三角関数の合成をいかに簡単に行うか
三角関数で出てくる合成は問題になるというよりも、問題を解くための手段として使われることが多いです。
特にセンター試験では合成をさせる問題がものすごく多く、これを速く・正確にできれば時間短縮になりますので何となく合成をやっていたり、あまり覚えていない人はこの機会に完璧にしてください。
まず、三角関数の合成をする大前提ですが、
①\(\sin\)と\(\cos\)の和や差で書けていること
②角度部分が同じであること
が必要です。何でもかんでも合成できるとは思わないでください。
①は例えば
$$\sin\theta +\cos\theta$$
は合成できますし、
$$\sqrt{3}\cos\theta -\sin\theta$$
もできます。ですが
$$\sin\theta\cos\theta +\cos\theta$$
はできません。要するに\(\sin\)単体と\(\cos\)単体の時に使えますということです。
②は角度部分が同じじゃないと合成できないことを言っています。
例えば先ほどは角度がすべて\(\theta\)ですが、もちろん
$$\sin2\theta +\cos2\theta$$
も合成できます。ただし
$$\sin\theta +\cos2\theta$$
は合成できません。角度が違う者同士は合成不可能です。
できるときとできないときの区別はとても大事です。問題を考える際の指針にもなります。
いったん広告の時間です。
合成のやり方
では、使える場合がわかったところで早速やり方を説明していきましょう。
例題としてこの問題をチョイスします。
まず合成に適しているかどうかを確認してください。①、②のどちらも満たしていますね。
次に\(\sin\theta\)と\(\cos\theta\)の前にある数字に注目します。今回の場合は\(1\)と\(\sqrt{3}\)ですね。
これを座標平面に\(\sin\)の前の数字を\(x\)座標、\(\cos\)の前の数字を\(y\)座標に置きます。
今回だとこんな感じ
そしてこの図において、斜めになっている線の長さ(原点から点までの長さ)と三角形の原点に近い部分の角度を出します。
三角形は直角三角形のなので原点から点までの長さは三平方の定理から
$$\sqrt{1^2+(\sqrt{3})^2}=\sqrt{1+3}=2$$
であり、この直角三角形は\(1:2:\sqrt{3}\)の特殊な三角形なので、原点に近い部分の角度は
$$\frac{\pi}{3}$$
です。要するにこういうことです。
ここに出てきた長さと角度が得られればこの図とはもうお別れです。あとは次のように式に入れるだけです。
$$(長さ)\sin\left(\theta +(角度)\right)$$
今回の場合は
$$\sin\theta +\sqrt{3}\cos\theta=2\sin\left(\theta +\frac{\pi}{3}\right)$$
ですね。これで合成が完了です。
このように機械的にできるようにしておけば、図を描くだけで、もしくは頭の中で考えるだけで合成ができてしまいます。
いったん広告の時間です。
練習問題
もう一つ例を挙げてイメージをつかんでもらいましょう。
次の三角関数を合成してみます。
一見大変そうですが、やることは変わりません。まずは図を書く!
こんな感じですね。
長さは三平方の定理でした。
$$\sqrt{3^2+(\sqrt{3})^2}=\sqrt{9+3}=sqrt{12}=2\sqrt{3}$$
さらにこの直角三角形は少しわかりづらいですが\(1:2:\sqrt{3}\)の直角三角形ですのでほしい角度は
$$-\frac{\pi}{6}$$
です。もちろんマイナスの角度ではなくてプラスで考えることもできます。その場合は同じ角度をぐるっとまわって数えるので
$$\frac{11}{6}\pi$$
です。これをつかっても大丈夫です。センターの場合は解答に合わせることが必要ですのでこちらの表記も知っておくとよいでしょう。
というわけで合成はもうできます。今回は\(2\theta\)なのでそこに注意して、
$$3\sin2\theta -\sqrt{3}\cos2\theta=2\sqrt{3}\sin\left(2\theta -\frac{\pi}{6}\right)\ \ or\ \ 2\sqrt{3}\left(2\theta +\frac{11}{6}\pi\right)$$
と合成できます。少し慣れてきましたでしょうか。これを自力でできるまでいろいろな問題でやってみてください。そうすればすぐに合成ができるようになって、素早く問題の本質に入れると思います。
まとめ
三角関数の合成を素早くやるための方法を詳しく解説しました。本質はもちろん加法定理ですが、合成をやる分には使わなくてもできます。もちろんこのやり方は”合成がうまくできるもの”で有効です。そうじゃない場合はまた別の考え方をすればOKです。それに関してはこの記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
ではまた。
コメント
[…] 三角関数の合成の簡単な方法と注意 […]
[…] わかったところで合成です。合成は散々練習しましたね。すぐにできない人はこの記事をご覧ください。 […]