「高校数学の知識庫」を今より10倍活用する方法

指数関数の不等式、2次関数との関わり

スポンサーリンク

今回の問題はこちら。

すべての実数 \(x\) に対して不等式 \(2^{2x+2}+2^xa+1-a>0\) が成り立つような \(a\) の値を範囲を求めよ。

指数関数の問題です。さらに不等式になっていてやな感じです。ですが左辺が意味ありげな形をしています。指数の不等式は基本的に

$$指数>定数$$

のようにできれば解けますが、これは無理ですね。なのでうまく「置き換え」ていきます。

左辺第2項に \(2^x\) がありますがこれはもうどうしようもないのでこの形を目指していくことにしましょう。要するに左辺第1項を変形します。指数の肩に乗っている数字の足し算は指数同士の掛け算ですから、

$$2^{2x+2}=2^{2x}\cdot 2^2=4\cdot (2^x)^2$$

この変形は大丈夫ですね。よって元の式は

$$4\cdot (2^x)^2+2^xa+1-a>0$$

となります。ここで \(2^x=t\) とおくと式は

$$4t^2+at+1-a>0$$

です。これで見た目が2次関数になったのでここからは2次関数の知識を使っていきます。

ですがその前に、「置き換え」をしたら必ず置き換えた後の文字の「範囲」を確認しなくてはなりません。2次関数は定義域が違うだけで全く別の問題に変わるので注意しましょう。今回は \(2^x=t\) なので \(x\) が実数全体を動くとき \(2^x>0\) ですから、 \(t>0\) であることがわかりますね。

よって考える問題はこうなります。

\(t>0\) の時 \(4t^2+at+1-a>0\) が 成り立つような実数 \(a\) の範囲を求めよ。

ということは左辺を \(y=4t^2+at+1-a\) とおき、この \(y\) が必ず正になるように \(a\) を考えていけば良いです。

ここまできたらやることはただ一つ。平方完成をしてグラフを書きます。

$$y=4t^2+at+1-a=4\left(t^2+\frac{a}{4}\right)+1-a$$

$$=4\left[\left(t+\frac{a}{8}\right)^2-\frac{a^2}{64}\right]+1-a$$

$$=4\left(t+\frac{a}{8}\right)^2-\frac{a^2}{16}-a+1$$

下に凸のグラフなのでこれが必ずプラスになるためには頂点の \(y\) 座標がプラスになってくれれば良さそうです。

しかし忘れてはいけないことが一つあります。それは定義域です。今考えるべき \(t\) の範囲は0より大きい範囲なので必ず頂点が正でなくても大丈夫な時がありそうです。

例えば上のようなものです。要するに軸が負になっていてもちゃんと \(t>0\)(図では \(x\) になっています、ご了承を)で正になっています。この場合は \(t=0\) の時の値がプラスであれば必ず題意を満たします。\(0\) になってもその場所は定義域に入らないので大丈夫そうです。

もちろん次のようなのでも大丈夫です。

この場合は頂点の \(y\) 座標が正であれば大丈夫そうですね。というわけで少しイメージがついたところで問題に戻りましょう。まずは軸が負になるときを考えます。すなわち

  • \(-\frac{a}{8}<0\) すなわち \(a>0\) のとき

\(t=0\) の時の \(y\) 座標が正もしくは \(0\) であればいいので

$$1-a\geqq 0 \nonumber$$

より

$$a\leqq 1 \nonumber$$

条件を確認して、共通範囲は

$$0<a\leqq 1$$

です。

  • \(-\frac{a}{8}\geqq 0\) すなわち \(a\leqq 0\) のとき

頂点の \(y\) 座標が正であればいいので

$$-\frac{a^2}{16}-a+1>0$$

整理すると

$$a^2+16a-16<0$$

これは2次不等式です。\(a^2+16a-16=0\) と置いた時の解は

$$a=-8\pm 4\sqrt{5}$$

なので求める解は

$$-8-4\sqrt{5}<a<-8+4\sqrt{5}$$

であり、条件をみて

$$-8-4\sqrt{5}<a\leqq 0$$

よって(8)、(13)より二つを合わせた範囲は

$$-8-4\sqrt{5}<a\leqq 1$$

になります。

いったん広告の時間です。

スポンサーリンク

まとめ

今回の問題は指数の問題かと思いきや、最終的には2次関数になってしまうタイプを扱いました。ここでわかる通り、関数は基本的に全体としてつながりがあります。特に2次関数はいくつか別の記事でも強調している通り、多く現れる分野でありますのでしっかりと取り組んでおくことをオススメしておきます。

ではまた。

スポンサーリンク
問題解説
スポンサーリンク
高校数学の知識庫

コメント