\(ax+by=c\)型の不定方程式
この形はとにかく一つでもいいので解が求められれば解けます。詳しくは「不定方程式とその考え方(その1)、(その2)」を見るとよいでしょう。
ここではこれ以外の不定方程式と、こうすれば解けるという形を考えていきます。
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不定方程式の解法~掛け算の形を目指す~
まず初めに、整数の問題で共通の考え方を教えましょう。それは
和・差よりも、積・商のほうが扱いやすい
ということです。意外とこれに気づかずにただ解法を暗記している人がいますが正直もったいないです。この考え方を押さえておくだけで未知の問題に対する指針が一つ増えるわけですから。
例えばこんな問題
これを計算するときにわざわざ展開することは絶対にしません。これはもっと単純に書くと
$$A\times B=8$$
なのですから、\(A,B\)の候補はすでに少ししかないのです。要するに「かけて8になる」組を探せばよいのです。
足して8だとたくさんあります(無限にあります)が、かけて8だと整数の範囲では無限ではありません。
並べてみましょう。
$$1\times 8=8\ ,\ 2\times 4=8\ ,\ 4\times 2=8\ ,\ 8\times 1=8$$
マイナスもあるのでお忘れなく
$$(-1)\times (-8)=8\ ,\ (-2)\times (-4)=8\ ,\ (-4)\times (-2)=8\ ,\ (-8)\times (-1)=8$$
というわけで、\(A,B\)の候補はこれで尽きているわけですから、それぞれに対して\(x+3\)と\(y-2\)で当てはめて、\(x,y\)の組を求めましょう。
プラスのほうから行くと
例えば一番最初は
$$x+3=1\ ,\ y-2=8$$
より
$$x=-2\, \ y=10$$
と計算できます。これを残りすべてでやれば(自分でやってみてください)解の組は
$$(x,y)=(-2,10)\ , \ (-1,6)\ ,\ (1,4)\ , \ (5,3)\ ,\ (-4,-6)\ ,\ (-5,-2)\ ,\ (-7,0)\ ,\ (-11,1)$$
となります 。多いですが、展開したらこれを導き出すことは難しいでしょう。
さて、これは文字が二つに対して式が一つである不定方程式の一つですが、解が有限個になるパターンです。それはいま積の形でかけているから起こります。
逆に考えると、不定方程式であるけれど、「積の形にできれば解けるものがある」という見方もできます。
実際に問題を通してみていきましょう。
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部分的に因数分解して不定方程式を解く
例えば次の不定方程式を解いてみましょう。
$$xy-2x+3y-14=0$$
見る限り一つの式で文字が二つですから、解けなさそうですし、\(ax+by=c\)の形ではありません。
ではこれをどうするか。ポイントは\(xy\)があることです。これをみて、これは掛け算の形にできそうであることを思い起こしてほしいです。
要するにこれはおそらく
$$(x+O)(y+O)=\bigcirc$$
とできるはずであると。この\(O\)や\(\bigcirc\)を何とかして調整すればいいのです。
今回の問題では\(x\)に-2、\(y\)に3がついているので
$$(x+3)(y-2)$$
とすれば問題にある文字のついた部分を表せます。あとは定数のところですが、このままだと展開したときに-6しか出てきません。どうするか。-14にするために-8をつけましょう。要するに
$$(x+3)(y-2)-8=0$$
としておけば展開したときに元に戻りますよね。少しトリッキーですが慣れればすぐです。つじつま合わせをするだけです。
というわけで8を移項すれば
$$(x+3)(y-2)=8$$
となり、目指していた積の形になりました。これは実は先ほど解いた不定方程式ですので答えは割愛します(笑)。
大事なことはとにかく
ことです。積の形を作ることがゴールですから、そのあとのところは定数部分を自分立ちで工夫すればいいのですね。
終わりに
不定方程式はいろいろなパターンがありますが多くありません。また、それぞれに決まったやり方と考え方があります。さらに、どれに当てはまるかがわかれば後は機械的にできるはずです。整数の性質の大きなテーマの一つですので頑張って取り組みましょう。
ではまた。
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