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相加平均と相乗平均の関係を証明する

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相加平均と相乗平均とは

 

相加平均と相乗平均の関係はこのような式で表せました。

 

\(a>0\ ,\ b>0\) の時

 

$$\frac{a+b}{2}\geqq \sqrt{ab}$$

 

 

これはもちろん認めてしまえば公式として使ってもいいですが、数学では証明をしないとそれは公式がないのと等しいです。ここでは相加平均と相乗平均の関係を簡単に証明したいと思います。証明さえしてしまえばどこで使っても怒られませんからね。

 

相加平均と相乗平均の関係を証明する

不等式を証明したいので式と証明でやった

 

引き算をして大小を判断する

 

方法が使えそうです。もちろん今回は根号が入っているので2乗して差を取ってみます。

要するに

 

$$\left(\frac{a+b}{2}\right)^2 -(\sqrt{ab})^2$$

 

を計算して必ずプラスであることを示せばいいのです。簡単ですね。やってみましょう。

 

$$\left(\frac{a+b}{2}\right)^2 -(\sqrt{ab})^2=\frac{(a+b^2}{4}-ab=\frac{a^2+2ab+b^2}{4}-ab$$

 

通分すると

 

$$\frac{a^2+2ab+b^2}{4}-ab=\frac{a^2-2ab+b^2-4ab}{4}=\frac{a^2-2ab+b^2}{4}$$

 

ここで

 

$$a^2-2ab+b^2=(a-b)^2$$

 

となるので

 

$$\frac{a^2-2ab+b^2}{4}=\frac{(a-b)^2}{4}$$

 

となりました。ここまでくればもう終わりです。得られた式は \(a=b)\) の時以外は2乗ですから必ずプラスですし、\(a=b\) の時は \(0\) になりますので、引き算の結果が0になります。

ということは

\(a\neq b\) の時は

\(\left(\frac{a+b}{2}\right)^2 -(\sqrt{ab})^2>0\) すなわち \(\frac{a+b}{2}>\sqrt{ab}\) 

\(a=b\) の時は

\(\left(\frac{a+b}{2}\right)^2 -(\sqrt{ab})^2=0\) すなわち \(\frac{a+b}{2}=\sqrt{ab}\) 

 

ですね。二つ合わせればめでたく

 

 

$$\frac{a+b}{2}\geqq \sqrt{ab}$$

 

ただし、等号成立は \(a=b\) の時

 

 

を導くことができました。これで証明完了です。

いったん広告の時間です。

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相加平均と相乗平均の関係はいったいどこから来たのか

証明はこれで終了なのですが、そもそもなぜ相加平均と相乗平均の関係は生まれたのでしょうか。

正直なところ管理人にもその歴史はわかりませんが、どのようにしてこの公式を思いついたかの一つの可能性をここでは示そうと思います。

 

どうやって思いついたか、管理人ならこう考えます。

 

相加平均と相乗平均のそれぞれが一辺の直角三角形は果たしてあるのだろうか

 

と。これは突然思いついたことではありません。そもそも相乗平均というのは積の平均です。それに伴って根号がついた形になります。ですから、2乗することで初めて数字としては扱いやすくなります。

2乗で思いつくのは幾何であれば直角三角形です。これは辺の長さであるから必ずプラスでなくてはなりません。

相乗平均を考えられるのも使う数字がどちらもプラスでしたので、相加平均も自動的にプラスになります。

そんなこんなで相加平均 \(\frac{a+b}{2}\) と相乗平均 \(\sqrt{ab}\) を辺に持つような直角三角形を考えてみることで何か糸口がつかめるかもしれないと考えたわけです。

 

ではやってみましょう。直角三角形には斜辺があります。これは3辺のなかで最も大きい辺です。これをどちらにするかを考えることで大小を考えてみましょう。

 

まずは斜辺が \(\frac{a+b}{2}\) の時を考えてみましょう。

 

 

この時わかっていない辺の表式はどうなるでしょうか。

もちろん三平方の定理で出せます。

 

$$?=\sqrt{\left(\frac{a+b}{2}\right)^2-(\sqrt{ab})^2}$$

 

より、これは先ほども同じようなことをやったので

 

$$?=\sqrt{\frac{(a-b)^2}{4}}$$

 

とできます。これはもちろんルートの中身がプラスなので、このような直角三角形は作ることが可能であることが分かります。

斜辺は一番長い辺であるのでこの直角三角形の形状から

 

$$\frac{a+b}{2}>\sqrt{ab}$$

 

であることが分かります。まさに相加平均と相乗平均の関係です。

もし \(a=b\) なら一辺が0で直角三角形がつぶれてしまいますが、その時はまさに斜辺ともう一辺が等しい状態です。

 

よって等号は成り立つときがあり、それは\(a=b\) である時です。これで関係が導けました。

 

もちろん斜辺が\(\sqrt{ab}\) の時も考えます。もしこちらがあり得るなら結局大小関係なんてないことになりますからね。

考える直角三角形は

なので、先ほどと逆になります。ということは

 

$$?=\sqrt{-\frac{(a-b)^2}{4}}$$

 

となりますので、ルートの中身がかならずマイナスになってしまいます。

それは辺の長さとしてはあり得ないのでこのような三角形は絶対にかけないのです。

よって相加平均と相乗平均の関係は必ず示した通りになることが分かります。

 

まとめ

相加平均と相乗平均の関係は簡単に証明できますが、ここでは少しアプローチを変えてみました。少しでも深い理解の助けになれば幸いです。もしほかの面白い証明方法を見つけた方はぜひコメントしていってください。

 

ではまた。

 

 

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