三角関数の公式は加法定理から
今回からいよいよ三角関数における重要な「公式」に触れていきます。
ですが、新しい「公式」は常に今までの知識を活用して作られますし、その今までの知識だけでは解けなくなった問題を解くために作ったり、考えたりするものです。
ですから「公式」と言いますが、なぜこの「公式」がなくてはならないかをしっかりと考えながら勉強を進めていきましょう。
今回は加法定理について解説します。公式の証明は別記事で行いますので気になる方はそちらを参照ください。
まず加法定理はどういう公式かを説明します。加法定理は
三角関数において角度の足し算引き算をどう計算するか
がわかる公式です。私たちは普通の数字なら足し算引き算は何事もなく出来るはずです。ですが三角関数においてこのような計算はどうしようもありません。
$$\sin(60^{\circ}+30^{\circ})$$
もちろん
$$\sin90^{\circ}=1$$
としてしまえば値はわかりますが、角度の足し算部分は
$$\sin(60^{\circ}+30^{\circ})=\sin60^{\circ}+\sin30^{\circ}$$
と出来るのでしょうか?実際に計算してみると
$$\sin(60^{\circ}+30^{\circ})=\sin60^{\circ}+\sin30^{\circ}=\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}\neq 1$$
となります。これはすなわち
三角関数において角度部分は単純に分けて計算できない
ことを意味しています。ですからこの角度部分の足し算(引き算)がどのように処理できるのかを知りたいわけですね。これを知ることで多くの新しいことがわかってきます。
その内容は今後わかるとして、まずはこの角度部分の分ける公式である加法定理をマスターします。
公式は次のようになっています。
加法定理
$$\sin(\alpha +\beta)=\sin\alpha\cos\beta +\cos\alpha\sin\beta$$
$$\sin(\alpha -\beta)=\sin\alpha\cos\beta -\cos\alpha\sin\beta$$
$$\cos(\alpha +\beta)=\cos\alpha\cos\beta -\sin\alpha\sin\beta$$
$$\cos(\alpha -\beta)=\cos\alpha\cos\beta +\sin\alpha\sin\beta$$
公式を見てわかる通り、\(\sin\) の公式にも \(\cos\) が出てくることがわかります。\(\cos\) の公式も同様です。ですから私たちの常識とは少し離れています。
私が言いたいことは
普通ではない
ことです。私たちの常識的な計算は通用しません。ですから新しいのです。新しいことはやはりたくさんやって慣れる必要がありますし、意識して使わなければいけません。
というわけで加法定理を使うためには覚えなければならないので覚え方を伝授しましょう。
いったん広告の時間です。
加法定理の覚え方
もちろんこの覚え方は管理人が覚える時に使った一例なので参考程度にしてくださいね。
$$\sin(\alpha +\beta)=\sin\alpha\cos\beta +\cos\alpha\sin\beta$$
この公式は
咲いた・コスモス・コスモス・咲いた
で覚えます。\(\sin\) が咲いた、\(\cos\) がコスモスです。“咲いた”で「咲いている」のは真ん中の符号がプラスだからです。
これがまずは基本です。これを基本にすれば
$$\sin(\alpha -\beta)=\sin\alpha\cos\beta -\cos\alpha\sin\beta$$
咲かない・コスモス・コスモス・咲かない
とできます。\(\sin\) の加法定理はこれで覚えます。
では次は \(\cos\) です。
$$\cos(\alpha +\beta)=\cos\alpha\cos\beta -\sin\alpha\sin\beta$$
コスモス・コスモス・咲かない・咲かない
\(\cos\) は最初に \(\cos\) がきますのでコスモスからスタートです。真ん中の符号はマイナスなので「咲かない」になっていますので注意です。
これを踏まえて
$$\cos(\alpha -\beta)=\cos\alpha\cos\beta +\sin\alpha\sin\beta$$
コスモス・コスモス・咲いた・咲いた
ですね。もちろん一例ですのでこれで覚えなさいというわけではありませんが、参考にしてみてください。
まとめ
加法定理は三角関数の後半を形作る大事な公式です。導出はここではしていませんが、まずは使えるようになることが大事です。なぜ加法定理が必要かを理解した上で、すぐに頭の中に思い浮かべられるようにしましょう。
ではまた。
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