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積の微分 公式と証明 覚え方も

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こんにちは。 da Vinch (@mathsouko_vinch)です。

この記事のトピックは「積の微分公式とその解説」です。

 

積の微分公式とは

数学3の微分でまず覚えておきたいのがこの「積の微分」の公式。これを知らないと微分ができないと言っても過言ではないです。

微分をする対象となる関数は単純な一つの関数で表されるだけではないですよね。

例えば

 

\(\displaystyle y=\sin x \cos x\)

 

こんな関数。これは \(\sin\) や \(\cos\) 単体なら微分することが可能なことは後々わかりますが、このように掛け算になっていると太刀打ちできません

もちろんこれだけではなく、

 

\(\displaystyle y=(x+2)(2x+3)\)

 

こんなのも普通には微分できないですね。数学Ⅱの範囲ではこういう場合、展開してから微分するのがお馴染みでした。

ですが見方を変えればこれは

 

\((x+2)\) と \((2x+3)\) の掛け算

 

ですよね。このように「ある関数とある関数が掛け算の形になって全体の関数ができている」ときに今回学ぶ積の微分公式が役立ちます。

実際にやってみましょう。この積の形をした関数を微分する時にはこのような公式があります。

 

 

関数 \(f(x)\) 、\(g(x)\) がともに微分可能である時、

 

\(\{f(x)g(x)\}’=f’(x)g(x)+f(x)g’(x)\)

 

である。

 

 

何を言っているかというと

 

積の微分は、「前を微分、後ろそのまま + 前をそのまま、後ろ微分」である

 

というただそれだけです。例えば先ほどの関数

 

\(\displaystyle y=(x+2)(2x+3)\)

 

を微分すると実は

 

\begin{eqnarray}y’&=&(x+2)’\cdot (2x+3)+ (x+2)\cdot (2x+3)’&=&1\cdot (2x+3)+2\cdot (x+2)\cdot 2&=&2x+3+2x+4&=&4x+7\end{eqnarray}

 

となるのです。なんだか難しそうですがやっていることは単純。

 

「前を微分して後ろそのまま」、これに「前をそのまま後ろを微分」を足すだけ

 

です。後は展開したりして計算を進めるだけですね。

なんだか騙された感じですが、先ほどの微分は「展開」してもできるはずなのでやってみましょうか。

 

\(\displaystyle y=(x+2)(2x+3)=2x^2+7x+6\)

 

ですので、微分すると

 

\(\displaystyle y’=4x+7\)

 

で同じですね。これぐらいの関数であれば展開したほうが楽ですが、今後数学Ⅲで出てくる関数たちは積の微分を使えないと計算できないものばかりなので必ずおさえましょう。

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積の微分公式の証明

この微分公式は正直言って使えるようになるのが重要なので証明はあまり意識しなくても良いでしょう。

ただ、証明なしに使うのはちょっと気持ち悪いと思うのでさくっと証明しておきましょう。定義を使うだけで全く難しくありません。

まず関数 \(f(x)\) 、\(g(x)\) はともに微分可能であるので、

 

\(\displaystyle f’(x)=\lim_{h\to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\)

\(\displaystyle g’(x)=\lim_{h\to 0}\frac{g(x+h)-g(x)}{h}\)

 

ですね。これは微分の定義です。\(h\) は関数上のある二点の\(x\) 座標の差でしたね。ここではそこまで詳しく考えなくてもOKです。この形を使うだけですので。

さて、欲しい微分はなんだったかというと

 

\(\{f(x)g(x)\}’\)

 

ですが、これはもちろん \(f(x)g(x)\) を一つの関数と見れば、微分の定義より

 

\(\displaystyle \{f(x)g(x)\}’= \lim_{h\to 0}\frac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)}{h}\)

 

とできますね。これにちょっと細工をします。

 

\begin{eqnarray}{f(x)g(x)}’&=&\lim_{h\to 0}\frac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)}{h}\\[5pt]&=&\lim_{h\to 0}\frac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x+h)+f(x)g(x+h)-f(x)g(x)}{h}\\[5pt]&=&\lim_{h\to 0}\frac{(f(x+h)-f(x))g(x+h)+f(x)(g(x+h)-g(x))}{h}\end{eqnarray}

 

二つ目の式が大事ですね。\(-f(x)g(x+h)+f(x)g(x+h)\) という打ち消し合う項を無理やり入れて、括ることで最後の形にしました。

これで何が嬉しいかというと、

 

\begin{eqnarray}{f(x)g(x)}’&=& \lim_{h\to 0}\frac{(f(x+h)-f(x))g(x+h)+f(x)(g(x+h)-g(x))}{h}\\[5pt]&=& \lim_{h\to 0}\left\{\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\cdot g(x+h)+ f(x)\cdot\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\right\}\end{eqnarray}

