「高校数学の知識庫」を今より10倍活用する方法

順列と集合 並べ替えの問題はベン図を活用してみよう

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今回の問題はこちら。順列です。工夫するとうまく解くことができます。

 

a.a.b.b.c.d.e の7個の文字すべてを1列に並べるとき、次の問いに答えよ。

  1. 並べ方は全部で何通りあるか。
  2. 2つの a が隣り合う並べ方は何通りあるか。
  3. 2つの a が隣り合わず、かつ2つの b も隣り合わない並べ方は何通りあるか。

 

並び方と言っていることからわかるように、順列の問題です。問題をたくさんやっている人にとってはなじみのある問題設定かもしれません。ただし、この問題は順列だけではなくて集合の要素もはいっていて、練習にはとてもいい問題なので取り上げました。ダブルで押さえてしまいましょう。

実はこの問題の1,2は教科書レベルの問題です。どう工夫するかも教科書に載っているので難しい問題ではありません。今回僕が取り上げることに決めたきっかけは3の解き方にあります。なのでそこまではスッと行きたいところです。

では早速解いていきます。1はすべての並べ方ですね。これは単純に階乗の計算をするのではありません。並べ替えだからといって機械的に階乗を使っている人は心を改めてくださいね。今回は同じものが何個か含まれてしまっていますので、その並べ替え分をわっておかなくてはいけません。a が2個、b が2個ありますので、すなわち

$$\frac{7!}{2!2!}=7\cdot 6\cdot \cdot 5\cdot 3\cdot 2=1260$$

より1260通りとなります。大丈夫でしょうか?今後順列の話も更新していく予定ですが、わからないところがある人は必ず教科書等で見直しておきましょう。

では2に移ります。2もやることはもう決まっています。a が隣り合うということは考える時から一つとしてみてしまうということです。2つの a を1つとみることで、文字6つの並べ方がそのまま a が隣り合った並べ方になります。そうなればあとは1と同じで b が2つあるので同じものを含む順列で

$$\frac{6!}{2!}=6\cdot 5\cdot 4\cdot 3=360$$

より360通りです。これもよくある問題なので何度も復習して納得するまで考えてみましょう。

さて。ここからが本番です。問題自体は別になんてことはないですし、理解はしやすいと思います。少し内容について考えてみましょう。

今問題は a が2つとも隣り合わず、かつ b が2つとも隣り合わないという並べ方を数えなさいと言っています。例えば

$$a,b,c,a,b,d,e$$

これは良さそうです。ではこれはどうでしょう。

$$b,a,a,b,c,d,e$$

これは b についてはいいものの a について題意を満たしていません。これはどうですか?

$$c,b,b,a,d,a,e$$

先ほどとは逆で次は b が満たしていません。では最後。

$$c,d,a,a,e,b,b$$

これは a,b どちらも満たしていません。ここまでの話から a,b に着目すると、並べ替え方というのは今回の場合次のように分けられそうです。

  1. a,b,どちらも隣り合わない
  2. a は隣り合わないが、b が隣り合っている
  3. b は隣り合わないが、a が隣り合っている
  4. a,b,どちらも隣り合う

今問題で答えなさいと言われているのはⅰの数です。これを求めるためにはどうしたらよいでしょうか。

ここで登場するのが「ベン図」です。集合を扱うときに使ったのを覚えていますでしょうか。ある条件を設定してその中に入っている、入っていないというのを円を描いて視覚的に考えるものです。例えば今回の問題はすべての並べ方のうち、「a が隣り合う並べ方」と「b が隣り合う並べ方」という集合を考えると次のようなベン図を描くことができます。

今回の問題に当てはめると1で求めた並べ方はベン図でいうと下の色のついたところで表すことができます。

2は次の図のように描くことができますね。

上の図を見てわかる通り、2で求めた並べ方には当たり前ですが b が隣り合うものも含まれています。

ではこの図を使うと今求めたい並べ方はどこにあるのでしょうか。考えてみてください。考えましたか?答えは下の図の色のついたところです。

では、答えの場所はわかったところで、どうすればこの緑の部分を求めることができるかを考えます。緑の部分を直接求めるのは厳しそうですね。できるのであれば早速取り掛かりたいです。だって答えなんですから。では間接的に求めるためにこう考えてみましょう。

(緑の部分)=(全部)-(白の部分)

図を見る限りこう考えられそうです。(全部)というのはもちろん1でだした1260通りです。では白さえ出せれば答えはもう近いということになります。では白の部分をこう考えてみましょうか。

(白の部分)=(aが隣り合う)+(bが隣り合う)

ん?これでいいんでしょうか?違いますね。なんか2重に数えてしまっているものがあります。ここです。

これは「a が隣り合ってかつ b も隣り合う」という風に言えそうです。ここが2重になっているのでその分を引けば良さそうです。すなわち

(白)=(aが隣り合う)+(bが隣り合う)-(a が隣り合うかつ b も隣り合う)

大丈夫でしょうか。ここまでくれば後は計算するだけです。(aが隣り合う)も(bが隣り合う)も同じ状況なので問題2で出した通りそれぞれ360通り。(a が隣り合うかつ b も隣り合う)はaもbも2つで一つとみて並べ替えればよいので

$$5!=5\cdot 4\cdot 3\cdot 2\cdot 1=120$$

より120通り。以上から求める並べ方は

(全部)-(白の部分)=(全部)-【(aが隣り合う)+(bが隣り合う)-(a が隣り合うかつ b も隣り合う】

より

$$1260-(360+360-120)=660$$

で660通りとなるわけです。

いったん広告の時間です。

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まとめ

今回の問題ではベン図を上手に使うことで楽に複雑な並べ方を求められました。順列の問題だけでなく確率の問題でもよく使う手法なので、ぜひこの機会に触れて、そして使いこなせるように練習しましょう。大体の面倒くさそうな並べ替えの問題や確率の問題は、集合の知識を使うことで簡単に求めることができますよ。ずるく賢く解いてしまいましょう。

 

ではまた。

 

 

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