命題とは
突然ですが物事の正確性を皆さんはどのように調べますか。
ある人が言っているから正しいとか、多分こうだから間違っている、といった判断の仕方は全ての人に納得のいく説明にはなりませんし、そもそもそれは間違った判断の仕方ですよね。
基本的にきちんと説明をしたければ
〇〇であるから△△である
のような形で説明をするべきです。必ず理由があってその理由を拠り所にして物事が正しいのかどうかを判断します。
数学はその判断材料が正しいのかを判断す強力なツールを用意してくれています。
それは
〇〇ならば△△である
という形で表現される
命題
です。この命題があってるのか、間違っているのかの判断(真偽を確認)をどのようにしていくか、その切り口をここでは学びます。
例えば
夏 ならば 暑い
いる場所が高い ならば 寒い
など命題はいくらでも作ることができます。ですがその真偽はもちろん確かめないと定かではありません。
その確かめ方のいろいろをこの分野では知るとともに、たくさんの命題にあたり、数学的手法を鍛えることも重要な目標になります。
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逆・裏・対偶
早速ですがある命題を考えた時、その命題に対して逆・裏・対偶という命題を新たに考えることができます。
まず逆とは
A ならば B である
という命題のAとBの部分をひっくり返したものです。つまり「A ならば B である」という命題に対して
B ならば A である
を元の命題の逆と言います。
また、「AならばBである」という命題に対してその否定を取った形、記号でいうと
\(\overline{A}\) ならば \(\overline{B}\) である
になりますが、これを元の命題の裏と言います。\(\overline{A}\) は A という事柄の反対の事柄を意味します。
さらにこれを同時に行ったもの、つまり元の命題の逆でさらに裏(裏の逆でもOK)である命題を
\(\overline{B}\) ならば \(\overline{A}\) である
と書き、元の命題の対偶と言います。この辺りからごちゃごちゃしてくるので図にしてみましょう。
元の命題が左上にあり、その命題の裏が右にありますね。下に行くと逆です。それを続けて行ったものが対偶です。
このように一つの命題の関して逆・裏・対偶という3つの命題を新たに考えることができます。これをまずは覚えましょう。
例えば命題として
「陸上選手 または サッカー選手」ならば 「足が速い」である
を考えてみます。この命題の逆は簡単で
「足が速い」ならば「陸上選手 または サッカー選手」である
ですね。ひっくり返すだけです。では裏はどうでしょう。
否定を考えるときに注意なのが「その言葉」の否定は何かということです。
今回の場合「または」という言葉がありますが、これの言葉を否定すると「かつ」になります。つまり裏を考えると
「サッカー選手でない かつ 陸上選手でない」ならば「足は速くない」である
となるわけです。ちょっと日本語が変ですが、わかりやすいように書いてみました。「である」は「でない」にしたりととにかく全てを否定の言葉にします。
もちろん「でない」の否定は「である」ですのである意味で反対の言葉にしてしまえばいいとも言えます。
裏を考える時が一番間違えやすいので気をつけてくださいね。
これをどちらも施したものが対偶になります。つまり
「足は速くない」ならば「サッカー選手でない かつ 陸上選手でない」である
が元の命題の対偶になります。
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対偶は元の命題と真偽が等しい!?
なぜ対偶なんていう面倒なものを考えるのか。その理由の全てはこの公式に凝縮されています。
何が嬉しいのか?と思う人もいると思いますが、これは命題の真偽を確かめる時に大いに役に立つ時があります。
例えば簡単な例で言えば
人間であれば日本人である
という命題を考えます。これは普通に考えると間違っています。ですからこの命題は「偽」です。日本人以外の人間も世界中に沢山います。
これの対偶は
日本人でなければ人間でない
です。もっとおかしいですね。対偶を取ることによってさらに命題の真偽の判断がつきやすくなりました。
もちろん元の命題も対偶も真偽は「偽」です。このように命題の真偽は対偶と一致するので、もし元の命題がわかりづらい時は対偶の真偽を確認すれば良いのです。
まとめ
今回は命題の範囲の重要なところである「逆・裏・対偶」について考えました。まずは難しく考えず、ある命題に対してそれぞれが作れればOKです。これらの使い道については今後どんどんと勉強していけばわかります。まずは頭に入れてしまいましょう。
ではまた。
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