指数計算の極意
指数計算は慣れていない人にとっては少し嫌な計算だと思います。なぜならいつもの感覚で計算ができないからです。
それを解決する方法はただ一つ。計算方法をしっかりと頭で描きながら計算することです。
ただその計算方法を頭でイメージしながらの時に闇雲にやろうとしては効率が悪いですから、ここでは一つの方針を示したいと思います。
それは
全て指数に直して計算せよ
です。指数の計算をするときに意外と皆さんができてないのが指数法則に頼ることです。
ルートが出てきたらルートの計算方法、分数が出てきたら分数の計算方法、、、とやっているとやはり混乱しますし、なにより指数法則を覚えた意味がありません。
ですから今言われれば当たり前のことかもしれませんが、とにかく全てを指数のしてみてください。見え方が変わるはずです。
ではこの先はどんどん問題を解いていきましょう。とにかく全てを指数にして計算してくださいね。
いったん広告の時間です。
指数計算の練習問題
問題はこちら。
(1)の解答
一つずつ見ていきましょう。まずは (1)からです。
問題は
\(\sqrt[3]{\sqrt{128}}\)
です。必ずやることは全てを指数に直すこと。これを徹底していきます。
この問題の場合はまず3乗根の中にある平方根からです。
\(\sqrt[3]{128^{\frac{1}{2}}}\)
平方根は1/2乗でしたね。ここで計算はせずに、さらに外の3乗根を指数に直してしまいます。
\(\left(128^{\frac{1}{2}}\right)^{\frac{1}{3}}\)
ここに来て初めて指数法則を使いましょう。
\(128^{\frac{1}{2}\times\frac{1}{3}}=128^{\frac{1}{6}}\)
大丈夫ですね。累乗の累乗は掛け算になるのでした。もちろん中身の128は
\(\left(2^{7}\right)^{\frac{1}{6}}\)
ですから、また指数法則を使えば
\(\displaystyle 2^{\left(7\times\frac{1}{6}\right)}=2^{\frac{7}{6}}=2^{1+\frac{1}{6}}=2\times \sqrt[6]{2}=2 \sqrt[6]{2}\)
と計算できます。全てを指数に直すことで機械的に計算ができることを心に留めておいてください。
(2)の解答
続いて(2)です。問題は
\(81^{-\frac{3}{4}}\)
です。これも同じですね。とにかく指数に直します。
\(81=3^{4}\)
ですから
\(81^{-\frac{3}{4}}=(3^{4})^{-\frac{3}{4}}\)
あとは指数法則ですね。
\(3^{4\times -\frac{3}{4}}=3^{-3}\)
マイナス乗は逆数でしたので
\(3^{-3}=\frac{1}{27}\)
で答えが出せました。パズルを解いているような感覚になってくれば良い感じです。
累乗の累乗は肩の掛け算
肩がマイナスの指数は逆数
(3)の解答
どんどんいきます。続いては(3)です。
\(\sqrt[3]{4}\sqrt[3]{54}\)
ひとまずやることは同じです。まずは指数に直すところから。少しずつ間を省略していきますが必ず自分で追ってくださいね。前半部分ですでにやっているものですので心配いらないですよ。
\(\sqrt[3]{4}\sqrt[3]{54}=4^{\frac{1}{3}}\cdot 54^{\frac{1}{3}}=2^{\frac{2}{3}}\cdot(2\cdot 3^{3})^{\frac{1}{3}}=2^{\frac{2}{3}}\cdot 2^{\frac{1}{3}}\cdot 3^{1}\)
ここまで来れますね。ここで次の指数法則を使いましょう。
底が同じ指数の掛け算は肩の足し算
でしたね。ですから
\(2^{\frac{2}{3}}\cdot 2^{\frac{1}{3}}\cdot 3^{1}=2^{\frac{2}{3}+\frac{1}{3}}\cdot 3=2^{1}\cdot 3=6\)
と答えが出せるわけです。
(4)の解答
これまでの計算を総括て(4)、(5)に挑戦です。まずは(4)から
