組立除法は強力な割り算のツール
私たちは整式の割り算ができるようになったことで応用範囲が格段に広くなりました。
特に因数定理を学んだことによって、因数分解が数学の原理的には無限にできるようになったわけです。
ですが一つ障壁があります。それは
整式の割り算が非常にめんどくさい
ことです。筆算をやることで割り算はできますが、その筆算が非常に面倒ですよね。
これを改善する方法が一つあります。それは
組み立て除法
です。ここではなぜうまくできるかは抜きにしてやり方を伝授しようと思います。
例えば \(x^3-5x^2-2x+4\) を \((x-2)\) で割ることを考えてみます。普通なら筆算でやりますが、ここでは組み立て除法を使ってやってみたいと思います。
最初に結果だけ見せますね。
まずは、どこに何を置くかを説明しましょう。
一番上の左は割る数についている数字です。\((x-2)\) で今回は割りますが、ここにある \(2\) を取り出します。
その右には \(x^3-5x^2-2x+4\) の係数を置きます。左から「 \(x^3\)、\(x^2\)、\(x\)、定数」の係数を置いていきます。今回は
$$1\ ,\ -5\ ,\ -2\ ,\ 4$$
ですね。ここまでやれば準備は万端です。どうするかというと、左から計算をしていくのですが、まず、 \(1\) を下におろします。そのあとに一番左上にある数字と掛け算をします。今回は \(2\) ですね。その計算結果を次の \(-5\) の下に置きます。そしてそれらを足します。
これをどんどん繰り返すのです。次は \(-3\) と \(2\) をかけるので \(-6\) で \(-2\) の下においてそれらを足します。 \(-8\) になりますよね。これを繰り返した結果をもう一度下に載せます。
最後まで行ったら計算は終了です。一番右が区切られているのは意味があります。これが実はあまりなのです。その左にあるものは商に当たります。
今回の場合商は
$$x^2-3x-8$$
です。これも係数が書かれているので考えるときにはしっかりと補ってあげてください。今回の場合3次式を1次式で割っているので商は2次式になります。
というわけでこれで割り算が完了してしまいました。今回は
$$x^3-5x^2-2x+4=(x^2-3x-8)(x-2)-12$$
という結果が得られます。覚えてしまえば筆算より書く量も減りますから楽です。
というわけでこの後に問題を用意したので自分でぜひやってみてください。わからなくなったら解説に戻ってみてください。
では問題に移りましょう。
\(x^3-8x+2\) を \((x-3)\) で割る
気を付けてほしいことは今回の問題は \(x^2\) の項がないことです。このような状況で組み立て除法をする場合、係数は \(0\) にします。
こんな感じですね。
できましたか?というわけで
$$x^3-8x+2=(x^2+3x+1)(x-3)+5$$
と割り算出来ました。慣れてきましたか?
ではお次はこちら。
\(-2x^3+x^2+5\) を\((x+1)\) で割る
ここでの注意は \((x+1)\) で割るときに組み立て除法をするときに左上に \(-1\) を置くことぐらいですね。やってみましょう。
これより
$$-2x^3+x^2+5=(-2x^2+3x-3)(x+1)+8$$
です。容量はつかめましたでしょうか。では次がラストです。
\(x^3+3x^2-13x-15\) を \((x+5)\) で割る
やってみましょう。計算するだけですね。
今回はあまり \(0\) ですね。これは俗にいう因数分解ですね。
$$x^3+3x^2-13x-15=(x^2-2x-3)(x+5)$$
これで今回は終わりです。組み立て除法はとても便利なのでどんどん慣れて使いこなしていきましょう。
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まとめ
ここでは組み立て除法のやりかただけ伝授しました。割り算を素早くできる、特に因数分解を素早くやるときにとても役に立つのでぜひ身に着けておいてください。この複素数と方程式の範囲だけでなくほかの、因数分解を使う範囲で必ず時間短縮になります。
ではまた。
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