積分は面積を求めること?
さて、今まで微分の逆でしかなかった積分を実際に役に立たせる時が来ました。その用途とは
面積
です。実は積分をすることは面積を求めることと等しいのです。
もうすこしちゃんと言いましょう。ある関数を「定積分」するとある場所の面積が求められます。
ここで不定積分ではなく「定積分」が出てきましたが実際にやる「積分」自体は不定積分と変わりません。
何が違うのかはこの後学ぶとして、今考えている面積とは何かを説明しましょう。
例えば二次関数を考えます。
\(y=x^2-2x+4=(x-1)^2+3\)
はグラフを書くと
になりますね。これは大丈夫なはず。では例えば
この図にある斜線の部分の面積を求めることはできますか。
できそうにも思えますが二次関数は曲線なので求めたい面積の上の方が曲がっています。
ですから私たちはこの面積を正確に求めることは今の時点で不可能です。
ですが積分を知った私たちにはこれができます。実はこの面積は
\(\int_{1}^{2} x^2-2x+4 dx\)
という定積分によって正確に求めることができるのです。欲しい面積の両端の \(x\) 座標と積分を用いればこの面積を求めることができます。
そしてこのインテグラルに何やら数字がついた積分が「定積分」です。
まずはこの定積分によっていままで求められなかった曲がった形の面積などが求められることをおさえてください。では定積分は一体どのように計算するのか、それを説明しましょう。
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定積分の計算の仕方
上に例を挙げた定積分を実際に計算してみます。実はやることは単純で
\(\int_{1}^{2} x^2-2x+4 dx\)
の意味は
(積分した後の式に \(2\) を入れた値)\(-\)(積分した後の式に \(1\) を入れた値)
です。つまり \(x^2-2x+4\) を積分すると
\(\frac{1}{3}x^3-x^2+4x\)
ですから
\(\left(\frac{1}{3}\cdot 2^3-2^2+4\cdot 2\right)-(\left(\frac{1}{3}\cdot 1^3-1^2+4\cdot 1\right)\)
を計算することが定積分をするという意味です。積分だけではなくその後に値を代入して計算するプロセスが増えるわけですね。
今回の場合、実際に計算してみると
\(\left(\frac{8}{3}-4+8\right)-\left(\frac{1}{3}-1+4\right)=\frac{20}{3}-\frac{10}{3}=\frac{10}{3}\)
となります。これが先ほど考えた変な形の面積です。
よくある表記は
ある関数 \(f(x)\) を積分した結果できた関数を \(F(x)\) とした時
\(\int_{b}^{a}f(x) dx=F(b)-F(a)\)
が定積分である。
というものですね。つまるところ私が先ほど言葉で示したように
積分してそこにそれぞれの積分範囲の端を代入して差を取る
これが定積分です。積分範囲とはインテグラルにくっついている数字、つまり積分する範囲の \(x\) 座標の間のことです。
式とグラフの対応関係をしっかりと押さえてくださいね。
では少し練習してみます。
次の定積分を求めてみましょう。
\(\int_{-1}^{3} (x^2+2x+3)\ dx\)
グラフは
ですので求める定積分は、つまりかなり広いので途切れちゃいますが
上図の斜線部分ですね。イメージが湧いたらあとは計算するだけです。
まずは積分したものを考えます。
\(\frac{1}{3}x^3+x^2+3x\)
あとはこれに \(3\ ,\ -1\) をそれぞれ代入して引いてあげるだけですね。
\(\left(\frac{1}{3}\cdot 3^3+3^2+3\cdot 3\right)-\left(\frac{1}{3}\cdot (-1)^3+(-1)^2+3\cdot (-1)\right)\)
というわけで求める面積は
\((9+9+9)-\left(-\frac{1}{3}+1-3\right)=27+\frac{7}{3}=\frac{91}{3}\)
より
\(\int_{-1}^{3} (x^2+2x+3)\ dx=\frac{91}{3}\)
です。
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定積分の記号を導入しよう
さて、これで定積分ができるようになったわけですが、先ほど計算してみてすこし不便だと思いませんでしたか。
なんで不便かというと
「一旦積分してその値を書く場所がない」
からでしょう。積分した式に値を代入することになるので積分結果をイコールで結ぶわけにはいきませんものね。
ですのでこれを解消するために次のような記号を用意しましょう。
\(\left[F(x)\right]^{a}_{b}\)
これはどういう意味の記号かというと
\(F(b)-F(a)\)
を計算せよというものです。これがあれば積分した後の値を書き込んでおくことができます。
つまり例えば先ほどの定積分の式は
\(\int_{-1}^{3} (x^2+2x+3)\ dx=\left[\frac{1}{3}x^3+x^2+3x\right]^{3}_{-1}=\left(\frac{1}{3}\cdot 3^3+3^2+3\cdot 3\right)-\left(\frac{1}{3}\cdot (-1)^3+(-1)^2+3\cdot (-1)\right)\)
というように計算を進めることができます。これで途中計算をどこか違うところに書かずにすみますね。
というわけで最終的に定積分は次のように一般的にかけます。
\(\int_{b}^{a}f(x)\ dx=\left[F(x)\right]^{a}_{b}=F(b)-F(a)\)
やることは変わりません。ただ単に記号を導入したに過ぎないのでそこは注意です。
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なぜ積分で面積が求まるか
今まで積分を学習してきて私は積分で面積が求まることを当たり前のように喋ってきましたが、もちろん疑問に思いますよね。なんで積分が面積になるのかと。
前は微分の逆が積分だとだけ言っていてなぜここで突然積分は面積だと言い張るのかと。
その通りです。本当にその通りです。本当であればもちろんそこの説明を入れるべきです。
実は積分は面積であると突然言い出したのは数学Ⅲの知識がないと積分が面積を求めることであるとしっかりと証明できないからなのです。
これは別の記事で詳しく話すことにして、まずは積分と面積が関わっているという事実を受け入れることにしましょう。
まとめ
積分が役立つ時がついにやってきました。不定積分ではなく定積分という新しい概念が出てきましたが、やることはまずは積分です。たくさん練習して積分を当たり前にできるようになることが重要です。
ではまた。
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