2重根号とは
2重根号とは次のようなものをいいます。
$$\sqrt{6+2\sqrt{5}}$$
ルートの中にルートが入っているものですね。実はこれはもっと簡単にできるときとそうでないときがあります。これは以下のように変形出来ます。
$$\sqrt{6+2\sqrt{5}}=\sqrt{(\sqrt{5}+\sqrt{1})^2}$$
確かに一つ目のルートの中を展開すると元に戻ります。この形にできたということは、ルートの中身はプラスですから、
$$\sqrt{6+2\sqrt{5}}=\sqrt{(\sqrt{5}+\sqrt{1})^2}=\sqrt{5}+1$$
とできます。これで2重についていた根号が一つになってくれました。これを「2重根号」を外すといいます。
今回は2重根号を外すにはどうすればいいのか、どう考えればいいのかを説明していきます。
いったん広告の時間です。
足して、かけてを考える
先ほどの例でもあった通り、2重根号が外せるためにはルートの中が2乗の形になる必要があります。すなわち一般的に
$$\sqrt{(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2}$$
の形にならなければ2重根号は外せません。ということは逆にルートの中身が
$$\sqrt{(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2}=\sqrt{(a+b)+2\sqrt{ab}}$$
になっていないと2乗の形に戻らないのでこの\(a\)と\(b\)を探すことになるのです。
例えば先ほどの例だと
$$\sqrt{6+2\sqrt{5}}$$
でしたので、かけて5、足して6になる様な\(a\)と\(b\)を探すと確かに1と5ですので、式は
$$\sqrt{6+2\sqrt{5}}=\sqrt{(\sqrt{5}+\sqrt{1})^2}$$
とでき、2重根号が外せたわけです。よって2重根号の問題が出てきたときは、一般的な形と同じであることを確認したら、
かけて・足して
を意識しましょう。1問例題をやりましょう。
$$\sqrt{8+2\sqrt{15}}$$
これの2重根号を外してみましょう。やることは一つだけ。かけて15、足して8である数字を見つけるのです。見つけましたか?
答えは
$$\sqrt{8+2\sqrt{15}}=\sqrt{(\sqrt{5}+\sqrt{3})^2}=\sqrt{5}+\sqrt{3}$$
となります。途中でちゃんと2乗の形になることは意識しましょう。
では少し違うパターンでもう1問。
$$\sqrt{7-2\sqrt{12}}$$
少し立ち止まりましょう。今までと違うところが一つあります。それはマイナスになっていることです。こういう場合は先ほどと何か違うのでしょうか?
これはどうして2重根号が外せるかをわかっていれば何も変わらないとこがわかるでしょう。なぜなら、
$$\sqrt{(a+b)-2\sqrt{ab}}=\sqrt{(\sqrt{a}-\sqrt{b})^2}=\sqrt{a}-\sqrt{b}$$
となるだけであるからです。なのでやることは今までと同じですね。
しかし少しだけ注意があります。それは2乗を外すときに\(\sqrt{a}-\sqrt{b}\)の符号がどうなっているかを判断する必要があります。もしマイナスなら「マイナスをつけて外す」ことが必要になりますよね。
こんなことが起こるので、意識としては中身がプラスになる様に順番を考えましょう。
例で確認します。
$$\sqrt{7-2\sqrt{12}}$$
は足して7、かけて12の数字を見つければいいので、3と4ですね。ということは候補として
$$\sqrt{(\sqrt{3}-\sqrt{4})^2}$$
と
$$\sqrt{(\sqrt{4}-\sqrt{3})^2}$$
が考えられます。どちらも正しいのですが、下の方がすんなりいきます。なぜなら2乗の中がプラスなのでそのまま外せるからです。上だと
$$\sqrt{(\sqrt{3}-\sqrt{4})^2}=-(\sqrt{3}-\sqrt{4})=\sqrt{4}-\sqrt{3}$$
と考えなくてはならないため少し面倒です。どちらにしても答えは
$$\sqrt{7-2\sqrt{12}}=\sqrt{4}-\sqrt{3}=2-\sqrt{3}$$
です。
いったん広告の時間です。
2を作る
ではこんな問題はどうでしょう。
$$\sqrt{3-\sqrt{5}}$$
ん?なんかないですね。2がないです。\(\sqrt{5}\)の前に2がないので今までの話が使えないではありませんか。どうしましょう・・・。
心配はいりません。無いなら作りましょう。こんな風にすればいいですね。
$$\sqrt{3-\sqrt{5}}=\sqrt{\frac{6-2\sqrt{5}}{2}}$$
無理やり2を作るために分母分子に2をかけました。元に戻るのでやっても大丈夫です。こうすれば上の方は今までと同じですから、足して6、かけて5なので、5と1ですね。よって
$$\sqrt{3-\sqrt{5}}=\sqrt{\frac{6-2\sqrt{5}}{2}}=\frac{\sqrt{6-2\sqrt{5}}}{\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{5}-1}{\sqrt{2}}$$
となり、2重根号が外せました。最後は分母の有理化をして
$$\frac{\sqrt{5}-1}{\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{10}-\sqrt{2}}{2}$$
となります。おお、できましたね。
終わりに
2重根号いかがだったでしょうか。やり方さえしっかりとわかっていればできる問題ですので、しっかり練習しましょう。実は2重根号が外せるかどうかを判定することもできるのですが、高校数学の問題はほとんどが「できる」問題になっているので今回は割愛します。まずは基本的なところをできる様に!!
ではまた。
コメント