数学Ⅱ・Bで初めて出てくる複素数という言葉。この複素数とはなんなのかをなるべく簡単に説明したいと思います。
虚数を理解する
複素数を学ぶ前にまず虚数というものを受け入れなくてはなりません。虚数は字のごとく
いつわりの数字
です。ですが本当のところを言うと虚数は数学において全く変な存在ではありませんし、私たちの周りは虚数でいっぱいです。
詳しい説明は省きますが、この世界の自然法則は虚数がなければ記述できないものがものすごくたくさんあるのです。
ではその虚数とは何か。それは
2乗すると-1になる数字が含まれる数字
であると覚えると良いでしょう。2乗すると-1になる数字を虚数単位といい \(\mathrm{i}\) で表します。すなわち
\(\sqrt{-1}=\mathrm{i}\)
を定義するのです。虚数に関して難しい話は置いておいて、ともかく2乗して-1になる数字を勝手に決めたと思いましょう。
ですがこの決まりごとを使うと今まで表せなかった数字を表すことができます。
例えば2乗して-3になる数字など存在しませんが虚数単位を用いれば
\(\sqrt{3}\mathrm{i} \ ,\ -\sqrt{3}\mathrm{i}\)
とかけます。二つあるので注意しましょう。ですが確かにこれを2乗すると
\((\sqrt{3}\mathrm{i})^2=(\sqrt{3})^2(\mathrm{i})^2=3\times (-1)=-3\)
\((-\sqrt{3}\mathrm{i})^2=(-1)^2\cdot(\sqrt{3})^2(\mathrm{i})^2=3\times (-1)=-3\)
となるのでちゃんと2乗すると-3になっていますよね。
このように虚数単位 \(\mathrm{i}\) がなければ表せない数字のことを虚数と言います。ですからこれまで扱ってきた実数とは全く違う数字なのです。
これから私たちは、実数ではない数である虚数も扱えなくてはなりません。まずは虚数を認めるところからです。
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複素数とは
さて、実数ではなく、2乗すると-1になる数字=”虚数単位”を含む数字の虚数を学習しましたが、実数と虚数は数字であることに変わりありません。
私たちは実数 と一括りに言いますがその実数の中にも有理数や無理数というわけ方があり、さらに整数、自然数・・・というようにその特徴によって数字を分類しています。
私たちは虚数という実数とは異なる数字を新たに考えました。ですのでそれを一括りにするような新しい数字の種類を決める必要があります。
すなわち図で言うとここです。
これを人間は複素数と名付けました。言ってしまえば数字の中のトップです。
例えば整数も複素数と言っていいですし有理数も複素数と言えます。もちろん呼ぶときは複素数ではなく整数や有理数と言いますけどね。
複素数は虚数も入っています。ですのでこれから私たちは虚数と実数が混ざった数字を考えなくてはなりません。
例えばこんな数字
\(3+5\mathrm{i}\)
これは実数と虚数が混ざっているので複素数としか呼べません。実数でも虚数でもないそれらが合わさった数字ですからね。
そこで私たちはこれから複素数といった時にはこんな形の式を思い浮かべることにします。
\(a+b\mathrm{i}\)
ここに出てくる \(a\) 、\(b\) は実数です。そうしないと後ろの \(b\mathrm{i}\) が実数になってしまうかもしれませんし、前の \(a\) が虚数だと話しがこんがらがりますからね。
なぜこれを複素数と言っていいかというと、もし \(b=0\) なら
\(a\)
になりますのでこれは実数です。複素数の表式は実数も含んでることがわかります。
また \(a=0\) だと
\(b\mathrm{i}\)
になり、これは虚数です。ちゃんとこの複素数の表式は虚数も含みます。
特にこの \(a=0\) の時の形を純虚数と言います。
また複素数 \(a+b\mathrm{i}\) のうち、 \(a\) を実数部分、\(b\mathrm{i}\) を虚数部分と言います。これも言葉として覚えておきましょう。
複素数について少し整理できましたか?ひとまずはこの複素数の表式
\(a+b\mathrm{i}\)
を抑えて、これが複素数であるということを納得するところからです。
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複素数の計算
複素数を計算する時には何点か注意があります。それを守ればいつも通りの計算です。
- 実数部分は実数部分、虚数部分は虚数部分でそれぞれ計算する
- \(\mathrm{i}\) の2乗が出てきたら \(-1\) にする
- 分配法則などの法則はこれまで通り
例題を交えて少し計算練習をしておきます。
次の式を簡単にせよ。
(1)\((3+2\mathrm{i})+(7-6\mathrm{i})\)
(2)\((5-4\mathrm{i})(2+2\mathrm{i})\)
(3)\((5-3\mathrm{i})^2\)
(1)からいきましょう。和や差は実数部分と虚数部分それぞれで計算します。\(\mathrm{i}\) は文字みたいなものと考えましょう。つまり
\((3+2\mathrm{i})+(7-6\mathrm{i})=3+7+2\mathrm{i}-6\mathrm{i}=10-4\mathrm{i}\)
となります。簡単ですね。
(2)は積が入ってくるので注意です。冒頭にも述べた通り \((\mathrm{i})^2=-1\) なので2乗が出てきたらすぐに変えてください。分配法則などの計算方法は全く同じです。 \(\mathrm{i}\) は文字だと思えばいいので
\((5-4\mathrm{i})(2+2\mathrm{i})=10+10\mathrm{i}-8\mathrm{i}-8(\mathrm{i})^2=10+2\mathrm{i}-8\cdot(-1)=10+2\mathrm{i}+8=18+2\mathrm{i}\)
です。とにかく \(\mathrm{i}\) に注意しながら解いてみてください。
(3)は展開の公式が使えます。注意点は忘れずに解いていきますよ。
\((5-3\mathrm{i})^2=5^2-2\cdot 5\cdot (3\mathrm{i})+(3\mathrm{i})^2=25-30\mathrm{i}+9(\mathrm{i})^2=25-30\mathrm{i}-9=16-30\mathrm{i}\)
となります。いつもプラスのところがマイナスになったりして計算ミスが多くなるので気を付けてください。
まとめ
複素数はこの先ものすごく多く出てくるわけではありませんが、数学Ⅲを学習するのであれば出てきますし、理学部や工学部などの学部に進みたいと思っている人にとっては欠かせない存在になっていきます。まずは虚数を受け入れ、計算方法に慣れることが先決ですね。
ではまた。
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