「高校数学の知識庫」を今より10倍活用する方法

共通部分と和集合 法則とその意味

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こんにちは。 da Vinch (@mathsouko_vinch)です。

 

 

共通部分と和集合の関係

2つの集合を考えた時、次のような関係が考えられます。

(1)  2つの集合が独立している

 

 

(2)  2つの集合が全く同じ

 

 

(3)  片方の集合がもう片方に完全に含まれる

 

 

(3)  2つの集合で一部共通する要素がある

 

 

高校数学では最後の (4をよく扱います。(3) は部分集合といってそこそこ出てきますが、(1)、(2) の集合の関係はあまり面白くありませんからね(笑)。

そして特に (3) の関係にある集合について次のような「共通範囲」「和集合」を考えることができます。

ちなみにこちらの記事

集合とベン図の使い方
  こんにちは。 da Vinch (@mathsouko_vinch)です。   集合とは 「集合」と聞いて体育の授業を思い出した人もいるでしょうか。ここで扱うのは数学における集合です。 日常的には集合はものが集まっているイ...

にも載っていますので是非参照ください。

この時、2つの集合どちらにも入っている部分を共通範囲と言います。記号は「 \(\cap\) 」を使います。

ベン図だと

 

 

の部分ですね。

また、和集合はどちらかの集合に入っているもしくはどちらにも入っている部分のことを言います。記号は 「\(\cup\) 」を使い、ベン図だと

 

 

の部分ですね。

実はこの和集合と共通部分には重要な関係があります。それは

 

\(A\cup B= A + B\ -\ A\cap B\)

 

です。つまり和集合はそれぞれの集合と、2つの集合の共通範囲から求めることができるのです。

この公式は集合を考える上では欠かせません。まずはなぜこの公式が成り立つのかを簡単に示しておきましょう。

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公式の証明

実はこの公式、とても当たり前のことを言っています。

和集合を考えたい時、2つの集合をそのまま足すだけで良いように見えるのですが、2つの集合に共通範囲があるとそうはいきません

なぜなら単純に足し算をしてしまうと。もし2つの集合のどちらにも属する数字があるなら二重に数えてしまうからです。

例えば

\(A=\{1,3,4,6,7\}\)

\(B=\{2,5,6,9\}\)

 

という集合を考えたとき、和集合はここから

 

\(A\cup B=\{1,2,3,4,5,6,7,9\}\)

 

ですが、単純に集合 A と B を足してしまうと、

 

\(A+B=\{1,2,3,4,5,6,6,7,9\}\)

 

と \(6\) が2つ入ってしまいます。これは集合AにもBにも \(6\) が入っているからですよね。

どちらにも属する数字 \(=\) 共通範囲に入る数字なので、その分を引いてあげれば欲しい和集合を求めることができるというわけです。今回の例でいえば

 

\(A+B\ -\ A\cap B=\{1,2,3,4,5,6,6,7,9\}-\{6\}=\{1,2,3,4,5,6,7,9\}=A\cup B\)

です。

ベン図で考えるとさらにわかりやすいです。

 

 

単純に足すと明らかに共通範囲のところで重なってしまいますよね。欲しいのは和集合ですから共通範囲の部分を引いてあげれば良さそうです。

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使える場面の例

どんな場面で使うのか、その有名な例を挙げておきましょう。

 

 

ある塾で数学のテストと英語のテストが行われた。その塾の全生徒数は60人で、数学のテストを受けた生徒は31人、英語のテストを受けた生徒は33人、数学・英語両方のテストを受けた生徒は14人いたという。この時、次の問題に答えよ。

 

(1) 数学のテストと英語のテストを少なくとも一方は受けた生徒は何人いるか。

(2) 数学のテストも英語のテストも受けなかった生徒は何人いるか。

 

 

一見すると出せそうにない和集合ですが、先ほどの考え方を用いると簡単に出せてしまいます。

まずは集合で考える準備です。集合として

 

\(A=\) 数学のテストを受けた生徒

\(B=\) 英語のテストを受けた生徒

 

を考えましょう。こうすると (1) で求めたいものは \(A\cup B\) となりますね。

また

Aに入る人数\(=\) 31

Bに入る人数\(=\) 33

\(A\cap B\) に入る人数\(=\) 14

となります。整理できましたか?

では \(A\cup B\) はどうすれば求められるでしょうか。これはもちろん、それぞれの集合に入る人数と共通範囲に入っている人数がわかっているので公式を使えばすぐに

 

\(A\cup B=A+B- A\cap B=31+33-14=50\)

 

で出てきます。公式で簡単に和集合が分かるといろいろな集合に属する人数を求めることができます。

(2) の問題は和集合がわかったのですぐにその補集合を考えれば良いです。なぜなら

 

どちらも受けていない生徒数 \(=\) 全体の生徒数 \(-\) 少なくとも一方は受けた生徒数

 

ですからね。よって計算としては

 

\(60-50=10\)

 

で10人と出てきました。

ベン図とも対応させるとさらにわかりやすいでしょう。

 

 

このように和集合が分かると集合の詳細がどんどんわかってきますね。

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集合が3つになってもできる?

実はこの公式、集合が3つになってもできます。ベン図は

 

 

になりますが、ここで3つの集合の和集合 

 

\(A\cup B\cup C=A+B+C-A\cap B-B\cap C-C\cap A+A\cap B\cap C\)

 

で出すことができます。長ったらしくて覚える気になりませんが、実はやってることはやはり単純で

まず全部足して

 

\(A+B+C\)

 

これだと集合2つの時にやったように数えすぎなので

 

\(A+B+C-A\cap B-B\cap C-C\cap A\)

 

2つの集合の共通範囲を引きます。ですがこれをやると次は3つの集合の共通範囲の部分を引きすぎているので

 

\(A+B+C-A\cap B-\B\cap C-C\cap A+A\cap B\cap C\)

 

 

と引きすぎた分を足します。そうすれば和集合が求められますね。ベン図とも対応させてみてください。

 

 

覚える際には、公式の内容とどうしてそうなるのかをイメージできるようにしておくと良いです。

まとめ

集合の重要な公式が出てきました。言っていることは理解すると当たり前のことなので難しく考えすぎないように。使えるところが多い公式の一つですのでしっかりと使いこなしたいところです。

ではまた。

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