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順列の問題 条件を言い換える

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今回の問題はこちら

 

1から9までの数字から5個の数字をとって作った順列について次の問題に答えよ。

  1. 奇数番目に必ず奇数がある順列はいくつ作れるか。
  2. 奇数は必ず奇数番目にある順列はいくつ作れるか。

 

この問題のポイントはまず問題文をきちんと読んで、どんな順列であれば良いかを考えることです。一つ二つ例をあげてみてどんな順列はOKでどんな順列はダメなのかを頭の中で整理しましょう。

ではまず1番からやっていきます。問題は5つ数字を並べていく中で奇数番目(1、3、5番目)に奇数がある順列を考えるように言われています。使う数字は1〜9の数字ですからその中には奇数は5つ偶数は4つあります。

順列を一個考えてみましょうか。例えばこんな順列はどうですか?

$$1\ 3\ 2\ 5\ 6 $$

奇数番目に制約があるので奇数番目だけみてあげればいいはずですね上の順列は3番目と5番目に偶数である2と6があるので条件を満たしません。

次はどうでしょう。

$$3\ 8\ 5\ 1\ 7$$

これは奇数番目に奇数がちゃんとあるので条件を満たします。

2つ例をあげましたがこれは問題をしっかりと把握するための第一段階です。見るべきところはどこなのか、問題で聞かれていることはなんなのかを探っていくことがここでのポイントです。

明らかに見るべきところは奇数番目でしょう。私たちが順列が条件に当てはまるかどうかを確認する時は奇数番目を見ますものね。

では奇数番目にはどんな条件があったでしょうか。奇数番目は奇数でなくてはならなかったですね。先ほど条件に合うかを判定する時もそう考えたはずです。

問題に戻りましょう。今回は奇数番目に奇数を置かなくてはいけないので、奇数番目には奇数が来るように仕向けます。

今回は奇数が5つありますのでその中で3つを1、3、5番目において並べればいいですね。その決め方は

$$_{5}\mathrm{P}_{3}=5\cdot 4\cdot 3 =60$$

より60通りです。

それ以外の2、4番目はなんでもいいので残った奇数と偶数の6個から2個とって並べればいいので

$$_{6}\mathrm{P}_{2}=6\cdot 5=30$$

より30通りなので求める個数は

$$60\times 30=1800$$

で1800通りです。これはやりやすかったですね。ポイントは奇数番目には必ず奇数が来るということは偶数が来ないので最初に奇数番目を決めることです。

さて次の問題の2番に移ります。この問題は1番よりは厄介ですね。そのまま問題文の通りには考えられないタイプです。

条件は奇数は必ず奇数番目にあるということです。先ほどと同じようにまずは具体例で考えてみましょう。

例えば

$$1\ 3\ 4\ 6\ 9$$

はどうでしょうか。奇数を見ると3が偶数番目の2番目にきているのでこの順列は条件を満たしませんね。

$$2\ 4\ 5\ 6\ 1$$

はどうでしょう。奇数に注目するとちゃんと奇数は奇数番目に入っていますのでこれは条件を満たします。

さて2つ例を出しましたがこれで何か手がかりが得られそうでしょうか。なかなか最初は難しいと思います。考えることはこんなところでしょうか。

 

  • 奇数奇数番目にきて欲しいが、必ずしも考えた順列に3つだけ奇数が入ってくるかはわからないので奇数を追うのは難しい
  • 奇数番目に奇数が来ればいいかもしれないが別に奇数番目に奇数が来なくても条件を満たす順列はある(2つ目の例)

 

これらを考えられればあと少しです。この2つの思考から

奇数と奇数番目を追うのは難しい

ということが結論づけられます。奇数と奇数番目について条件が出ているのにおかしく思えてしまいますが実際そうなのです。

ではどうすればいいか。そんな時は少し趣向を変えてこんなことを考えてみましょう。それが次の考えです。

条件を満たさない条件を考える

確率の問題でも「余事象」があるように、順列の世界でも条件に合わない事象を考えることで突破口が開ける時があります。違う言い方をすれば

条件を別の条件に書き換える

ことをするとも言えます。

今回の問題はまさにその典型例です。奇数と奇数番目に着目するのではなく、偶数番目と偶数に注目します。

要するに奇数は奇数番目に来なくてはならないということはすなわち

偶数番目には偶数が来なくてはならない

ということです。わかりますでしょうか。

少し詳しく解説します。奇数が順列に入った時点で奇数は奇数番目に来なくては条件は破綻しますね。例えば5つの数字のうち4つが奇数だと今回の問題の条件を満たすことはできません。

これはすなわち、

偶数番目には奇数は絶対に入らない

ことを意味しています。奇数があれば必然的に奇数番目にしなくてはいけませんから。

これはさらに言い換えると

偶数番目には必ず偶数が入る

ことに他なりません。この条件さえ満たしていれば奇数番目には何がきてもいいのです。奇数番目には奇数・偶数どちらが入ってもいいですものね。

というわけで問題はこう変わります。

偶数番目には必ず偶数が入る順列を探せ

これならすぐです。2、4番目には偶数が来るのですから4個の偶数から2つ選んで並べればいいので

$$_{4}\mathrm{P}_{2}=4\cdot 3=12$$

で12通り。他の3つはなんでもいいので残り7個から2つ選んで並べれば

$$_{7}\mathrm{P}_{3}=7\cdot 6\cdot 5=210$$

より210通り。すなわち求める個数は

$$12\times 210=2520$$

より2520通りです。できましたでしょうか。

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まとめ

今回は順列の問題で問題自体は単純でしたが、問題文をしっかりと把握することと、「言い換え」ができるかがポイントの問題でした。難しい計算はありません。ここで必要なのはその問題整理と思考です。これらを鍛えることがこのような「難しい」と言われる問題に対処する1番の近道です。

ではまた。

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