集合とは
「集合」と聞いて体育の授業を思い出した人もいるでしょうか。ここで扱うのは数学における集合です。
日常的には集合はものが集まっているイメージを持つと思いますが、基本的には数学でも同じです。
ですが数学は数字を扱うので、基本的に集められる対象は数字です。
数学ではある条件のもとで数字を集めます。そしてその条件によって集められた数字たちを
ある条件下での集合
と呼びます。
例えば偶数の集合を考えてみます。もちろん 2、4、6、、、と集められますね。この集合の中にある数字を要素と言います。
偶数は無限にありますので、偶数の集合は要素が無限個です。それを数学では次のように書きます。
\(A=\{2,4,6,8 \ \cdots\}\)
もちろんこれだけではありませんが王道はこの書き方になります。集合はカギカッコを使います。
ものすごくたくさんある場合は最初に文字で指定して、その文字の条件を書いたりして省略したりもします。
例えば偶数の集合なら
\(A=\{x|x=2a\ aは正の整数\}\)
なんて書くこともできます。正直なところ集合を小難しく書くことは高校数学の範囲では少ないですし、具体的にわかるなら書き出したほうがいいです。
ある条件で数字を集めたものを集合という。
集合の書き表し方はいろいろ。書き方はその都度覚えよう。
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2つの集合の関係
次は2つの集合を考えてみましょう。
例えば1から10の中の整数で、「2の倍数の集合」と「3の倍数の集合」を考えてみます。
ここでは2の倍数の集合をA、3の倍数の集合をBとします。
2の倍数は
\(A=\{2\ ,\ 4\ ,\ 6\ ,\ 8\ ,\ 10\}\)
3の倍数は
\(B=\{3\ ,\ 6\ ,\ 9\}\)
と表されますね。ではこの集合に入らなかった数字が見つけられるでしょうか。
そうですね。1と5と7です。これらは1から10の中の整数でA、B2つの集合には入りませんでした。このように全体(1から10の整数)の中でも集合に入らないものも出てきます。
もう少し考えます。ではどちらの集合にも入っている数字はあるでしょうか。
あります。6ですね。6は2の倍数でもあり3の倍数でもあるのでどちらの集合にも属す数字です。
このように2つの集合どちらにも入っていることを
記号 \(\bigcap\) をつかって
\(A\cap B=\{6\}\)
と書きます。これは「AかつB」と読み、日本語だと共通部分と言ったりもします。つまりAの集合にもBの集合にも入っている数字は6ですということを示します。
さらに集合を合わせて考えることもできます。1、5、7以外の数字はAもしくはBの集合に入っていますね。そのような時記号 \(\cup\) をつかって
\(A\cup B=\{2\ ,\ 3\ ,\ 4\ ,\ 6\ ,\ 8\ ,\ 9\ ,\ 10\}\)
と書きます。これは「AまたはB」と読みます。日本語だと和集合と呼びます。今回考えている集合にどちらかもしくはどちらにも入っている数字を表していますね。
集合では頻繁に考える記号ですのでしっかりと押さえましょう。
また言葉として全体集合も覚えておくと良いです。
全体集合とは今考えている数字の範囲全てのことです。今回は1から10の整数ですね。これをUで表すことが多いです。
これらをまとめるとこんな感じですね。
例:1から10の整数で、2の倍数の集合をA、3の倍数の集合をBとする時
\(A=\{2\ ,\ 4\ ,\ 6\ ,\ 8\ ,\ 10\}\)
\(B=\{3\ ,\ 6\ ,\ 9\}\)
\(A\cap B=\{6\}\)
\(A\cup B=\{2\ ,\ 3\ ,\ 4\ ,\ 6\ ,\ 8\ ,\ 9\ ,\ 10\}\)
と書ける。
これらの記号の意味をしっかりと押さえましょう。
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ベン図で集合を可視化しよう
さてここまで読んでくださった方は感じているはず。
わかりづらいわ
と。その通りです。情報が羅列されるだけだとわかりづらいですね。記号も出てきて何を表しているのかいちいち考えなくてはなりません。
それを解消するのがベン図です。集合を
のような円で表すことにしましょう。つまり集合Aであれば
と書くわけです。これをベン図と言います。こうすれば2、4などが集合Aに入っていることが明白です。
同じようにBも考えます。
そうするとどちらにも入っている6はどうしようということになります。こういう時、このベン図は
と書くことにします。つまりベン図で重なっている部分がどちらの集合にも入っている範囲であると考えるわけです。
この図を見れば先ほど記号を決めたかつ、またはの数字たちがすぐにわかります。
\(A=\{2\ ,\ 4\ ,\ 6\ ,\ 8\ ,\ 10\}\)
\(B=\{3\ ,\ 6\ ,\ 9\}\)
\(A\cap B=\{6\}\)
\(A\cup B=\{2\ ,\ 3\ ,\ 4\ ,\ 6\ ,\ 8\ ,\ 9\ ,\ 10\}\)
ベン図と式が対応できますね。こうすればいちいち書き下さなくても図を書けば集合の関係がわかります。
これがベン図の良さです。ベン図は集合を可視化してくれます。これは今後集合を考える上で非常に便利ですよ。
ベン図と記号の対応関係を図で表しておきます。
\(A\cap B\)
\(A\cup B\)
イメージをしっかりと持ってくださいね。
まとめ
集合の基礎とベン図を学習しました。とにかく集合の記号とベン図を対応させることが肝心です。難しい問題であればあるほどベン図で考えてそのあと計算という流れが大事になります。
ではまた
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