対数は底の変換ができる?
対数を扱う上で非常に大事な公式が一つあります。
それは
底の変換公式
です。対数は指数と違って底を自在に変えることができます。この変換公式のおかげで計算が不可能に見える式もできるようになることがあるのです。
一応証明もこの場で行いますが、実用上は覚えてしまったほうが早いです。簡単な覚え方もこの記事の中で示しますのでご心配なく。
では早速始めましょう。
底の変換公式とは
$$\log_{a} b=\frac{\log_{c} b}{\log_{c} a}$$
です。右辺の \(c\) は自分で決めた好きな底です。\(a\) 、 \(b\) は元の対数の底と真数ですね。
この公式を使えばこんな風に底を自分で変換できます。
例えば
$$\log_{4} 9$$
を底が \(2\) の対数にしたいと思ったら
$$\log_{4} 9=\frac{\log_{2} 9}{\log_{2} 4}$$
のようにすればよく、計算すると
$$\frac{\log_{2} 9}{\log_{2} 4}=\frac{\log_{2} 9}{2}=\frac{1}{2}\log_{2} 9=\log_{2} {9^{\frac{1}{2}}}=\log_{2} 3$$
になります。途中計算はゆっくり追ってみてください。見て欲しいのは最初の変形です。底を自分で決めてその底を持つ対数に簡単に変換できていますよね。
もちろん底を大きくすることもできます。
$$\log_{2} 5$$
は底を7にしてみると
$$\log_{2} 5=\frac{\log_{7} 5}{\log_{7} 2}$$
になります。できると行っても実用的といえばそうではないかもしれません。少しやるとわかりますが、底は小さくした方が計算としては楽ですし、元の対数によって底をうまく選ぶことも重要です。
例えば
$$\log_{9} 5$$
は底を \(2\) にするより \(3\) にした方が
$$\log_{9} 5=\frac{\log_{2} 5}{\log_{2} 9}$$
$$\log_{9} 5=\frac{\log_{3} 5}{\log_{3} 9}=\frac{1}{2}\log_{3} 5$$
となって見栄えがいいです。もちろん計算したい式が底が \’2\) になっているなら無理やり \(2\) で揃えた方がいいです。
使いどころはやりながらどんどん身につけてもらうとしてまずはこの変換公式を覚えてもらいましょう。
式の中に出てくるのは \(a\) 、 \(b\) 、\(c\) だけですから、この配置を抑えてしまえば簡単です。
管理人はまず変換したい対数があった時に変換先の底を決め、
$$\log_{a} b=\frac{\log_{c} {\ }}{\log_{c} {\ }}$$
こんな風に書いてしまいます。この後に元の対数を見て底は下、真数は上にするイメージで右辺の真数部分に入れてしまうのです。
$$\log_{a} b=\frac{\log_{c} b}{\log_{c} a}$$
こうするだけで変換公式がちゃんと使えています。どっちがどっちだっけなんてミスも防げます。底が下、真数が上なので覚えやすいかなと思います。
これで変換公式は大丈夫ですね。少し練習してみます。
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例題をやってみる
問題をやってみます。
やることは全部同じです。底の変換公式を使いますよ。
$$\log_{9} 8=\frac{\log_{3} 8}{\log_{3} 9}=\frac{\log_{3} 8}{\log_{3} {3^2}}=\frac{\log_{3} 8}{2\log_{3} 3}=\frac{\log_{3} 8}{2}$$
大丈夫でしょうか。変換公式を使って分母で対数の性質を使いました。もちろんこれで終わりでもいいのですが、分子が実はもう少し簡単にできて、
$$\log_{3} 8=\log_{3} {2^3}=3\log_{3} 2$$
とできるので、
$$\log_{9} 8=\frac{3\log_{3} 2}{2}=\frac{3}{2}\log_{3} 2$$
としたほうがかっこいいですね。計算もおそらくこちらの方がしやすいでしょう。こんな感じで変換公式を使った後はどんどん対数の性質を使って簡単にしていけばいいのです。
底の変換は実際には計算途中で出てくることが多いので、その時にしっかりとできるように練習問題等を解いておいてくださいね。
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補足:変換公式の証明
ここから先は気になる人だけみてください。やはり数学は証明したことを使わないと怖いですよね。特に数学を今後しっかりやりたい人にとってはとても大事な心構えです。
というわけで証明します。変換公式は
$$\log_{a} b=\frac{\log_{c} b}{\log_{c} a}$$
でしたがまず最初に指数と対数の関係をおさらいしておきます。
対数はもともと
$$a^{x}=b$$
という指数方程式において、
$$x=\log_{a} b$$
と定義されました。ですからもちろんこの対数を元の方程式の \(x\) に入れても成り立ちます。
$$a^{\log_{a} b}=b$$
大丈夫ですね。答えを代入したらもちろん成り立ちますという当たり前の式になっています。
ここでこの両辺を底が \(c\) の対数で取ります。
$$\log_{c} {a^{\log_{a} b}}=\log_{c} b$$
もちろんこれはしてもOKですね。逆に底が揃ってれば真数だけを比べれば良いですものね。
ここで真数の肩にある数字は対数の前に降ろせるので
$$\log_{a} b \times\log_{c} a=\log_{c} b$$
が得られます。よってこの式から
$$\log_{a} b=\frac{\log_{c} b}{\log_{c} a}$$
となり変換公式が得られました。
証明は意外と簡単ですね。対数の性質と対数が同じである条件を抑えていれば理解できます。
まとめ
底の変換公式はとにかく使い所が多い公式ですし、何より自分の思い通りに対数を変換できるようになるので、対数に計算の幅がグッと広がります。覚えれば使えますので是非マスターして使ってあげてください。
ではまた
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