数列の学習の流れ
数列。ただ数字が並んでるだけですがそこにはいろいろな数学的な美しさが隠れています。高校数学で扱えるのはほんの一握りですが、この記事を通して少しでも数列に興味を持ち、問題をすらすらと解けるようになってもらえればそれ以上の喜びはありません。
まず、数列の勉強を始める前にそのガイドラインを示しておきます。数列も数学ですから、基本的に基礎事項をもとにして新しいことに立ち向かっていきます。基礎ができてないと次に響きますから、ゆっくりと1つずつ理解していきましょう。
等差数列・等比数列とその和
まず最初は数列の一番簡単な形である等差数列と等比数列について学習します。この2つは数列を考える上で避けては通れません。数列の規則性とその一般項、数列の和の求め方などを覚えます。ここで覚えた知識は最後まで使うので侮らないでくださいね。
シグマの計算と意味
次はシグマについて学習します。皆さん嫌いな Σ です。シグマは和を書くのが面倒なので導入されますが、機械的に計算できるようにする非常に強力なツールです。逆に意味を分かっていないのに使うのは危険ですのでしっかり理解して使います。
階差数列
シグマが使えるようになったら次は階差数列です。「一見しただけではよくわからない数列も、差をとると見えてくる時がある」そんな数列です。シグマはまずここで活躍します。
和から数列
次は和に着目していきます。先ほどは数列があってその和を求めましたが、次は和がわかっているときに数列を求めてみるのです。そしてその流れでいろいろな特殊な数列の和を求められるようにします。このあたりはよく出る形をどんどんやって頭に叩き込みます。
漸化式
そして最後はなんといっても漸化式です。漸化式はなにかはひとまず置いておいてこれを使いこなせるといろいろな数列について理解できるようになります。このあと少しお話しますが数列の問題の一番大事なことは、その数列の一般項を求めることです。「一般項を知っている=その数列を理解している」といっても過言ではありません。漸化式はその手助けとなる考え方であり方法です。最終目標はこの漸化式を理解することですね。
数学的帰納法
最後に数学的帰納法を学習します。これは命題の証明方法の一つですので知っておいて損はありません。
このような流れで数列の記事は進んでいきます(たぶん)。一つ一つ理解して数列マスターになりましょう!
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ちょっとした数列のお話
数列はその名の通り数の並びです。例えばこんなものです。
1 1 2 3 5 8 13 21 34 55 …
これを見たときになにか感じることがあるでしょうか。ただ数字が並んでるだけ?確かにそうですね。でもこの数列にはある秘密が隠されているのです。なんでしょうか。
実はこの数列、左から3番目からは前の数字の和が次の数になっているのです。どういうことかというと、
3番目の数字(数列ではこれを第3項といいます)は第1項目と第2項目を足した数字になっています(\(1+1=2\))。第4項目は第2項目と第3項目の和になっていますね(\(1+2=3\))。
このような「規則」のもとで数字が並んでいます。基本的にはその「規則」を見極めるのが私たちの仕事です。
なので先ほど数列は数の並びと書きましたが、もう少し正確に言うと数列は「ある一定の規則に従うような数の並び」となります。
見極めるといいましたが、数学ですから式で表さないと意味がありません。先ほどの数列はフィボナッチ数列と呼ばれる大変有名な数列なのですが、その式は次のように書かれます。
\(a_{n}\) は一般項を表します。一般項とは数列の何項目が何の数字なのかを表す式です。これさえあればたとえ第100項でも数字をすぐに計算で出すことができます(100乗の計算はしたくないですけどね・・・)。
フィボナッチ数列の一般項はかなり難解ですが、今後やっていく等差数列などはもっとシンプルです。例えば
$$a_{n}=2n+3$$
なんて一般項が得られたりします。要するにこの数列は一項目が
$$a_{1}=2\times 1+3=5 \nonumber$$
であり、20項目は
$$a_{20}=2\times 20+3=43 \nonumber$$
ということになります。1項目から書き出すと、
5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 …
ですね。少しイメージは沸いてきたでしょうか。一般項があれば数列は理解したも同然ですね。
というわけでここまで数列について簡単に話してきました。今後は教科書的な内容に入っていくのでお楽しみ(?)に。数列に親しんで一緒にいろいろな問題を解けるようになりましょうね。
ではまた。
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