微分をもっと有効に使う
微分はある点での接線の方程式の傾きを表すものでした。ではこの性質を使って関数を微分したものである導関数を使って何か議論できないでしょうか。
それは何かというと、
グラフの概形を考える
ことです。
例えば、ある関数の導関数がある区間では常にプラスであったと仮定しましょう。値はもちろん区間中の値ごとに違います。この時、元の関数について何がわかるでしょうか。
導関数がプラスということはある区間で接線を考えると必ず右上がりになることを意味しています。これはすなわち元の関数のグラフが\(x\)の増加に伴って\(y\)の値も増えてないといけないことになります。
図でいうとこんな感じです。
黒い線が接線です。これらは今、常に傾きがプラスです。その接点を滑らかに結ぶと、確かに元の関数のグラフが右上がりになっていることが見えてきます。
このように導関数がプラスであるところはグラフが右上がりになることを
グラフが単調に増加する
といいます。
逆にマイナスの場合はどうでしょうか。予想がつきますね。
先ほどとは逆に接線の傾きがマイナスである区間を考えると元のグラフは右下がりになっているのがわかります。
このように導関数がマイナスであるところはグラフが右下がりになりますがこのことを
グラフが単調に減少する
といいます。
では導関数が0になるところはどうでしょうか。これは傾きが0の場所を表していますから、グラフの増減が切り替わるところになります。増加していた関数が減少に転じたり、減少していた関数が増加するちょうど境目のところです。
この増減が切り替わるときの\(y\)の値を
極値
といいます。今後はこの極値を求めることが大事になっていきます。
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増減表を書けるようにする
では少し例を挙げて先ほどの、単調増加・単調減少・極値を見ていきましょう。
例えば関数\(y=x^2+2x+2\)という2次関数を考えてみます。
これは平方完成すれば、
$$y=(x+1)^2+1$$
ですから、グラフを次のようになります。
では続いてこの関数を微分してみましょう。簡単ですね。
$$y’=2x+2$$
です。今までの話から、微分したこの値がプラスであればグラフは単調に増加するということでした。
その範囲は
$$2x+2>0$$
より
$$x>-1$$
ですが。確かにグラフを見ると\(-1\)よりもプラス側でグラフは右上がりになっています。
逆に
$$x<-1$$
であればグラフは右下がりとなっていて単調減少していることが確認できます。さらに微分した値が0になる
$$x=-1$$
は、やはり増加と減少が入れ替わるところです。これが極値です。今回の場合極値は\(1\)になりますね。
これを簡単な表にすると次のようになります。
一番上が\(x\)の値で、その下の\(y’\)が微分した関数がどのような符号になっているかを表しています。さらにその下の\(y\)が\(y’\)の情報をもとに元の関数が増加しているのか、減少しているのかを矢印を使って表しています。\(y’=0\)のところは極値を書きます。
こう見ると関数がどんな風になっているか大体イメージができてくると思います。
グラフの概形をわかるように、微分の情報を交えたこの表を「増減表」といいます。どんな関数でもこの増減表を書けばグラフの概形がわかることになります。
今後はこの増減表を用いていろいろなグラフを書くことを目標にしていきましょう。
終わりに
今回は微分の有用性が色濃く表れる、関数の増加・減少について詳しく話してきました。これを使えば最後にも書いた通り、いろいろなグラフの概形が書けます。特にこの数学Ⅱの範囲では「3次関数」「4次関数」に焦点を当てていくことが非常に多いので覚えておくとよいでしょう。
ではまた。
コメント
[…] ここまで勉強をしている人は増減表を見たことがあるでしょう。私の記事ではこの記事で2次関数について増減表を考えてみました。 […]