ベクトルの成分表示での内積
ここではベクトルで出てくる成分表示での内積の公式をじっくりと証明していきます。
ちなみにベクトルの成分表示での内積はこのように計算できました。
上の図において \(\vec{OA}=(a,b)\ ,\ \vec{OB}=(c,d)\) であり、その内積は
$$\vec{OA}\cdot\vec{OB}=(a,b)\cdot (c,d)=ac+bd$$
とても簡単に計算できるこの公式はとても有能で必ず覚えておきたい公式です。ですが、内積がなぜこのように計算できるのかをしっかりと知ることは、より深い理解につながりますので、一度は自力で公式を作ってみるのがよいと思います。
ではこの公式を三角比で出てきた余弦定理を使って求めてみましょう。
まず前提として、ベクトルの内積は次のように定義されていました。
$$\vec{OA}\cdot\vec{OB}=|\vec{OA}||\vec{OB}|\cos\theta$$
\(\theta\) は2つのベクトルの間の角でしたね。先ほどの図に書いてあるので確認してください。
これを見てわかる通り、内積を計算したければ
- ベクトルの大きさ(長さ)を求める
- 2つのベクトルの間の角の \(\cos\theta\) を求める
をできればあとは当てはめるだけということが分かります。ですのでまずは今与えられたベクトルの表記からベクトルの大きさをそれぞれ求めてみましょう。
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ベクトルの成分表示での大きさ
ベクトルの大きさは成分表示されていた場合どのように計算するのか覚えていますでしょうか。
例えば次のようにベクトルが成分表示で与えられたとします。
このベクトルの大きさはどのようにしたら求められるでしょうか。
わかりましたね。そうです、直角三角形に注目すればいいのです。三角形OACは直角三角形ですし、成分表示ということは
$$OC=a\ ,\ AC=b$$
ですから、欲しいベクトルの長さ \(OA\) は
$$OA^2=a^2+b^2$$
より
$$|\vec{OA}|=OA=\sqrt{a^2+b^2}$$
です。三平方の定理という基本的な公式でベクトルの長さは求められるのです。
というわけで与えられたこの図において
$$|\vec{OA}|=\sqrt{a^2+b^2}$$
$$|\vec{OB}|=\sqrt{c^2+d^2}$$
であることが分かります。これで第一段階終了です。
次に \(\cos\theta\) を求めたいのですが、そのためには 線分ABの長さを知らなければいけません。それもベクトルで求めてみましょう。
まずは \(\vec{AB}\) を成分表示します。
これは \(\vec{OA}\ ,\ \vec{OB}\) があれば求めることができて、
でしたね。よってこれから \(\vec{AB}\) の大きさは先ほどと同じように、
となります。あとは三角形に余弦定理を使って \(\cos\theta\) を求めるだけですね。少し計算が大変ですが頑張りましょう。
余弦定理を思い出して、
難しいことはしていません。2行目は後ろの項を展開しました。そのあとは分配法則でバラバラにすると2乗の項はきれいに消えてくれます。あとは分子分母を2で割ればOKです。
ここまで来たらあと少し。内積の公式に代入しましょう。分母をそのままにした理由は次にあります。
なんと約分できてしまうのですね。これでほしかった形になりました。めでたしめでたしです。これで安心して公式が使えますね。
まとめ
必要なのは余弦定理の知識と、ベクトルの大きさの求め方です。必ず自力で説明できるまでやりましょうね。このような公式の証明は面倒なことが多いですが、やればやるだけその分野の知識、さらには別分野の復習にもなります。余裕がある人は飛ばさずにじっくり取り組んでみましょう。必ず役に立ちます。
ではまた。
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