローチが可能になる例もあります。

というわけで三角関数の公式は「使って覚える」ことを理解すれば脳のメモリーを節約できますし、問題の本質を捉えたい時に公式を覚えてないという理由で横槍を指すことも無くなります。


作ることが面倒だという人はそれでも構いません。ですが数学はいかに「効率よく」できるかが鍵です。公式を覚えることがゴールではありません。公式は「当たり前」になって初めて武器になるのです。そのためのスタートラインであることを忘れないでください。


前置きが長くなってしまいました。早速いきましょう。

先ほど話した一つの公式とは

加法定理

です。

いったん広告の時間です。

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加法定理から2倍角、2倍角から半角

加法定理は次のような公式でした。

$$\sin(\alpha +\beta)=\sin\alpha\cos\beta +\cos\alpha\sin\beta$$

$$\cos(\alpha +\beta)=\cos\alpha\cos\beta -\sin\alpha\sin\beta$$

まずこの公式だけを暗唱できるようにしましょう。それだけでOKです。

ここからまずは2倍角を作ります。加法定理の\(\beta\)を\(\alpha\)に変えるだけです。やってみると、

$$\sin(\alpha +\alpha)=\sin\alpha\cos\alpha +\cos\alpha\sin\alpha=2\cos\alpha\sin\alpha$$

$$\cos(\alpha +\alpha)=\cos\alpha\cos\alpha -\sin\alpha\sin\alpha=\cos^2\alpha -\sin^2\alpha$$

ですね。ということは

$$\sin2\alpha=2\cos\alpha\sin\alpha$$

$$\cos2\alpha=\cos^2\alpha -\sin^2\alpha$$

となります。まさにこれは2倍角ですよね。

この流れをとにかく一人でできるまで繰り返してください。何度もです。2倍角を使わなければいけない問題に立ち会って、公式がわからなかったら今の流れをやって「作って」ください。

そしてコサインの2倍角はあと二つ書き方があります。

$$\sin^2\alpha +cos^2\alpha=1$$

ですからこれを使ってサインだけ、コサインだけの2倍角も作れます。

$$\cos2\alpha=\cos^2\alpha -\sin^2\alpha=1-\sin^2\alpha -\sin^2\alpha=1-2\sin^2\alpha$$

$$\cos2\alpha=\cos^2\alpha -\sin^2\alpha=\cos^2\alpha – (1-\cos^2\alpha)=2\cos^2\alpha -1$$

できましたね。必ず一緒に紙に書いてください。そしてこの記事を見なくとも自分で書けるように練習しましょう。

さて、これで2倍角は出せました。次は半角です。これはコサインの2倍角を使えばすぐです。

今出した

$$\cos2\alpha=1-2\sin^2\alpha$$

$$\cos2\alpha=2\cos^2\alpha -1$$

を見て、これを\(\sin^2\alpha\)、\(\cos^2\alpha\)についてそれぞれ解けば

$$\cos2\alpha=1-2\sin^2\alpha$$

より

$$1-2\sin^2\alpha=\cos2\alpha$$

$$-2\sin^2\alpha=-1+\cos2\alpha$$

$$\sin^2\alpha=\frac{1-\cos2\alpha}{2}$$

これは半角の公式そのものです。同じようにすれば

$$\cos2\alpha=2\cos^2\alpha -1$$

より

$$\cos^2\alpha=\frac{1+\cos2\alpha}{2}$$

であります。半角も加法定理・2倍角から作れましたね。

まとめ

加法定理を使えば2倍角、そしてそこから半角の公式も作れることがわかりました。途中にも書きましたが、これは自分でできないと意味がありません。とにかく出て来たら計算スペースにこれを書く or 頭の中で考えて作ってください。覚えようとしなくて良いのです。頭に刷り込んでいくイメージで進めてみてください。

ではまた。

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