「高校数学の知識庫」を今より10倍活用する方法

必ず押さえておきたいベクトルの問題その1~part2~

スポンサーリンク

今回はこの問題の続きです。三角形の面積のところから解説します。

まだ問題を解いていない人はぜひ解いてから見てください。

 

では解説に移ります。

 

ベクトルの問題において面積の問題が出てきたらほぼ確実に比をつかいます。なぜなら図形においてベクトルを求めるということはすなわち比を求めることに等しいからです。

今回の問題ではstを求めたことによってそれぞれの点が線分をどのように内分しているかがわかります。

求めた値は  

$$t=\frac{5}{7}\ ,\ s=\frac{6}{7}$$

ですが、これはすなわち \(OD:OE=5:2\) であることと \(AE:EC=6:1\) であることを求めたことになります。

ではこれらを使ってどのように三角形の面積に応用していくのか。それは次の知識を使うことで実現できます。

 

三角形OAC\(=\frac{1}{2}\cdot a\cdot h\)

三角形OCB\(=\frac{1}{2}\cdot b\cdot h\)

より

三角形OAC:三角形OBC=\(\frac{1}{2}ah\):\(\frac{1}{2}bh\)=\(a\):\(b\)

 

これはすなわち

高さが同じであれば底辺の比が面積の比

になることを言っています。すなわち面積が直接求められなくても比がわかれば面積を求めることが可能であるということですね。この知識を使いこなせばベクトルである程度の点数を取ることができるでしょう。まずは今回の問題をしっかりと解き、その感覚をつかんでください。

では行きます。今回は面積比に行く前に面積を求めなくてはなりません。その準備として内積を計算します。なぜならベクトルには以下の公式があるからです。

 

$$三角形ABC=\frac{1}{2}\sqrt{|\vec{AB}|^2|\vec{AC}|^2-(\vec{AB}\cdot\vec{AC})^2}$$

 

しかしこの公式はなにも新しいものではないです。それは以下の記事

ベクトルにおける三角形の面積の公式の導出とコツ
ベクトルで三角形の面積を考えるベクトルの問題を解いていて三角形の面積を求めさせられる場面がいくつかあります。その時に皆さんはどのようにして解いているでしょうか。ベクトルにも実は三角形の面積を求める公式があります。教科書などには発展内容として

で解説していますので気になる人は是非参照してください。

 

本題に戻ります。内積を出すためには問題文にある式でどのようにして求めればいいでしょうか。

この問題を考えるうえで一つポイントとして抑えて欲しいことがあります。それは

大きさは2乗しないとなにも生まれない

ことです。ベクトルの大きさをじっと見ていても実はなにも起きません。それを2乗することで初めて計算が続きます。

やってみましょう。   まず始点をそろえると

$$|\vec{AB}|=|\vec{OB}-\vec{OA}|$$

です。実際に二乗すると

$$|\vec{AB}|^2=|\vec{OB}-\vec{OA}|^2=|\vec{OB}^2\2\vec{OA}\cdot\vec{OB}+|\vec{OB}|^2$$

です。そうすると少し見えてくるものがありますね。そうです。欲しい内積がありますよね。もちろん他で出てきたベクトルの大きさは知っていますので

$$16=4-2\vec{OA}\cdot\vec{OB}+9$$

より

$$\vec{OA}\cdot\vec{OB}=-\frac{3}{2}$$

のようにすれば内積を求めることができます。

これで面積を出すことが可能です。公式に当てはめてしまえば

$$\triangle{OAB}=\frac{1}{2}\sqrt{4\times 9-\left(-\frac{3}{2}\right)^2}=\frac{1}{2}\sqrt{36-\frac{9}{4}}=\frac{3\sqrt{15}}{4}$$

となり、求めることができました。

ここからがこの問題の本題です。先程示した面積比を利用することでどんどんわかっていない面積を出していきます。

今回求めたいのは三角形OAEの面積です。もちろん直接出すことは不可能です。なのでわかっている三角形OABの面積からどんどん三角形OAEに近づいていきます。

まずはこの部分に注目です。これは隣り合っている三角形同士で高さが同じ三角形になっています。見えますでしょうか。

ということは三角形OADと三角形OACの面積比は底辺の比になります。よって

$$\triangle{OAC}:\triangle{ABC}=2:1$$

です。よって三角形OABという全体と見比べてやれば

$$\triangle{OAC}=\frac{2}{3}\triangle{OAB}$$

$$\triangle{ABC}=\frac{1}{3}\triangle{OAB}$$

ですね。これがわかっていない面積を比から出す方法です。難しくないですね。では本命の三角形OAEはどうやればいいでしょうか。もちろんこの三角形に注目すればいいです。

これを見ると三角形OAEと三角形OECが隣り合っていますね。これらの高さが等しいので底辺の比が面積の比になります。

すなわち

$$\triangle{OAE}:\triangle{OEC}=6:1$$

となります。よって三角形OACと比べれば

$$\triangle{OAE}=\frac{6}{7}\triangle{OAC}$$

よって先ほどの式と合わせれば

$$\triangle{OAE}=\frac{6}{7}\triangle{OAC}=\frac{6}{7}\cdot\frac{2}{3}\triangle{OAB}=\frac{4}{7}\cdot \frac{3\sqrt{15}}{4}=\frac{3\sqrt{15}}{7}$$

となり、これで求めることができました。どんどんと面積を移していく感覚を是非身につけてください。

いったん広告の時間です。

スポンサーリンク

まとめ

今回はベクトルの問題よく出てくる面積を比から求める方法を解説しました。面積を求めることは容易でないことのほうが多いです。そのときに比から出せることを知っているか否かは問題を解けるかどうかに大きくかかわってきます。一つその意識を頭に入れて問題にあたってみましょう。

ではまた。

スポンサーリンク
センター得点上昇計画
スポンサーリンク
高校数学の知識庫

コメント