命題には見方がいろいろある
「 P ならば Q である」という命題が「真」か「偽」かを調べることが命題の全てです。
私たちは逆、裏、対偶という命題の変形の仕方も学びました。そこで学んだことは
のような関係ですね。対偶は元の命題の真偽と一致しますが、逆、裏はそうとも限りません。命題が真であっても、その逆や裏が真かどうかは考えて見なければわかりませんでした。
「P ならば Q である」という命題の逆を考えることはもちろん自由です。
「P ならば Q である」の逆
が真か偽かは考えるとわかるでしょう。今回はこの
命題に対して逆を考える
に注目して考えてみます。
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十分条件と必要条件
さて、ある命題「P ならば Q である」を考えます。もしこの時
「P ならば Q である」が真であるならば、「P は Q であるための十分条件である」
と言います。つまり
命題そのままの真偽を確認してもし真だったら P は Q であるための十分条件である
ということです。おさえて欲しいのは今主役は P であることですね。
同じ命題に対して、この命題の逆を考えます。つまり 「Q ならば P である」という命題を考えるわけです。
この時 「Q ならば P である」という命題が真であれば
P は Q であるための必要条件である
と言います。重要なことはやはり主役が P であることです。pはqであるためのという言葉をしっかりとおさえてください。
これは結局何なのか。言葉だけではわからないのでイメージを持ちながら読み解いていきましょう。
「P ならば Q である」という命題に対して
「P ならば Q である」が真 → P は Q であるための十分条件
「Q ならば P である」が真 → P は Q であるための必要条件
十分条件と必要条件を具体例で考える
具体的な例で理解を深めてみましょう。例えば「数学」と「高校の科目」の関係を調べてみましょうか。
こんな命題を考えます。
「数学」ならば「高校の科目」である
これは成り立ちますよね。数学は高校の科目の一つなので確かに数学というものは高校の科目です。
ここからわかることは先ほど学んだ十分条件・必要条件という言葉を使えば
「数学」は「高校の科目」の十分条件である
ということです。
では、この命題の逆を考えてみます。つまり
「高校の科目」ならば「数学」である
です。これはどうでしょう。高校の科目は数学以外にも英語や国語など他にもあるのでこれは成り立ちません。
つまり
「数学」は「高校の科目」の必要条件ではない
となるのです。
この関係を図で書くとこんな感じです。
つまり
「P ならば Q である」という命題が十分条件か必要条件かを調べたければ
「P ならば Q である」と「Q ならば P である」の真偽を調べれば良い
のです。もし「P ならば Q である」が真なら
P は Q であるための十分条件
ですし「Q ならば P である」が真なら
P は Q であるための必要条件
です。重要なことは「P は Q であるための」という関係は絶対に崩さないことです。P が Q に対してどういう関係なのかを示すのが十分条件・必要条件ですからね。
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条件をベン図で考えてみる
では、この関係を集合で表すとどうなるでしょうか。
例えば先ほどの「数学」と「高校の分野」の関係ですが、数学は高校の分野に入っているのでベン図で書くと
になりますね。この時数学と高校の分野は
「数学」は「高校の分野」の十分条件
でありましたね。つまり十分条件が成り立つ時は P は Q に含まれているのです。
別の例もやってみましょう。「スマートフォン」と「iPhone」の関係にしましょう。
「スマートフォン」は「iPhone」に対してどんな関係かというと
「スマートフォン」ならば「iPhone」は偽
「iPhone」ならば「スマートフォン」は真
ですから「スマートフォン」は「iPhone」であるための必要条件です。
この時、ベン図でこの関係を表すと
になります。必要条件の場合は P は Q を全て覆っています。
つまり
「P は Q であるための十分条件」
「P は Q であるための必要条件」
が成り立つわけです。少しずつイメージが湧いてきましたか?
では必要条件でもあり十分条件でもある命題はどうなるでしょう。
それはまさにそれらが全く同じ事柄であることを意味しています。なぜならベン図で書くと
のように重なってしまうからです。
というわけでまずおさえて欲しいことを以下にまとめておきます。
ある2つの事柄について、その2つは必要条件と十分条件という2つの関係が考えられる
P が Q に対してどのような関係かを調べたければ「P ならば Q である」と 「Q ならば P である」を確かめる
「P ならば Q である」が真 → P は Q であるための十分条件
「Q ならば P である」が真 → P は Q であるための必要条件
かなり長くなりましたがゆっくり追ってみてください。
まとめ
ここで取り扱った必要条件と十分条件は試験だと狙われやすい部分の一つです。正直なところどうやって確かめるかを知ってしまえば難しいのは真偽を見極める方になります。ですがその意味を知っているとより理解が深まります。
ではまた
コメント
ベン図が逆ですね。
名無し様
ご返信が遅れ申し訳ございません。そしてご指摘ありがとうございます。
その通りでございます!
こちら修正・反映させていただきました。この度は混乱させてしまい申し訳ございません。
至らぬ点や誤植が多く大変ご不便をおかけしますが、引き続き当サイトをどうぞよろしくお願いいたします。
da Vinch