三角関数でもやはり最大値と最小値の問題は必須です。さらにいくつかのパターンもあるのでそれぞれ分けて見ていきたいと思います。
三角関数自体の最大値と最小値
三角関数の最大値と最小値はもうすでに多くの人が学習したと思います。基本的には
\(-1\leqq\sin\theta\leqq 1\ ,\ -1\leqq\cos\theta \leqq 1\)
ですよね。ですが気をつけて欲しいのはこの範囲は角度一周分、つまり例えば
\(0^{\circ}\leqq \theta <360^{\circ}\)
のような範囲での成り立つ話です。なぜかは
を見ればすぐにわかりますね。単位円上の点の \(x\) 座標と \(y\) 座標がそれぞれ \(\cos\) 、\(\sin\) に対応し、原点と点を結ぶ直線の傾きが \(\tan\) に対応していました。
ですから考える角度の範囲によっては
\(0^{\circ}\leqq \theta \leqq 90^{\circ}\)の時
\(0\leqq \sin\theta \leqq 1\ ,\ 0 \leqq \cos\theta \leqq 1\)
や
\(60^{\circ}\leqq \theta\leqq 150^{\circ}\)の時
\(\frac{1}{2}\leqq \sin\theta\leqq 1\ ,\ -\frac{\sqrt{3}}{2}\leqq \cos\theta \leqq \frac{1}{2}\)
にだってなり得るわけです。青い部分が考えている角度の範囲で取ることのできる三角関数の値を示しています。
つまり三角関数において
最大値、最小値は考える角度によっていくらでも変化する
と押さえておきましょう。絶対に
\(-1\leqq\sin\theta\leqq 1\ ,\ -1\leqq\cos\theta \leqq 1\)
とだけ覚えることはしないでください。必ず痛い目に合います。
というわけでまずは単独の三角関数で最大値と最小値を考えてみました。次は単独ですが角度部分が変化したものを考えてみましょう。
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角度部分が変化している三角関数の最大値と最小値
角度の部分が変化しているつまり
\(\sin\left(\theta+60^{\circ}\right)\)
のような場合、最大値と最小値はどうなるでしょうか。
これは実際に角度部分を追うことはしない方がいいです。必ず置き換えてから考えます。
例えば
\(60^{\circ}\leqq \theta\leqq 180^{\circ}\)の時
\(\sin\left(\theta +30^{\circ}\right)\)
の最大値と最小値を求めよ。
この問題をやってみます。まずは
\(t=\theta +30^{\circ}\)
と置きます。こう置くことで
考えるのは \(\sin t\) で \(t\) の範囲によって最大値と最小値が変わる
とできるのです。こうすれば先ほど考えた単独の三角関数の時と同じですよね。気にするのはあとは \(t\) の範囲だけです。これによって今回の問題の最大値と最小値が決まります。
もちろん置き換えた文字の範囲は
\(60^{\circ}\leqq \theta\leqq 180^{\circ}\)
より
\(90^{\circ}\leqq \theta+30^{\circ}\leqq 210^{\circ}\)
\(90^{\circ}\leqq t \leqq 210^{\circ}\)
です。ですので単位円で考えると
の範囲で \(\sin\) を考えればいいことになります。この時最大値と最小値は
上の図で表したものですね。範囲の端で考えるのは危険ですからやめてくださいね。
以上より
\(-\frac{1}{2}\leqq \sin(\theta+30^{\circ})\leqq 1\)
となります。不等式を解ける人は簡単だったのではないでしょうか。
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三角関数が含まれる関数の最大値最小値
このパターンはいくつかあるのでここでは代表的なものを紹介します。
例えば
\(0^{\circ}\leqq \theta\leqq 360^{\circ}\)の時
\(y=\cos\theta-\sin^2\theta\)
の最大値と最小値とその時の \(\theta\) を求めよ。
を解いてみましょう。\(\sin\) 、\(\cos\) が関数として使われています。欲しいのは \(y\) の最大値で \(\theta\) を変えていくと \(\sin\) 、\(\cos\) も変わるので \(y\) がどのように変化するのかが知りたいですね。
ではこのような場合はどうするか。できることは
- 置き換える
- 合成する
の大きく分けて2パターンです。合成する時は \(\sin\) と \(\cos\) の足し算や引き算がでてくる時ですね。
もちろん公式を駆使して変形をしなければいけないタイプが多いです。それについてはここでは扱いませんが、非常に重要で入試に出やすいので必ずできるようにしたいところです。
ここでは置き換えのパターンを学習しましょう。とにかく置き換えて三角関数がでない形にしたいのです。
置き換えるためには
三角関数を一つに揃える
ことが必要です。\(\sin\) だけ、\(\cos\) だけにしたいですね。その時には
\(\sin^2\theta+\cos^2\theta=1\)
が多く使われます。二乗が出てきたら要注意です。
今回の問題でもまずはその変形から行いましょう。もちろん
\(y=\cos\theta-\sin^2\theta\)
より
\(y=\cos\theta-(1-\cos^2\theta)=\cos^2\theta+\cos\theta-1\)
ですね。これで \(\cos\theta=t\) と置けば
\(y=t^2+t-1\)
とできます。実は見た目が変なだけで置き換えると二次関数だったわけです。
二次関数なら平方完成してグラフを書けば最大と最小はわかります。ですが気をつけなければならないのは
tの範囲
ですね。これによって最大値と最小値は大きく変わります。それはどこからわかるのか。実は
\(t=\cos\theta\)
ですのでこの記事で学んだことを使えばいいのです。つまり三角関数の範囲を調べれば良いのですね。
角度の範囲は
\(0^{\circ}\leqq \theta\leqq 360^{\circ}\)
ですので単位円も使わなくていいですね。一周分なので
\(-1\leqq \cos\theta\leqq 1\)
ですね。つまり今回置いた \(t\) の範囲は
\(-1\leqq t\leqq 1\)
ということになるのです。まとめると
\(y=t^2+t-1\)
の最大値と最小値を
\(-1\leqq t\leqq 1\)
の範囲で求めよ
という問題に変わるわけです。これは二次関数のところでやったはずです。
もちろん平方完成して
\(y=\left(t+\frac{1}{2}\right)^2-\frac{5}{4}\)
グラフを書きます。\(t\) の範囲に注意ですね。
グラフの実践部分が今考えている範囲なのでこの範囲で
\(t=1\) で最大値 \(1\)
\(t=-\frac{1}{2}\) で最小値 \(-\frac{5}{4}\)
とわかりますね。もちろん \(t\) は自分で置いたので戻します。戻すと
\(\cos\theta=1\)
\(\cos\theta=-\frac{1}{2}\)
となるので三角方程式を解けば良いです。解いてあげればそれぞれ
\(\theta=0^{\circ}\)
\(\theta=120^{\circ}\ ,\ 240^{\circ}\)
になりますので最終的に
\(\theta=0^{\circ}\)で最大値 \(1\)
\(\theta=120^{\circ}\ ,\ 240^{\circ}\)最小値 \(-\frac{5}{4}\)
ですね。関数の形さえわかればなんてことはありませんが重要なことは
置き換えた文字の範囲を必ず確認する
ことです。
まとめ
今回は三角関数の最大値、最小値を扱いました。いくつかのパターンがありますが基本は三角関数自体の特性をよくわかっているか、そして二次関数が扱えるかに集約されます。数学は積み重ねの学問なので基本に戻ることは決して恥ずかしいことではありません。じっくり理解して一つずつ階段を登っていきましょう。
ではまた
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