角度の単位「度」は不便?
私達は角度を測る時、単位として「度」を使います。今では当たり前の「度」ですが、三角関数ではほとんど使わなくなってしまいます。
なぜか。正直なところ明確な理由はありません。別に「度」を使ってもなんら変なことにはならないからです。
ですが一つ理由を述べるとすると、単位として「度」は実はマイナーであることが挙げられます。
「度」の代わりとしてこれから学ぶ「弧度法」は単位が「ラジアン」という単位になりますが、これは数学の単位としてとても一般的です。数学の計算の際に三角関数だけでなく他の分野でもたくさん登場します。
高校数学の範囲だと数学3を学ばないと恩恵はあまり受けられませんが、数学をやる上で「度」は言葉としてあまり通じないと思っておくといいかもしれません。
日本語でも標準語がありますが、「度」はどちらかというと数学を学ぶ上では方言になってしまいます。「弧度法」の方が標準語に近いです。
というわけでなんとなく「なんで「度」から離れなくてはいけないんだ!!」という気持ちがありますが、ともかく数学で一般的に使われている角度の単位を認めてあげることにしましょう。
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弧度法とは
角度を表す時に別のいい表現の仕方はないでしょうか。
角度を表すというと難しく聞こえますが要するに代わりになる基準を決めてあげればいいのですね。
数学者は考えました。何かいい手はないだろうかと。そこである数学者が思いついたのです。それは
円を使って角度を表す
ことです。もっと言うと
孤の長さを使って角度を表す
方法を考え出しました。なぜ?たしかにそうなのです。こんな風に角度を見てあげられませんか。
動径のところでやった図と似ていますね。一つ違うことは孤が書かれていることです。この孤は角度の代わりになります。
なぜなら角度が大きいほど孤は大きくなりますし、角度と明らかに同じ増加の仕方をします。
ですから角度を孤の長さで表すことを考えたのです。これが弧度法です。
これで弧度法の意味はわかりましたね。そうです。
孤で角度を表す方法
だから弧度法なのです。では実際に度で表されている角度を弧度法で書いてみます。
例えば45度は図を書くと
ですが、弧度法に治したい場合はどうすればいいでしょう。
弧度法は弧の長さが出せればOKでしたので、この図において弧の長さを出せばいいのです。
これはやったことがあるはず。孤の長さはまずは円全体の円周を考えて中心角分を計算すればよかったですよね。円は半径が \(1\) のものを考えることにしましょう。計算すると
円の円周は
$$2\pi \times 1=2\pi$$
ですので、中心角が45度の扇形の弧の長さは
$$2\pi\times \frac{45}{360}=2\pi \times \frac{1}{8}=\frac{\pi}{4}$$
ですね。これが弧度法に直した45度です。単位は「ラジアン」といいます。まあ「ラジアン」はいったん置いておいて、この「度」を弧の長さで表すということを理解しましょう。
不思議な感じですが同じように考えればどんどん「度」で表された角度を弧度法に直せます。
120度は
$$2\pi\times \frac{120}{360}=2\pi\times \frac{1}{3}=\frac{\pi}{3}$$
90度は
$$2\pi\times \frac{90}{360}=2\pi\times \frac{1}{4}=\frac{\pi}{2}$$
ですね。
なんとなくその直し方に規則性があるのがわかったでしょうか。ある角度 \(\alpha\) を弧度法 \(\theta\) に直したい場合、こんな式を計算すればいいだけですよね。
$$\theta=2\pi\times \frac{\alpha}{360}=\frac{\pi}{180}\alpha$$
ここから
$$\theta=\frac{\alpha}{180}\times \pi$$
となります。これは角度を弧度法に直す公式として教科書には載っているはずです。要するにある角度を弧度法になおしたければ
角度を \(180\) で割って \(\pi\) をかければよい
となります
基本は最初の考え方が大事です。とにかく
角度を孤で考える
です。その時の半径は \(1\) にしているので気をつけてください。
まとめ
弧度法は突然出てくると覚えるものと錯覚してしまいそうですが、実は原理は簡単です。この長さを出せればOKなのでいろんな角度を実際に弧度法に直してみてください。
ではまた
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