\(\sqrt[3]{\sqrt{125}}\times \sqrt[3]{-25}\div \sqrt[6]{5}\)
複雑そうですが、まずは指数に直します。
\(\sqrt[3]{125^{\frac{1}{2}}}\times (-25)^{\frac{1}{3}}\div 5^{\frac{1}{6}}=5^{3\times\frac{1}{3}\times\frac{1}{2}}\times (-1)^{\frac{1}{3}}\times 5^{\frac{2}{3}}\times 5^{-\frac{1}{6}}\)
割り算は
\(\div 5=\times 5^{-1}\)
ですのでこれを使って掛け算にしてしまいましょう。また
\((-5)^{\frac{1}{3}}=(-1\cdot 5)^{\frac{1}{3}}=(-1)^{\frac{1}{3}}\times 5^{\frac{1}{3}}\)
とマイナスを分けてしまうことができますのでここにも注意ですね。
あとは計算するだけです。もちろん
\((-1)^{\frac{1}{3}}=-1\)
ですから
\(-5^{\frac{1}{2}}\times 5^{\frac{2}{3}}\times 5^{-\frac{1}{6}}=-5^{\frac{1}{2}+\frac{2}{3}-\frac{1}{6}}=-5^{1}=-5\)
となります。綺麗な答えが出て一安心ですね。
(5)の解答
ではラストの(5)です。
\(\sqrt[3]{54}-\sqrt[3]{16}\)
気をつけて欲しいのは足し算なので、指数法則の一部は使えませんね。掛け算であれば肩の足し算で良かったですが今回は違います。
ですがやることはまず同じ。指数に直します。
\(54^{\frac{1}{3}}-16^{\frac{1}{3}}=(2\cdot 3^{3})^{\frac{1}{3}}-2^{\frac{4}{3}}=2^{\frac{1}{3}}\cdot 3-2^{\frac{4}{3}}\)
さて、ここからどうしましょうか。指数にしたはいいですがこれ以上は計算不能ですね。
ここで一つおさえて欲しいことがあります。
どういうことかというと、例えば
\(\sqrt{2}+2\sqrt{2}=3\sqrt{2}\)
とできますよね。これと同じくして
\(\sqrt[5]{3}+3\sqrt[5]{3}=4\sqrt[5]{3}\)
とできます。平方根と同じ性質なのでこのように同じ累乗根であれば足し算引き算ができるのです。
ですから今回の問題は同じ累乗根にならないか確かめます。一つ目の項で数字で \(3\) が出ているので
\(2^{\frac{1}{3}}\cdot 3-2^{\frac{4}{3}}=3\sqrt[3]{2}-2^{\frac{4}{3}}\)
とできます。ですから第2項目も \(\sqrt[3]{2}\) が作れれば計算が続けられそうです。これは
\(\displaystyle 3\sqrt[3]{2}-2^{\frac{4}{3}}=3\sqrt[3]{2}-2^{1}\cdot 2^{\frac{1}{3}}=3\sqrt[3]{2}-2\sqrt[3]{2}\)
とできますね。ですから答えは
\(3\sqrt[3]{2}-2\sqrt[3]{2}=\sqrt[3]{2}\)
になります。少しトリッキーですが、方針を頭の中に入れておけば絶対にできない問題ではありません。指数法則をうまく使えるかがポイントです。
まとめ
指数の計算はとにかく「方針」と「指数法則を使いこなす」、この2つがしっかりとできていれば解けない問題はないはずです。まずは指数に。そしてまとめられなかったら戻すという一連の流れをおさえてくださいね。
ではまた
コメント
1番と5番がおかしいです。
1番は 2^(7/6)
5番は 2^(1/3)
となるはずです。
電卓でも確認したのでこちらが正しい解だと思います。
コメントありがとうございます。管理人の da Vinch です。
的確なご指摘ありがとうございます。確認しましたところその通りでしたので訂正させていただきました。
記事の正確性向上において大変有難いご指摘です。これからも当サイトをどうぞよろしくお願いいたします。