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無限級数の計算練習〜その2〜

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無限等比級数&無限級数の性質を使ってみる

無限級数の計算練習〜その2〜ということで、ここでは主に無限等比級数と無限級数の性質を用いた計算の練習をしていきます。もし〜その1〜をみていなければこちらからどうぞ。

無限級数の計算練習〜その1〜
無限級数に新しいことはない? ここまで無限数列・無限級数と学んできました。ここでひとまずまとめとして計算の練習をしてみましょう。 というのも無限級数は 数列の和 + 極限 であります。ですから、実は求められている知識は数学Bの数列の知識...

では早速練習していきましょう。

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問題1

最初はこんな問題。

112+1418+
 
まずはこの無限級数がなんなのかを理解しなければなりません。無限級数の計算ではまず部分和を計算するのでしたが、それも運よく私たちが知っている数列の和であれば、の話です。
 
じっくり見るとこれは初項が1で公比が 12無限等比級数ですよね。つまりn番目の項は
 
 
1(12)n1=(12)n1
 
 
であります。よって部分和 Sn
 
 
Sn=112+14++(12)n1
 
 
となります。これは私たちになじみ深い等比数列の和なので、公式を用いれば、初項 1、公比 12、項数 n なので
 
Sn=1(1(12)n)1(12)=1(12)n32=23(1(12)n)
 
ですね。あとはこれの極限を取るのが無限級数を計算することに当たりますから
 
n=1(12)n1=limnSn=limn23(1(12)n)=23(10)=23
 
となります。途中で
 
 
limn(12)n=0
 
 
を用いました。大丈夫ですね。数列の極限で学んだはず。
 
このような感じで、無限等比級数も部分和を用いれば簡単に計算できるわけですが、この流れが理解できた人は
 
無限等比級数の公式
 
を使ってもいいです。というより慣れてきたらぜひ使ってください。初項と公比だけで無限級数は求めることができるからです。
 
公比 r1<r<1 のときは、初項 a が 0 でない時
 
 
a1r 
 
 
と計算できるのでした。これを使えば今回の問題も 初項 1 公比 12 なので
 
 
11(12)=132=23
 
 
と簡単に計算できます。公比が重要ですのでこの公式を使うときは注意してくださいね。

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問題2

お次はこちら

n=113(53)n1
 
この問題は解けますでしょうか。やはり最初はこの数列がなんなのかを理解するところからですね。
 
ぱっとみてこれが「無限等比数列だ」と気づけた人はこの問題をやる必要はないでしょう。わからない人も大丈夫。わからないときは和の記号を書き下してみることが重要です。
 
13(53)11+13(53)21+13(53)31+=1359+2527+
 
これでわかりやすいでしょうか。そうですね、初項 13、公比 53 の無限等比級数です。
 
つまり無限等比級数の公式を使えば一発なわけですが、公式を使うまでもありません。なぜなら公比が 531 より小さいからですね。
 
この場合は無限等比級数は収束せずに発散してしまいます。よって答えは
 
発散する
 
です。
 
最初から計算をしようとするのは無限級数を考える上では得策ではありません。じっくりどんな無限級数なのかを見極めてから計算を始めましょう。

問題3

今回の最後の問題はこちら
 
n=15n3n+132n
これはどうでしょう。明らかに自分たちの知っている無限級数ではないにおいがしますね。
 
とりあえずよくわからないので書き下してみることにします。
 
 
n=15n3n+132n=599+252781+
 
 
となりやっぱり法則性を見つけられません。こういうときはどうすればいいのでしょうか。
 
まず注目すべきなのは今回の無限級数は「引き算」が入っていることです。これはつまり
 
もう少し分解できる
 
ことを意味しています。どういうことかというと
 
n=15n3n+132n=n=1(5n32n3n+132n)
 
と分けられそうである、ということです。これの何がいいかというとそれぞれをもう少し計算すると
 
n=1(5n32n3n+132n)=n=1(5n9n33n9n)=n=1((59)n3(39)n)=n=1((59)n3(13)n)
 
となり、これはそれぞれが等比数列っぽいことがわかります。つまりこれらをもし
 
n=1((59)n3(13)n)=n=1(59)n+n=1(3(13)n)
 
とできればどちらも無限等比級数なので計算できそうですよね。
 
ここで無限級数の性質を思い出せば、この変形は実際に「やってもよい」のでした。ただし
 
それぞれの無限級数が収束するときのみ
 
でしたね。つまり今回の問題だと
 
 
n=1(59)n
 
 
 
n=1(3(13)n)
 
 
の両方が収束しなければ先ほどの変形はしてはいけないのです。
 
ですので、実際に計算をして分けられるかどうかを確認しましょう。
 
まずは
 
n=1(59)n
 
ですが、これは
 
 
n=1(59)n=59+2581+
 
 
より初項は 59 公比も 59 であることがわかるので、この無限級数は収束して
 
 
n=1(59)n=59159=5949=54
 
 
となります。また
 
n=1(3(13)n)=11319+
 
 
よりこれは初項 1 公比 13 の無限等比級数なので、やはり収束して
 
 
n=1(3(13)n)=1113=132=32
 
 
となります。これで分けていいことが確定したので結局求めたい無限級数は
 
 
n=1((59)n3(13)n)=n=1(59)n+n=1(3(13)n)=5432=14
 
と計算できます。一見できなさそうな問題でも、和や差に注目して分けることができれば突破口が見えてきます。

まとめ

無限級数はとにかく部分和が重要ですが、今回のやった問題は無限等比級数と、無限級数の性質を使った問題でした。計算自体はそんなに面倒ではないのですが、最初に無限級数をじっくりと眺めることができるかがポイントです。無限級数はどちらかというと計算よりも「どう解くか」が重要ですから、一問一問から解き方を吸収することを心がけましょう。
 
ではまた。
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