平均変化率とは
関数について考えるとき、微分はかなりの威力を発揮します。ですが微分を理解するために一つ足踏みをしなければなりません。それが「平均変化率」です。
「平均変化率」なんてかっこいい言葉がついていますが、言ってしまえばこれは傾きです。傾きを求める式をかっこよく書いただけです。見てみましょう。
ある関数\(f(x)\)を考えます。この関数はもはや何でもOKです。数学Ⅰで学んだ関数に限りません。三角関数や指数関数・そしてこれから多く扱っていく3次関数・4次関数などでもよいです。
その関数上にある点を2つとります。これを\(A(a,f(a))\)、\(B(b,f(b))\)と書きます。要するに適当に\(x\)座標をとって関数上の点を考えただけですね。
図でいうとこんな感じです。
そして、線分ABを考え、傾きを考えてみます。
これは高校の範囲ではありませんね。もちろん\(x\)の増加量は\(b-a\)、\(y\)の増加量は\(f(b)-f(a)\)ですから、傾きは
$$\frac{f(b)-f(a)}{b-a}$$
となります。当たり前ですね。これを私たちは微分範囲では、
”\(x\)が\(a\)から\(b\)まで変化するときの”平均変化率
と呼びます。
適当に点を取ってその2点間の傾きを平均変化率と言っているにほかなりません。名前に惑わされないでくださいね。
いったん広告の時間です。
微分係数を考える
では、先ほどの平均変化率の\(b\)を\(a\)に限りなく近づけるとどうなるでしょうか。
どんどんと直線は下に降りていき、\(b\)が\(a\)に”ほぼ一致”するまで近づけると、それはまさに点\(A\)でのこの曲線の接線になります。
一致させることはできません。なぜなら一致させると傾きが考えられなくなってしまうからです。
ですがその”ギリギリまで近づけた”時には「平均変化率」が「点\(A\)での接線の傾き」になりますよね。
これを私たちは点\(A\)での「微分係数」と呼ぶことにしているのです。すなわち、この微分係数なるものは、”曲線の点\(A\)での接線”の傾きであるといえます。
これを式で書くときはこういう記号で書くことにします。
左は微分係数を表す記号です。関数に”‘(ダッシュ)”を付けて書くことにします。
そして先ほど説明した”\(b\)を\(a\)にギリギリまで近づける”という動作を\(\lim_{b\to a}\)という記号で書くことにします。これを「極限」といいます。
この極限について詳しく触れるのは数学Ⅲです。ここでは難しく考えずに、ギリギリまで近づける動作を表していると思いましょう。
これを少し書き換えることにします。なんてことはありません。\(a\)を\(x\)に替え、\(b\)を\(x+h\)と表すことにします。すなわち図がこのようになります。
\(b-a\)が\(h\)に、\(f(b)-f(a)\)が\(f(a+h)-f(a)\)に代わるだけなので、点\(A\)での微分係数は
$$f'(a)=\lim_{h\to 0}\frac{f(a+h)-f(a)}{h}$$
とも書けます。極限のところが\(h\to 0\)になっているところに注意してください。
いったん広告の時間です。
平均変化率と微分係数を求めてみる
少し問題を解いてみましょう。
関数\(f(x)=x^2-x\)について、次の問題に答えよ。
1.\(x=1\)から\(x=1+h\ (h\neq 0)\)まで変化するときの平均変化率
2.\(x=1\)における微分係数
3.曲線\(y=f(x)\)上の点\(A(t,f(t))\)における接線の傾きが\(-1\)となるとき、\(t\)を求めよ。
まずは1から。平均変化率は傾きなので、\(x\)の増加量と\(y\)の増加量を求めればいけるはずです。
\(x=1\)の時\(f(1)=1^2-1)=0\)、\(x=1+h\)の時\(f(1+h)=(1+h)^2-(1+h)=h^2+h\)なので、平均変化率は
$$\frac{h^2+h-0}{(1+h)-1}=\frac{h^2+h}{h}=h+1$$
となります。
2に移りましょう。2は微分係数ですね。\(x=1\)における微分係数なので、先ほどの式
$$f'(a)=\lim_{b\to a}\frac{f(b)-f(a)}{b-a}$$
でいうと、\(a\)が\(1\)に当たりますね。では\(b\)はどうするかというと、そのまま残して、最後に極限として\(b\to 1\)とします。この極限は、今の段階ではただ単に式変形が最終的に終わった段階で\(b=1\)にすると考えてOKです。
まずは式を作ります。微分係数の式は
$$f'(1)=\lim_{b\to 1}\frac{f(b)-f(1)}{b-1}$$
となります。\(f(b)=b^2-b\)、\(f(1)=0\)なので
$$f'(1)=\lim_{b \to 1}\frac{b^2-b-0}{b-1}=\lim_{b \to 1}\frac{b^2-b}{b-1}$$
となりますが、まだ式変形ができるので代入しては行けません。今代入すると分母が0になってしまいますからね。
$$f'(1)=\lim_{b \to 1}\frac{b(b-1)}{b-1}$$
とくくれば
$$f'(1)=\lim_{b\to 1}\frac{b(b-1)}{b-1}=\lim_{b \to 1}b=1$$
と計算できます。最後は\(b=1\)としただけです。これで微分係数が1と分かったので、\(x=1\)という点での接線の傾きが1と分かりました。
最後に3です。これは今の問題の逆ですね。”接線の傾きが与えられている=微分係数がわかっている”ですから、まずは微分係数の式を作ってみます。
\(x=t\)での微分係数で
$$f'(x)=\lim_{h\to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}$$
を使ってみると
$$f'(t)=\lim_{h\to 0}\frac{f(t+h)-f(t)}{h}$$
です。求められる値を計算していきます。
$$f'(t)=\lim_{h\to 0}\frac{f(t+h)-f(t)}{h}=\lim_{h\to 0}\frac{\{(t+h)^2-(t+h)\}-(t^2-t)}{h}=\lim_{h\to 0}\frac{2th+h^2-h}{h}$$
と計算できます。このまま極限をとるわけにはいかないので\(h\)で約分します。
$$f'(t)=\lim_{h\to 0}\frac{2th+h^2-h}{h}=\lim_{h\to 0}(2t+h-1)=2t-1$$
と計算できました。
これが今回は\(-1\)なので
$$2t-1=-1$$
より
$$t=0$$
と計算できました。これは\(x=0\)での接線の傾きが\(-1\)であることを意味しています。
終わりに
平均変化率と微分係数は微分のイメージをつけるためには欠かせないものです。センター試験でもこの平均変化率の式を書かせる問題が出たほどです。定義に戻ってしっかり理解してほしいのでしょう。ここが微分の基礎になりますのでゆっくり理解していきましょう。
ではまた。
コメント
[…] 微分係数の記事で微分係数とは […]
Thank you!!1
You’re welcome!!
Thank you for visiting my website. I hope you improve your skills to use my mathematics website!!
Regards, da Vinch