不定方程式とは
不定方程式とは
解が無数にある方程式
のことです。例えば私たちは連立方程式を習ったとき
文字が二つあるときは2つの式がないと答えが決まらない
と学びました。ですがここで扱うのは一つの式で2つの文字がある方程式です。
これはただ一つの解がでてくることはありません。無限に解が考えられます。例えば
$$2x+3y=8$$
という方程式の解は無数にあります。例えば
$$x=1\ ,\ y=2$$
とか
$$x=-2\ ,\ y=4$$
など値をおおきくしたり、マイナスの数字を考えれば無数に考えられるのです。
そこでこの方程式を「解く」ということはすなわち、
すべての解を表せる表式を見つける
ことにします。なかなかイメージがわかないと思いますので実際にその表式をお見せしましょう。
先ほどの方程式
$$2x+3y=8$$
のすべての解を表せる表式は次のようになります。
$$x=-3k+1\ ,\ y=2k+2\ (kは整数)$$
この表式は一通りではありませんがその一つを求めてみました。
確かにこの式は先ほど少し考えて求めた解のいくつかをちゃんと表しています。
例えば\(k=0\)とすれば
$$x=1\ ,\ y=2$$
となり一番最初に考えた解になりますし、\(k=1\)とすれば
$$x=-2\ ,\ y=4$$
となり、2番目に考えた答えの一つを表しています。さらに\(k=3\)を入れてみると、
$$x=-8\ ,\ y=8$$
となりこれも解であるとこの表式は言っています。確かに元の方程式に代入すると成り立ちます。
このようにして、ある整数を使って不定方程式の無数にある解の組み合わせを書くことを
不定方程式を解く
といいます。では不定方程式を解くためにはどうしたらよいのでしょうか。その一つを今回は説明しようと思います。
いったん広告の時間です。
不定方程式の解き方その1~ひとつ解を見つける~
不定方程式を解くにはどうしたらよいでしょうか。その一つはなにかというと
何とかしてその不定方程式の解を見つける
ことです。なぜこれでできるのかを説明しましょう。
例えば先ほどの不定方程式
$$2x+3y=8$$
の解は何個かわかりましたが、一つは
$$x=1\ ,\ y=2$$
でした。これを縦に並べて書いてみます。
$$2x+3y=8$$
$$2\cdot 1+3\cdot 2=8$$
これでそれぞれの項で上から下を引きます。連立方程式の要領です。
$$2(x-1)+3(y-2)=0$$
こうできましたでしょうか。少しわかりづらかったら一息置いて、
$$2x-2\cdot 1+3y-3\cdot 2=0$$
を計算してるのと同じですよ。あとは2と3でそれぞれくくっただけです。
さて、次は片方の式を移項します。
$$2(x-1)=-3(y-2)$$
この式を見てピンときたら数学のセンスがあるかもしれませんね。この式が意味するのは
2と何かをかけてできた数字=-3と何かをかけてできた数字
ですね。ということはすなわちこういうことじゃないでしょうか。
\(x-1\)は-3の倍数でかつ、\(y-2\)は2の倍数
そうじゃないと式がイコールで結べません。2はもちろん-3の倍数ではないですから、\(y-2\)が2の倍数でなくてはならないです。逆も同じです。
なので今のことを式で書くとこうなります。
$$x-1=-3k\ ,\ y-2=2k\ \ \ (kは整数)$$
倍数であれば何でもいいわけですから、適当な整数を使って上のように書けるわけです。あとは邪魔な数字を移項すれば
$$x=-3k+1\ ,\ y=2k+2\ \ \ \ \ (kは整数)$$
となり、不定方程式を解くことができました。
これを見てわかる通り、最初に使った一つの解は何でもいいことがわかります。計算には全く関係しないので、変わるのは最後の後ろの数字だけです。どの解を使ってもちゃんとした解答であることに変わりはないです。
終わりに
不定方程式のイメージは沸いたでしょうか。今回はその一つの解き方である「解を一つ見つける」を実践しました。一つ見つけることができれば解けることを理解してもらえれば十分ですし、これで武器が一つ増えましたよね。じゃあ解がなかなか見つけられない場合はどうするのかというのはまた別記事で。
ではまた。
コメント