今回はこちらの問題。
問題としてはそこまで複雑ではないですね。ただし、出てくる情報を見逃さないことがこの問題を解く鍵になると思います。ではいきましょう。
まず、問題の意味を理解します。ある共有点で両方の曲線に共通な接線があるとはどういう状況でしょうか。まず共有点と言っているので、両方の曲線を同時に通る点であることがわかります。そして大事なことは、それは同時に、今考える接線の接点であるということです。
おさらいしておきますと、ある曲線の接線を考えるには接点がなくては話が始まりません。微分係数を使って求められるのは
「ある点 (\(x\) 座標が \(a\) )における微分係数 \(f'(a)\) はその点を接点とする直線(接線)の傾き」
であるからです。そもそも接線を求めたいのに接点がないと傾きをもとめることはできないのです。例えば炊飯器あるのにお米がないと意味ないですよね?接点を考えないことはそれぐらい変なことをしてしまってると思いましょう(笑)。
なので今回の問題に限ったことではないですが、接線の問題を考えるときは接点が不可欠なので、与えられてないときは必ず文字でおきましょう。必ずですよ?
では問題に戻ります。先ほど説明した通り、この問題は接点が2つの曲線を通り、さらにそこでの接線が等しいことがわかるのでこれを数式に落とし込みます。
やることは見えましたのであとは計算です。
まず接点の \(x\) 座標を \(t\) と置きます。\(y\) 座標は今回はひとまず考えません。なぜかはこれからわかるはずです。普通の問題では接点は曲線上の点ですから \(y\) 座標も \(t\) を用いて表せます。
ここで接点は2曲線共通なのでそれぞれの式に代入した結果は一致しなくてはなりません。すなわち
$$t^3+2at^2-3a^2t-4=at^2-2a^2t-3a$$
です。次は接線を求めます。そのために微分をしておきましょう。微分をするとそれぞれ
$$y’=3x^2+4ax-3a^2$$
$$y’=2ax-2a^2$$
なのでそれぞれの接線の傾きは \(3t^2+4at-3a^2\)、 \(2at-2a^2\) となります。直線を求める時には通る点がもう一点あればいいですね。もちろん接点がその点になりますから接点はそれぞれ、\((t,t^3+2at^2-3a^2t-4)\) 、 \((t,at^2-2a^2t-3a)\) より(置かなかった意味がわかりましたか?どっちも通るから表式に困るからですね)接線の方程式はそれぞれ
$$y-(t^3+2at^2-3a^2t-4)=(3t^2+4at-3a^2)(x-t)$$
$$y-(at^2-2a^2t-3a)=(2at-2a^2)(x-t)$$
であります。これが共通しているということは、数式上全く同じ式になればいいということです。見比べると
$$3t^2+4at-3a^2=2at-2a^2$$
であることがわかります。
あれ?後ろの方は?と思った人は感がいいですね。その思考とても大事です。
そうなんです。後ろにも項が残ってるのになぜ傾きだけを比べたのか。そもそもそれだけでいいのか。
実は傾きだけでオッケーなんです。それは最後まで計算してみるとわかります。切片の方の条件は最初に出した接点の \(y\) 座標が同じというものと実質的に同じになります。きになる人はレッツトライ。
脇道に逸れましたが続きです。これで条件式は揃ったのであとは \(a\) の値を求めるだけです。\(t\) も入っているのでまずは \(t\) の消去から。
もちろん使うのは(6)式です。理由は簡単2次方程式だから。解けそうな方からやりましょう。
(6)式を整理すると
$$3t^2+2at-a^2=(t+a)(3t-a)$$
です。因数分解はたすき掛けです。文字があってもびっくりしないこと。もし微妙な人はたくさん練習しておきましょう。
ここから解は
$$t=-a\ ,\ \frac{a}{3}$$
です。あとはこれをそれぞれ式(1)に代入します。
\(t=-a\) の時は代入して整理すると
$$a^3+3a-4=0$$
です。これ解けますか?3次方程式です。大丈夫ですね。一個解を見つけて「組立除法」(もしくは整式の割り算)でした。見たら \(a=1\) が解になりそうなことがわかるのでここから
$$a^3+3a-4=(a-1)(a^2+a+4)=0$$
となります。もちろん \(a\) は実数ですから \(a=1\) が一つ目の答えです。
\(\frac{a}{3}\) の時も同じように代入して(計算は頑張りましょう。もしわからなければコメント欄まで)
$$5a^3-81a+108=0$$
これは見つけづらいですが \(a=3\) が当てはまるでしょう。ここから組立除法なりを使って因数分解すると
$$(a-3)(5a^2+15a-36)=0$$
より2個目は解の公式を使えば
$$a=3\ ,\ \frac{-15\pm 3\sqrt{105}}{10}$$
です。
最終的に答えは
$$a=1\ ,\ 3\ ,\ \frac{-15\pm 3\sqrt{105}}{10}$$
となります。
いったん広告の時間です。
まとめ
今回の問題は接線が絡んでくる問題でしたね。大丈夫でしたか?微分の問題はもちろんこれだけではありませんが、代表的な問題なので取り上げてみました。何を考えながら問題を解くのかと、数式に表す(落とし込む)ことが数学は大事です。これからも意識してみてください。
ではまた。
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