関数で極限を考える
これまでは「数列」において極限を考えてきました。数列の場合は
無限まで項数を考えたら最終的にどうなるか
を考えるのでしたね。今回考えるのは「関数」の極限です。これは何に対して極限をとるのかというと
変数
です。例えば関数 \(y=x^2\) が与えられた時、この式の変数である \(x\) をある値に限りなく近づけることをします。その時 \(y\) がどうなるかを調べましょう、ということです。
一つ注意は数列の極限を考えるときには全て「無限大」にしていたと思うのですが、関数の場合は「ある値」へどんどん近づけて行ったらどうなるかを考えることになります。
つまり \(2\) に限りなく近づける、とか \(0\) に限りなく近づけるといったことが当たり前に出てくるということです。もちろん無限大もありますよ。
さて、言葉だけではわかりづらいので少し具体的に見ていくことにします。先ほど出てきた二次関数はグラフを書くと
になりますが、この式の変数である \(x\) を例えば \(2\) に近づけると値はどうなるでしょう。
これはいいでしょう。もちろん値は \(4\) に近づきますよね。
だって実際に \(x=2\) を代入すると
\(y=2^2=4\)
ですし、確かにどんどん \(x\) を \(2\) に近づけていけば
やはり \( y\) は \(4\)に近づきそうです。つまりこの極限は今までの書き方に習えば
\(\displaystyle\lim_{x\to 2}x^2\)
とかけ、この極限は計算すると
\(\displaystyle\lim_{x\to 2}x^2=4\)
となることがわかりました。ここまでは何にも難しく感じません。ある意味ただの「代入」でことが済んでしまうからです。
数列の極限では何番目の項であるかを表す \(n\) を「無限大」に持っていきました。
一方で関数の極限では \(x\) を「いろんな数字」に持っていきますが、このことを除けば数列・関数の両者の極限は全く違いませんね。
つまり計算だけだったら私たちはもうすでに関数であっても極限計算はできるはずです。数列の極限計算は散々やってきましたから。ただし、極限が無限大だけではないのでいろんな場面で「不定形」が出てきます。
また、関数では不定形に見えてそうではないものもあります。私たちは関数のグラフをかけるのでグラフを見て極限を考えられるのです。ここが数列と大きく違うところです。
それらを学んだ上で、その極限計算の意味について考えてみる方が良いでしょう。
まとめると
・関数の極限も計算自体は数列の極限と同じ
・両者の異なるところは”極限をとるのが無限大だけではない”ということ
・グラフを使って極限を考える場合が出てくる(ここも数列と大きく違う)
・関数の極限はその計算の意味が非常に重要(これは後々)
です。
最初は関数の極限と題して計算の練習をしましょう。不定形をどうやって回避するか、その新しい方法がいくつか出てきます。ちょっと変わった極限(右側・左側極限)も登場します。
その後、僕たちに馴染み深い関数について極限を考えてみます。例えば三角関数とか。
最後にはいろいろなテクニックを学びます。極限計算できなさそうな式も、工夫すると計算ができる場合があります。極限計算の最終章です。
これで晴れて微分に向かうことができるわけです。なかなか道のりは大変そうですが大丈夫。一つ一つクリアしていきましょう。
いったん広告の時間です。
関数の極限は何に使う?
さて、関数の極限では何を学び、これからどう学んでいくかがわかったところですが、これらは一体どこで使うのでしょうか。
少し先ほど書いてしまいましたが、答えは
微分
です。微分の一番最初に実は極限計算が出てきます。まあ思い出してみると微分の定義には確かに \(\lim\) の文字がありましたよね。
数学Ⅲの大部分を占める微分・積分を学ぶために、この「関数の極限」は切っても切り離せない分野なのです。
数学は積み重ねの学問ですが、数学Ⅲの中でも順番があります。関数の極限をやったあとじゃないと微分は何をやってるかわからないでしょう。
微分を倒すために、まずは関数の極限をマスターすることが必要なのです。一緒に頑張っていきましょう。
まとめ
関数の極限は正直なところゴールが見えない分野の一つです。これは理由がはっきりしていて、そもそもこの分野で完結するような内容ではないからです。先に示した通り微分に直結する準備の段階なので、こう言いたくはないのですが『とりあえず覚える』ことが必要です。少しの我慢です。頑張りましょう!
ではまた。
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