 

なんと

 

\(\displaystyle f’(x)=\lim_{h\to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\)

\(\displaystyle g’(x)=\lim_{h\to 0}\frac{g(x+h)-g(x)}{h}\)

 

これらが現れてくれました。もちろん

 

\(\displaystyle \lim_{h\to 0}g(x+h)=g(x)\)

 

です。\(g(x)\)は微分可能なので、連続ですものね。\(h=0\) で折れたり、値が飛んでいたりはしていないです。わからない人はこちらを見ると良いでしょう。

 

関数の連続性とは 定義から調べ方まで
なぜ極限を学ぶのか みなさんは数学Ⅲまでで数多くの関数を勉強してきました。中学生の時は 一次関数と反比例から始まり 二次関数 高校からは二次関数が少しパワーアップして 三角関数 ...

 

というわけで、結果的に

 

\begin{eqnarray}{f(x)g(x)}’&=& \lim_{h\to 0}\left\{\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\cdot g(x+h)+ f(x)\cdot\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\right\}\\[5pt]&=&f’(x)(g(x)+f(x)g’(x)\end{eqnarray}

 

ですね。証明できました。

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実際に使ってみる

では、公式を証明しましたので、躊躇いなくバンバン使っていきましょう。

ここから先は少し先取りした内容が入っていることがあります(三角関数・指数対数関数の微分など)。わからないところは飛ばしてもらって結構です。後から戻ってきてここの内容が理解できればそれでバッチリなので。

ではいくつか問題をやっていきます。

問題1

 

例題

次の関数を微分せよ

\(y=(x^3+4x+3)(x^2+3)\)

普通に展開するとものすごく面倒なので、積の微分公式を使います。公式はもういいですね。

「前を微分して後ろそのまま」、これに「前をそのまま後ろを微分」を足すだけ

ですよ。これを意識して解答を見てくださいね。

微分すると

 

\begin{eqnarray}y’&=&(3x^2+4)(x^2+3)+(x^3+4x+3)\cdot 2x\\[5pt]&=&3x^4+13x^2+12+2x^4+8x^2+6x\\[5pt]&=&5x^4+21x^2+6x+12\end{eqnarray}

 

となります。まあ積の微分でも大変ですが、展開するよりは絶対楽ですね。

問題2

 

例題

次の関数を微分せよ

\(y=\sin x\cos x\)

 

これは三角関数の微分を学んだ後であれば解ける問題です。まだの方は

記事リンク(誠意執筆中!少々お待ちください)

こちらで勉強してから解くと良いでしょう。

これは記事の冒頭で説明した通り \(\sin x\) と \(\cos x\) の積の形をしているので、

 

\(y’=(\sin x)’\cdot \cos x + \sin x\cdot (\cos x)’\)

 

より

 

\begin{eqnarray} y’&=&(\sin x)’\cdot \cos x + \sin x\cdot (\cos x)’\\[5pt]&=&\cos x\cdot cos x +\sin x\cdot (-\sin x)\\[5pt]&=&\cos^2 x -\sin^2x\end{eqnarray}

 

ですね。もうちょっとかっこよく書くと、二倍角の公式から

 

\(\cos 2x = \cos^2 x -\sin^2x\)

 

でしたから

 

\(y’=\cos 2x\)

 

ですね。できましたでしょうか。

ちなみにこの問題は積の微分公式を使わなくても二倍角の公式から

 

\(\displaystyle y=\sin x\cos x = \frac{1}{2}\sin 2x\)

 

で、合成関数の微分を使えば

 

記事リンク

 

\(\displaystyle y’=\frac{1}{2}\cos 2x \cdot (2x)’=\cos 2x\)

 

ですね。どちらでもOKですが、逆にいうとどちらもできるようにしておくのがベストですね。

問題3

 

例題

次の関数を微分せよ

\(y=x\cdot e^{x}\)

これは指数関数の微分を学べば解けます。勉強したい方、確認したい方はこちらからどうぞ。

記事リンク(誠意執筆中!少々お待ちください)

これも \(x\) と \(e^{x}\) の積の形をしているので、積の微分公式を使います。

もう大丈夫ですね。

 

\(y’=(x)’\cdot e^{x}+ x\cdot (e^{x})’=1\cdot e^{x}+x\cdot e^{x}=e^{x}+xe^{x}=e^{x}(1+x)\)

 

です。

まとめ

今回は積の微分公式について学習しました。慣れてくるとスラスラできるようになってきますので焦らず公式を言葉で覚えてあげてください。

どちらにしても一つ一つの微分がしっかりとできるかが重要ですから、積の微分を覚えた後はどんどん新しい微分の形・合成関数の微分をマスターして、なんでも微分できるようになりましょう!

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