微分係数を使えば接線の方程式を求められる?
微分係数は何度も強調してきた通り、「ある点での接線の傾き」です。これはすなわち
ある関数を微分できれば、関数上のどんな点であっても、その点での接線の方程式を求められる
ことを意味しています。私たちはすでに、直線の方程式の求め方は知っているので、直線が通る一点と傾きさえわかれば直線は決められます。
では早速やってみましょう。
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接線の方程式のもとめかた~その1~
例えば次のような問題を解くことにします。
これはどういう意味かというと、まず\(y=x^3\)という関数を考え、その曲線上にある点の\((2,8\)を選びます。確かに\((2,8\)は\(8=2^3\)で曲線上にあります。その\((2,8\)で、\(y=x^3\)に接する直線を考えると言っています。そして問題はその直線の方程式、すなわち接線の方程式を求めよと言っているのです。
図でいうとこんな感じ。
この図に書いてある直線を求めろってことですね。
何をすればいいか。まずはこの直線の傾きを求めるために与えられた関数を微分します。
$$y’=3x^2$$
です。今は\(x=2\)での接線の傾きを求めたいので、その傾きは、微分した式に代入すれば得られますね。これが微分係数です。
$$傾き=3\cdot 2^2=12$$
です。こんなに簡単に傾きが求められてしまうのですね。微分おそるべし。
あとは直線の方程式を求めるだけです。もちろんこの接線は\((2,8)\)を通るので、
$$y-8=12(x-2)$$
より
$$y=12x-16$$
としてもいいですし、\(y=ax+b\)と置くと、\(a=12\)なので
$$y=12x+b$$
で、\((2,8)\)を通るので、
$$8=12\cdot 2+b$$
より\(b=-16\)と求めて直線の方程式を求めてもいいです。図形と方程式との関連で前者のやり方でできるようにしておくことをお勧めしますが、慣れないうちは後者でもいいと思います。
どちらにしても微分を駆使することで接線の方程式が出せそうなことがわかったと思います。
ではこんな問題はどうでしょう。
先ほどと違うところは、傾きが与えられていることです。ですが、さらに違うところは曲線と接線が交わる点、すなわち接点が与えられていないことです。
今までの話を思い出すと、接点の座標がないと微分して得た導関数から微分係数を求められません。すなわち接線の傾きが求められないことになります。
でも傾きが与えられているからいいじゃないか、と思うかもしれませんが、このままだと「どこで接するのか」がわからないので直線が決まらないわけです。
このように接点の座標が与えられてないときにどうするかというと必ず
接点の座標を文字で置く
ことをします。必ずです。接線の問題で接点が与えられてない場合は自分で置いてください。そうしなければ微分をする意味がなくなってしまいます。
では具体的にやってみましょう。
まず接点の\(x\)座標を\(t\)と置きます。するとその座標は\((t,-t^3+t\)になります。そして、その接点における接線の傾きを求めてみます。すなわち微分ですね。
\(y=-x^3+x\)を微分すると
$$y’=-3x^2+1$$
となります。\((t,-t^3+t\)における接線の傾きは
$$-3t^2+1$$
となります。ここで問題文に戻ると、今回は傾きが\(-2\)になるような接線を求めよと言っているので、
$$-3t^2+1=-2$$
であることが分かります。これを解くと、
$$-3t^2+3=0$$
$$t^2-1=0$$
$$(t+1)(t-1)=0$$
から、\(t=1\ ,\ -1\)と分かりました。すなわち接点は\((1,0)\)と\((-1,0)\)です。これが意味することは
この曲線に接していて、傾きが\(-2\)になるような接線の接点は2つある=接線は2つ考えられる
ということです。確かに図で確認してみると、2つありそうですね。
\(y=-x^3+x\)のグラフの書き方は別で学びます。とりあえず、この関数には傾きが\(-2\)である接線が2つありそうなことが見えればOKです。
というわけで、本題に戻って、接線の方程式を求めましょう。傾きと通る点がわかっているので、それぞれで求めます。
接点が\((1,0)\)のほうは
$$y-0=-2(x-1)$$
$$y=-2x+2$$
で、\((-1,0)\)のほうは
$$y-0=-2(x+1)$$
$$y=-2x-2$$
です。大丈夫でしょうか。
終わりに
今回は接線の方程式について学習しました。微分ではまず第一関門であり、かつ微分の有用性が一番感じられるところです。微分をうまく使って接線を求めることは他の応用問題でも必要になってくることなので必ず押さえましょう。どんな時も接点は必要ですのでそこだけでも頭に入れておきましょう。
ではまた。
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