ここでは2次不等式の解法について見て行きましょう。
2次不等式を学校等で習った皆さんはどのようにこの2次不等式というものを解いているでしょうか。
おそらく、これから説明をしますが「因数分解して解を見つけ、不等号の方向は暗記しておいて答えを出す」ということをしている人が多いと思います。なぜなら複雑に考えなくてもいいので楽だからです。
しかし、正直に言ってこのやり方”だけ”で2次不等式を解いているとしたら、今後の関連問題でつまづいてしまうのでやめたほうがいいです。なぜこんなに強調するかというと、2次不等式はこの分野だけにとどまらず他のあらゆる(一部は除く)分野に登場するからです。この記事で伝えたいことは2次不等式に限らず不等式をどのように解いていくかです。これがわかればこれから先に待ち受ける「あらゆる不等式」に対応できます。
では本題に入りましょう。上述の通り色々な見方で不等式を解きますが、今回は同じ2次不等式を
- これだけ覚えれば機械的にできる方法
- 少し面倒だけど本質的にわかりやすい方法
の2通りで解きます。もう一つ最も重要な解き方が関数で考える方法ですが、これはまた別記事にします。大事なので。
最初は、「これだけ覚えれば機械的にできる方法」です。これのメリットは2次不等式を解く際に何も考えずにできるので、ただ答えをすぐ出したい時などに有効です。ただ、「関数で考える方法」との関連をしっかりとマスターすると、なぜ機械的にやっても大丈夫なのかがわかるのでそちらも必ず押さえましょう。
では始めましょう。例題は2問やります。そのあとに注意して欲しい形を一問やります。
まずはこの不等式。
$$3x^2+20x-7>0$$
そもそも2次不等式はなぜ普通に解けないのでしょうか。 \(2x+3>0\) なら簡単に解けますよね?もちろん移項して、2で割ればいいので答えは \(x>-\frac{3}{2}\) です。なぜか、それは2次不等式はそもそも式変形をして \(x>○\) などの形にできないのです。2乗が邪魔をしています。移項などの式変形では解けないのでちょっと工夫しなきゃいけないんですね。
戻ります。まず何をするかというと左辺を因数分解します。なんのためかというと\(3x^2+20x-7=0\) の答えを出すためです。因数分解は大丈夫ですね?
$$3x^2+20x-7=(x+7)(3x-1)$$
できました。
ここから\(3x^2+20x-7=0\) の解は、\(x=-7\ ,\ \frac{1}{3}\) です。
この次に覚えてもらうことが出てきます。それは不等号の向きです。今問題は「大なり(だいなり)」(\(>\) )の時は答えが
$$x<♠ \ ,\ x>♣$$
の形になります。もちろん不等号の向きを見てもらえればわかると思いますが♠よりも♣の方が大きい数字になります。そしてその♠と♣は先ほど考えた(左辺)=0の答えです。ということは今回の2次不等式の解は、\(♠=-7\ ,\ ♣=\frac{1}{3}\) なので
$$x<-7 \ ,\ x>\frac{1}{3}$$
になります。
では次に「少し面倒だけど本質的にわかりやすい方法」を説明します。これは掛け算の性質を使った方法です。
最初にやることはやはり因数分解です。解く不等式は先ほどと同じ
$$3x^2+20x-7>0$$
にしましょう。因数分解はもうやっているので大丈夫ですね。上の式を因数分解すると
$$3x^2+20x-7=(x+7)(3x-1)>0$$
となります。さて、ここで考えることは見方を変えれば、左辺が\((x+7)\)と\((3x-1)\)の掛け算になっていることです。そしてこの不等式が言っていることはその掛け算の答えが正になってほしいということであります。
2つの数字の掛け算がプラスになるためには
- プラスかけるプラス
- マイナスかけるマイナス
この2つのパターンがあります。どちらも答えとしては適しているので最終的には出てきた二つの答えをくっつけることになりそうです。
概念がわかったところで実際にやってみましょう。まずプラスかけるプラスになる方は
$$x+7>0\ ,\ 3x-1>0$$
です。カンマは「かつ」の意味です。これは中学生にもやった1次不等式と同じなので解くと、
$$x>-7\ ,\ x>\frac{1}{3}$$
なので共通の範囲を見ると(共通の範囲とはどちらの不等式も満たす範囲ということ)
$$x>\frac{1}{3}$$
となります。
同じようにマイナスかけるマイナスをやると
$$x+7<0\ ,\ 3x-1<0$$
より
$$x<-7\ ,\ x<\frac{1}{3}$$
であるから、同じように共通範囲をとって
$$x<-7$$
であります。
最終的に2次不等式の答えは出てきた答えを合わせればいいので
$$x<-7\ ,\ x>\frac{1}{3}$$
となり、最初のやり方と同じ答えが出てきていますね。
さて、2通りのやり方でやりましたがいかがだったでしょうか。最初のうちは自分に合った方法でやるのがベストです。最終的にはどちらも覚えて、使いこなせるようになる必要がありますが・・・。
最後にこれだけは気をつけてということを言っておきます。例題はこちら
$$-x^2+2x+5\geqq 0$$
今までと違うところは \(x^2\) の係数がマイナスということです。これだと少し考え方が変わってしまい今までの方法を使いづらくなるのでマイナスをかけて \(x^2\) 係数をプラスにします。すると
$$x^2-2x-5\leqq 0$$
となるのであとは因数分解していくだけです。といってもうまくできなさそうなので解を求めてみます。
$$x^2-2x-5=0$$
の解は
$$x=1+\sqrt{6}\ ,\ 1-\sqrt{6}$$
なので因数分解は
$$x^2-2x-5=(x-(1+\sqrt{6}))(x-(1-\sqrt{6}))\leqq 0$$
なので答えは
$$1-\sqrt{6}\leqq x \leqq 1+\sqrt{6}$$
となります。
2次不等式は非常に大事なところです。次回以降2次関数との関わりがわかると、さらに重要であることがわかるでしょう。使いどころがたくさんですし、関数と方程式の関わりの基本を抑えることができるので大事ですよ。
ではまた。
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