複素数の重要な性質を1つずつ
複素数はよくzを使って表されますが、基本は実部と虚部を用いて書いた
\(z=a+b\mathrm{i}\)
です。これを使って色々な性質を見ていきます。というよりもこれがあれば全ての公式は簡単にわかります。やってみましょう。
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絶対値はどう書けるか
まずは絶対値。複素数zの絶対値は記号を使って
\(|z|\)
とかけますが、もちろん \(a+b\mathrm{i}\) の表式を使えば
\(\sqrt{a^2+b^2}\)
となります。実際に計算するときにはこの表式を使いますね。ではこんな式を考えてみます。
\(z\overline{z}\)
これは複素数とその共役をかけたものですがこれはなにになるでしょう。
もちろん
\(z=a+b\mathrm{i}\ ,\ \overline{z}=a-b\mathrm{i}\)
ですから計算すれば
\(z\overline{z}=(a+b\mathrm{i})(a-b\mathrm{i})=a^2+b^2\)
になりますね。なんかこれは見たことがあります。そうです。さっき計算した絶対値に似ていますね。
絶対値を2乗するとまさしく同じなので
\(|z|^2=z\overline{z}\)
と書けるでしょう。計算すると当たり前なのですがこれが公式として教科書に載っています。
言葉で言うと
絶対値の2乗は複素数とその共役な複素数の積と等しい
ですね。簡単ですね。なぜ複素数 \(z\) で書かなければいけないのかは後々わかってくるでしょう。
こんな感じでどんどん性質を考えていきます。
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複素数の実数部分、虚数部分はどう書けるか
ではもし複素数 \(z\) の実数部分を求めたければどうすればいいでしょう。もちろん
\(z=a+b\mathrm{i}\) の \(a\) が \(z\) の実数部分
でしたよね。これを絶対値のように \(z\) を使って表すためにはどうしたらよいでしょうか。
それはやはり複素数とその共役な複素数が使われます。
どうするかというと
複素数とその共役な複素数を足して2で割る
です。やってみると確かに
\(\displaystyle \frac{z+\overline{z}}{2}=\frac{(a+b\mathrm{i})+(a-b\mathrm{i})}{2}=\frac{2a}{2}=a\)
となり複素数の実数部分になりますよね。つまり
複素数 \(z\) の実数部分 \(\displaystyle =\frac{z+\overline{z}}{2}\)
であることが簡単にわかります。
同じように考えれば虚数部分もすぐにわかりそうですね。
何をすればいいかというと
複素数とその共役な複素数の差を \(2\mathrm{i}\)で割る
ですね。注意してほしいのは\(2\mathrm{i}\) で割ることです。計算してみると確かに
\(\displaystyle \frac{z-\overline{z}}{2\mathrm{i}}=\frac{(a+b\mathrm{i})-(a-b\mathrm{i})}{2\mathrm{i}}=\frac{2b\mathrm{i}}{2\mathrm{i}}=b\)
より虚数部分がちゃんと出てきます。つまり
複素数 \(z\) の虚数部分 \(\displaystyle =\frac{z+\overline{z}}{2\mathrm{i}}\)
です。まとめると、
ある複素数 \(z\) が与えられたとき、その実数部分と虚数部分は
複素数 \(z\) の実数部分 \(=\frac{z+\overline{z}}{2}\)
複素数 \(z\) の虚数部分 \(=\frac{z+\overline{z}}{2\mathrm{i}}\)
なんとなく意味がないようにも見えますが、この表式の便利さは勉強を進めていくとわかるでしょう。
まとめ
複素数にはいくつか性質がありますが代表的で重要なものを挙げてみました。他にもありますがただ計算すればなるだけものも多いので補足で説明しようと思います。複素数は図形的なイメージが大事になってくるのでまずはこの基本の性質をおさえましょう。
ではまた
コメント
[…] 複素数の性質複素数の重要な性質を1つずつ 複素数はよくzを使って表されますが、基本は実部と虚部を用いて書いた \(z=a+b\mathrm{i}\) です。これを使って色々な性質を見ていきます。と […]
複素数の性質が良く分かりました。
また細かいところで申し訳ないのですが、複素数の虚数部分の分子は+ではなく-ではないでしょうか。
確認よろしくお願いします。
スワン様
ご指摘大変感謝いたします。確認したところその通りでした。
記事のクオリティの上昇が加速されていきこちらとしても大変ありがたいです。
たくさんの記事を見ていただいていること大変嬉しく思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。
da Vinch