円順列と通常の順列の違い
そもそも円順列と呼ばれ、別のもののように扱うのはなぜでしょう。
順列なら私たちはもう \(\rm{P}\) や \(!\) (階乗)を知っていますよね?これらをただ使って並べればいいじゃないかなんて考えてしまいます。
少し例を挙げて考えてみましょう。
例えば
この問題をやってみましょう。
「5人の並び方」であれば私たちは簡単に求めることができます。なぜなら
\(5!=5\cdot 4\cdot 3\cdot 2\cdot 1=120\)通り
で計算できるからです。そうです、階乗がありましたね。
ですが一つ違うところは「机の周りに等間隔で並ぶ」というところです。これが入ると何が変わるのでしょうか。
具体的に並べてみましょうか。例えば1つの並び方としてこんなものを考えることができます。
大丈夫ですね。もちろん数えなくてはならないパターンの一つであると考えられます。ではこの並び方はどうですか。
これ、並び方は変わっていますでしょうか?配置は違うように見えますが、実は一番最初の並び方の順番は変えずに反時計回りに1つずれただけですよね。
この「並び方」は最初と同じです。なぜなら配置は変わっていますが「順列」としての順番は崩れていないからです。
このように、「円」のまわりなどの特殊な状況では、異なるように見える順列も同じとしてカウントしなくてはいけません。このような順列を
円順列
といいます。
ですから今の例でいうと
はすべて同じなので1パターンと数えます。となると明らかに \(120\) 通りは数えすぎです。どのように考えればうまく数えられるでしょうか。
実は考え方は大きく2つあります。もちろんこれだけではありませんがわかりやすさ重視で紹介しますので、自分が納得できる方をしっかりと理解してみてください。
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円順列の考え方1 数えすぎを割る
1つ目は「普通の順列では数えすぎている分をあとから割ってあげよう」という方法です。
先ほど図で見せたように、1つの円順列で同じであるパターンとしなければいけないものは
だけあります。要するに単純な順列だと1つにつき5コ多く数えてしまうのです。
もちろん円順列として違うパターンでも同じです。
こんな感じです。最初の図と並び方が違うので円順列としても違うパターンですが、ぐるぐる回すとやはり5個できてしまいます。
ですから、これを逆手にとればいいのです。普通の順列の計算ではそれぞれに対して5倍だけ多く数えてしまうなら、
\(\frac{5!}{5}\)
と5で割ってしまえばいいですよね。ですから円順列としてのパターンは
\(\frac{120}{5}=24\)通り
と計算できるのです。
「多い分を割る」
これは組み合わせを導出する時にも使った考え方ですね。円順列はこのようにあとから割る作戦が使えます。
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円順列の考え方2 1つ固定して順列で
もう一つの考え方は、円順列ではなくしてしまう方法です。
どういうことかというと、そもそも円順列で嫌なのは
でたらめに入れ替えると、あるパターンとあるパターンが回転すると同じ配置であるときにそれらは同じパターンである
という事情です。つまり違うように見えて同じものが出てきてしまうことが考えづらくしている要因です。
ですから発想として、
回転して同じものが出てこないように並べ替えればいい
のです。どうやるか。こうです。
ある一人を固定して他の4人が入れ替われば、回して同じになる配置が出てくることはありません。
まさにこれはほしい円順列すべてを計算していることと同じです。ですから4人の並べ方を考えればよく
\(4!=4\cdot 3\cdot 2\cdot 1=24\) 通り
と計算できます。その1でやったときと同じ答えになりましたよね。このように円順列を円順列として考えなくてもよくする方法もあります。
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円順列の公式
ここまで見てわかった通り、円順列と分かれば次のような公式が成り立ちます。
\(n\) 個のものを円状に等間隔で並べる並べ方は
\((n-1)!\) 通り
になる
これが教科書に載っている円順列の公式です。これまでの導出がわかっていれば納得できますよね。
公式はちゃんと意味があって公式ですから、これだけ覚えることは控えた方がいいでしょう。
なんでこの公式になるのかよくわかっていなければ、戻って自分でじっくり考えてみるとよいですよ。
まとめ
円順列の公式は問題を簡単に解くための強力なツールですが、意味が分かっていなければ思わぬところで躓いてしまう怖い公式でもあります。円になったらどう考えればよいか、その一つの手助けになってくれるのがこの円順列ですので、その程度に心にとどめておくといいかもしれません。
ではまた。
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