題名には少し発展編と書いてありますが、ここでやることはテストで「ものすごく狙われやすいところ」でもあります。なぜなら三角関数において特に「わかっていないと解けない問題」だからです。
ですが単位円の考えが身についていれば大丈夫です。難しくありません。最初はとっつきにくいかもしれませんが、この前の記事
の中でやった方程式や不等式ができれば必ずできます。
ではやっていきましょう。
tanで置き換えが入る方程式
まずは方程式です。問題はこちら
\(0\leqq \theta< 2\pi\) の時
\(\tan\left(\theta+\frac{\pi}{3}\right)=\frac{1}{\sqrt{3}}\)
を解け。
嫌なところはやはり角度のところですね。\(\sin\) 、\(\cos\) でやった通り
必ずこの形になったら文字でおきましょう。文字でおけばいつもの形になります。\(t=\theta+\frac{\pi}{3}\) とすれば
\(\tan t=\frac{1}{\sqrt{3}}\)
もちろん置いたら必ず文字の範囲の確認ですね。tanの含む方程式や不等式では特にこの範囲確認が重要です。
\(\theta\) の範囲は
\(0\leqq \theta< 2\pi\)
ですので、全体に \(\frac{\pi}{3}\) を足せば
\(\frac{\pi}{3}\leqq \theta +\frac{\pi}{3}< \frac{7}{3}\pi\)
です。真ん中はまさに今考えている文字なので
\(\frac{\pi}{3}\leqq t < \frac{7}{3}\pi\)
とわかりますね。ここからは \(\theta\) ではなく文字 \(t\) で考えて大丈夫ですが、\(t\) 角度の範囲は \(\frac{\pi}{3}\leqq t\leqq \frac{7}{3}\pi\) であることをおさえながら問題をときます。
逆に言うと範囲だけ意識していれば普通に解いてOKということですね。
そうと決まればあとは解くだけです。\(\tan\) が \(\frac{1}{\sqrt{3}}\) になるには
このように直線を引けばすぐにわかりますね。ですが一番最初に出てくる角度 \(\frac{\pi}{6}\) は \(t\) の範囲に入っていません。すなわち答えではありませんので注意が必要ですよ。
では \(t\) の値はなんでしょうか。まず見つけられるのは先ほどの角度に180度足した所の
\(t=\frac{7}{6}\pi\)
ですね。これは範囲にバッチリ入っていますので答えとしてOKです。ではその次は?
さらに \(\pi\) 足した
\(t=\frac{13}{6}\pi\)
も傾きが \(\frac{1}{\sqrt{3}}\)になりますね。これは範囲に入っているかと言うと入っています。ですから最初の \(\frac{\pi}{6}\) が答えになりのではなく、そこからぐるっと一周した \(\frac{13}{6}\pi\) が答えになるのです。
このような事情から範囲の確認はとても大事ですし、単位円で考えることで計算漏れを防げます。覚えているだけだと390度はパッと出てこないですよね。
というわけで答えは
\(t=\frac{7}{3}\pi\ ,\ \frac{13}{6}\pi\)
ですのであとは戻すだけです。答えは
\(\theta+\frac{\pi}{3}=\frac{7}{6}\pi\ ,\ \frac{13}{6}\pi\)
より
\(\theta=\frac{5}{6}\pi\ ,\ \frac{11}{6}\pi\)
ですね。もちろん元の文字シータの範囲に入っていますね。
角度部分が変であれば必ず文字で置く
文字で置いたら必ず範囲の確認
いったん広告の時間です。
tanで置き換えが入る不等式
方程式が解けたところで次は不等式です。不等式は方程式よりも少し厄介なのですが、置き換えと範囲の確認をすればじっくり考えられます。
問題はこちら
\(0\leqq \theta<2\pi\) の時
\(\sqrt{3}\tan\left(\theta-\frac{\pi}{3}\right)\leqq 1\)
を解け。
あ、一応断っておくと、\(\sin\) 、\(\cos\) の時と同じで必ず
三角関数 不等号 数字
にしましょうね。そうなっていない場合は移項等を使って変形しましょう。今回は\(\sqrt{3}\) で割るといいですね。
\(\tan\left(\theta-\frac{\pi}{3}\right)\leqq \frac{1}{\sqrt{3}}\)
問題に戻ります。まず見て欲しいのは角度のところです。いつも通り変なので置き換えます。\(t=\theta-\frac{\pi}{3})\ として
\(\tan t\leqq \frac{1}{\sqrt{3}}\)
もちろん置き換えたら文字の確認です。忘れないでくださいね。
\(0\leqq \theta<2\pi\)
より全体から \(\frac{\pi}{3}\) を引けば
\(-\frac{\pi}{3}\leqq \theta-\frac{\pi}{3}< \frac{5}{3}\pi\)
ですので
\(-\frac{\pi}{3}\leqq t < \frac{5}{3}\pi\)
ですね。ここまでくれば準備は完了です。まずはちょうど境目の \(\tan t=\frac{1}{\sqrt{3}}\) を単位円に書きましょう。
これよりも傾きが小さくなる範囲を探せば不等式を満たすような \(\tan\) になりますね。
ということは
この部分を指定してあげれば良さそうです。この角度の範囲なら必ず傾きが \(\frac{1}{\sqrt{3}}\) よりも小さくなりますね。マイナス部分を忘れないようにしてください。
ですが気をつけなければならないのは今回は角度の範囲が
\(-\frac{\pi}{3}\leqq t < \frac{5}{3}\pi\)
であることです。つまり角度のスタートは \(-\frac{\pi}{3}\) であるので、図の赤い部分を指定するには分けてあげなくてはなりませんね。
つまりまずは
\(-\frac{\pi}{3}\leqq t \leqq \frac{\pi}{6}\)
が答えになり、その次少し回って
\(\frac{\pi}{2}<t \leqq \frac{7}{6}\pi\)
となり、
\(\frac{3}{2}\pi<t<\frac{5}{3}\pi\)
と答えを3つに分けなくてはなりません。結構面倒ですね。特に \(\frac{\pi}{2}\ ,\ \frac{3}{2}\pi\) は絶対に入れてはいけませんので注意です。ここでミスをすることが本当に多いので注意してください。
というわけで答えは
\(-\frac{\pi}{3}\leqq t \leqq \frac{\pi
}{6}\ ,\ \frac{\pi}{2}<t \leqq \frac{7}{6}\pi\ ,\ \frac{3}{2}\pi<t<\frac{5}{3}\pi\)
ですからあとは戻すだけですね。
\(-\frac{\pi}{3}\leqq \theta-\frac{\pi}{3} \leqq \frac{\pi
}{6}\ ,\ \frac{\pi}{2}<\theta-\frac{\pi}{3} \leqq \frac{7}{6}\pi\ ,\ \frac{3}{2}\pi<\theta-\frac{\pi}{3}<\frac{5}{3}\pi\)
より
\(0\leqq \theta\leqq \frac{\pi}{2}\ ,\ \frac{5}{6}\pi<\theta\leqq \frac{3}{2}\pi\ ,\ \frac{11}{3}\pi<\theta<2\pi\)
です。不等式も \(\tan\) を傾きとして捉えられれば意外とやることは単純です。
置き換えができれば普通の不等式
単位円を用いて角度の範囲に注意して範囲を指定しよう
まとめ
tanには慣れてきたでしょうか。ここでやったことはもちろん理解しながら進めてください。これと同じようにやってできただけでは本当に解けているとは言いません。追うだけではなく必ず一つ一つの事を理解しようと努めながら読んでみてくださいね。
ではまた
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