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相加相乗平均とは? 相加平均と相乗平均の大小関係について

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こんにちは。 da Vinch (@mathsouko_vinch)です。

 

 

相加平均とは

相加平均とは実は簡単で、私たちの普段考えている平均と同じです。

要するに

 

全ての数を足してその個数で割る

 

ことです。数学2のこの範囲では基本的に2つの数の平均をとります。それを相加平均と呼びます。

例えば2つの数abがあり、その相加平均を求めると

 

$$\frac{a+b}{2}$$

 

になります。簡単ですね。

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相乗平均とは

相乗平均とはまたの名を幾何平均とも言います。

とりあえず定義を言っておくと、2つの数字 \(a\) 、\(b\) があった時その相乗平均は

 

$$\sqrt{ab}$$

 

で表されます。かけてルートです。簡単ですね。

ですがこの相乗平均は一体何者なのかを疑問に思う人もいると思うので少し解説をしておきます。

相乗平均は何かというと

 

面積で考えた平均

 

と言えるでしょう。

ある数 \(a\) 、\(b\) の相乗平均は実は図示できます。

ルートの中にある \(ab\) とは辺の長さが \(a\) 、\(b\) の長方形の面積です。

 

 

 

これのルートを取ってできた数字というのは実はこの長方形の面積と同じになるような正方形の一辺の長さです。

 

 

具体的にやってみましょう。例えば \(a\) 、 \(b\) がそれぞれ \(9\) 、\(4\) だったとしましょう。この長方形の面積は

 

$$9 \times 4=36$$

 

です。これのルートを取ると

 

$$\sqrt{36}=6$$

 

ですが、この値を一辺とする正方形の面積はもちろん

 

$$6\times 6=36$$

 

です。すなわち相乗平均は長方形のそれぞれの辺を伸ばしたり縮めたりして面積が同じになるように正方形にした時の辺の長さに対応するのです。

 

 

これが相乗平均の正体です。実際に私たちの身の回りでは利回りなどを計算するときに使ったりします。

ちなみにこの相乗平均に出てくるabですが必ず

 

正の数

 

です。辺の長さとして考えられるのはもちろん正の数ですもんね。

これが後々大事な条件になってきますので注意してください。

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相加平均と相乗平均の関係

これまで相加平均と相乗平均について説明してきましたが、実はこの2つの平均には絶対に成り立つ不等式があります。

それが教科書に出ている相加平均と相乗平均の関係というものです。

 

 

相加平均相乗平均の関係

 

$$\frac{a+b}{2}\geqq\sqrt{ab}$$

 

 

実は正の数に対して(ここ大事)相加平均の方が相乗平均よりも必ず大きくなります

正確にいうと2つの数が同じであれば相加平均と相乗平均は等しくなる

 

$$\frac{a+a}{2}=\sqrt{a^2}$$

 

ので不等号にはイコールが付きます。

 

そして今お話ししたこの不等式の等号が成り立つ=相加平均と相乗平均が等しくなる時は

 

2つの数字が同じ すなわち a=b

 

の時です。これを等号成立条件といいます。カッコ良く書いていますが要は相加平均と相乗平均が等しくなる時はこんな数字の時ですというのを確認するための式です。

ですが気をつけてほしいことは、この不等式は絶対不等式なのでこの式の等号が成立する値が必ずあるとは限りません。

ですので問題によっては等号が成立するような数字があることを確認しなければならない場合もあります。

なぜ成り立つかは次の記事で解説していますので気になる方はご覧ください。

記事

以下で例を交えながら解説します。

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相加平均と相乗平均の関係の使いどころ

例えばこんな問題の時に使えます。

 

 

ポイントは2つの数字が正でかつ逆数の関係になっていることです。

これに対してどのように使うか。実は相加平均と相乗平均の関係は次のように書き換えることで威力を発揮します。

 

$$a+b\geqq 2\sqrt{ab}$$

 

ただ2を右辺に移しただけです。ですがこれで

 

2数の和に対して最小値を出せる形

 

であることが見やすくなります。これに当てはめれば、

 

$$t+\frac{1}{t}\geqq 2\sqrt{t\cdot \frac{1}{t}}$$

 

$$t+\frac{1}{t}\geqq 2$$

 

となり、右辺に文字がなくなります。これで2数の和の最小値がいとも簡単にわかってしまうのです。

ですが、先程注意した通りこの不等式はあくまで絶対不等式です。つまり本当に最小値が2になるような \(t\) があるかどうか実はわからないのです。

もしかするとこの2数の和の最小値は実際には5かもしれないですしわかりません。絶対不等式とはこのような怖さがあります。つまりこの不等式だけを導いただけだと

 

最小値はたしかに2だけど本当に2になるような数字があるかはわからない

 

となるのです。ですから最小値が2であるような数字がたしかにあることを示さなくてはいけないのですね。

ここで等号成立条件が活躍します。最小になるすなわち等号が成り立つような数字は

 

$$t=\frac{1}{t}$$

 

で確かめられるのでしたね。これをとくと

 

$$t^2=1$$

 

で \(t>0\) より

 

$$t=1$$

 

になりたしかにあります。これでやっと最小値が2であることを自信を持って言えるわけです。

まとめ

相加平均と相乗平均の関係は使いどころがまだまだあります。ですがまずは関係式をしっかり覚えて使いどきを見極めることが重要です。使える時と使えない時の判断が応用の場面で大事になってきます。

ではまた

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