絶対値とは
絶対値とは
ある数字の符号を無視して得られる負ではない数字
のことを言います。もっと簡単に言うと
数直線上での原点からの距離
のことです。
例えば2の絶対値は2ですし、-3の絶対値は3になります。さらに安直に言うと
プラスの時はその数字がそのまま絶対値で、マイナスの時はマイナスをとった数字
であります。それを記号をつかって次のように書きます。
$$|2|=2$$
$$|-3|=3$$
ここまでは中学の範囲ですのでわからなかった人は必ずここで押さえてくださいね。
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高校数学での絶対値
さて、ここまでの話で絶対値なんて難しくないと思ってくれたらそれはありがたいのですが、これから高校数学をやっていくことを考えるとむしろ危険かもしれません。
実は高校数学では上でやったような「符号を変える」という考え方がほぼ通用しません。その例を一つ上げます。これです。
$$|x|$$
これは絶対値記号のない形で書く(「絶対値を外す」といいます)とどうなるでしょうか。簡単ですか?これは
$$|x|=x$$
だと思った人が何人もいるでしょう。そうですよね。
今の話の流れからして普通だと思いますが間違いです。なぜなら\(x\)は符号がこのままだとわからないからです。
\(x\)はプラスであるという根拠はなにもありませんよね。マイナスである可能性ももちろんあります。なので実は次のように「場合分け」をして絶対値を外さなくてはなりません。
上の表式が意味するのは、
ということです。大事なのは後半の「マイナスをつけて外す」というところです。ここにすべてが詰まっているというっても過言ではないです。
絶対値は符号を取るということではなく、マイナスの場合はマイナスをつけるというイメージを持ちましょうということです。例えば
$$|-3|=3$$
ということを先ほど確認しましたが、これからはこう考えたほうがいいということです。
$$|-3|=-(-3)=3$$
もちろん答えは同じです。しかし、「符号を変える」という行為を「マイナスをつけて外す」としていることが根本的に違います。文字の時は符号が見た目ではわからないのでこの考え方じゃないと絶対値を扱えないのです。
例えば次の絶対値はどう外せるでしょうか。
$$|x-2|$$
やはりこれも文字が入っているのでプラスマイナスがわかりません。なので中身がプラスになる範囲とマイナスになる範囲で場合分けをしなくてはいけないわけです。
\(x-2\)がプラスになるのは\(x\)が2以上であるときで、マイナスはその逆なので、
となるわけです。
ここまで見て面倒だなあと思った人はその通り。面倒なのです。実は問題作成する側としても、問題を難しくしたいなと思ったときに「とりあえず絶対値つけておけば難しくなるな(ニヤニヤ)・・・」なんて理由で絶対値をチョイとつけるのです。
なぜここまで絶対値を外す作業が必要なのかというと、絶対値は私たちの使っている数字とはある意味で離れているからです。なぜなら
$$|2|+|-3|=|-1|=1$$
なんて計算はできませんよね?この時点で足し算が普通にできないのです。これはもちろん
$$|2|+|-3|=2+3=5$$
としなくてはなりません。計算をする前に絶対値は外す必要があります。絶対値の面倒くささがわかってきたでしょうか。
終わりに
さて、ここまで絶対値についてみてきましたがいかがだったでしょうか。絶対値はいろんな問題に登場します。なのでこれを知っておかないと出てきたときに困ります。計算間違いをしてしまいます。まずはこの「マイナスをつけて外す」に慣れることが大事です。今後絶対値を使った問題が出てきたときにはここに戻ってくるのもありだと思います。
ではまた。
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