因数分解
因数分解は展開の逆である。
そう教わった人も多いのではないでしょうか。あながち間違ってはいないのですが、同じ文字でくくる等の操作も因数分解に当たるのでそうとも言えません。正しくは
和・差で表されている式を、最大限簡単な式の積で表す
といったほうがいいと思います。要するに
$$2x+2=2(x+1)$$
これも列記とした因数分解です。和を積で表していますからね。
しかし、高校数学ではこれが当たり前になり、これに加えて2次式・3次式を「因数分解」してください、と言われるから難しいのです。
ですが、仕組みさえわかってしまえばどうということはないですし、ここで取り上げるのは「まず」基本的な因数分解ですので、しっかりとマスターして難しいパターンに入っていくこととしましょう。
いったん広告の時間です。
展開の公式からわかる因数分解のコツ
今回は2次式の因数分解について扱いましょう。2次式とは文字の肩の指数が2次以下である文字で構成されている式です。例えば
$$x^2+4x+5$$
などです。これを私たちは今から因数分解したいのですがどうしたらよいでしょう。
その前に少し展開の話を思い出しておきましょう。展開の式でこんな式を展開したのを覚えているでしょうか。
$$(x-1)(x+5)$$
これを展開すると
$$x^2+4x-5$$
でしたね。大丈夫なはずです。
・・・
えーっと、展開した式どこかで見たことありますね。2次式です。それはわかっていると、ごめんなさい。その通りです・・・。
そうです。さっき因数分解したいといっていた式ではありませんか!!
ということは
$$x^2+4x-5=(x-1)(x+5)$$
とできるということでしょう。そうか、2次式こんな風に因数分解できるのですね。
・・・
というわけで白々しくここまでやってきましたが気を取り直してしっかりと考えてみます。
今見た通り2次式は\((x+\bigcirc)(x+\bigtriangleup)\)の形で因数分解できそうです。展開を考えると元の式の\(x^2\)の前の数字がないとき限定で今の話は使えそうです。
では\(\bigcirc\)、\(\bigtriangleup\)には何を入れればよいのでしょうか。展開を考えるとこうなりそうです。
\(\bigcirc\)、\(\bigtriangleup\)には足したら\(x\)の前の数字、かけたら定数の部分になる数字の組を探す
展開を考えるとこの結論に至ります。あとは探すのみです。それだけ。
物は試し、やってみましょう。例えば次の2次式の因数分解を考えます。
$$x^2-7x+12$$
これの場合、足して\(-7\)、かけて\(12\)になる数字の組です。さて何でしょうか。探したらさっきの空欄のところに入れるだけです。
答えは\(-4\)と\(-3\)ですね。たしかになっています。マイナスがあると厄介ですがこれは慣れです。たくさん問題をこなしましょう。
というわけで
$$x^2-7x+12=(x-3)(x-4)$$
と因数分解できました。めでたしです。
いったん広告の時間です。
たすき掛けをやってみる
ではこんな問題はどうでしょう。先ほどのやり方は通用しません。
$$2x^2-7x-15$$
厄介なのは\(x^2\)の前に数字があることです。これがあると例えば展開を考えたときに
$$(3x+2)(x+2)=3x^2+6x+2x+4=3x^2+8x+4$$
となり真ん中の\(x\)のところにも影響してくることが見えます。なので一筋縄ではいきません。
ですが「たすき掛け」という方法を使えば、この複雑に見える因数分解ができるのです。それはこんな風に書きます。
一番下に問題の式に出ている値がでているのがわかるでしょうか。順番が逆のところがありますので注意してください。ここがこの値になるように、上の値を変えていきます。ただし、条件があります、それは
左側の縦2列は値を置いたら掛け算をする
図に書かれているように、置いたらクロスして掛け算をする
一番右は足し算をする
です。確かにそうなっていることを確認してください。一番左は縦で掛け算して2が出てきています。真ん中の縦も\(3\times (-5)=-15\)ですね。上の左と真ん中の数字たちはクロスして掛け算します。\(2\times (-5)=-10\)と\(1\times 3=3\)のところです。それを計算したら一番右の列を足し算します。\(3+(-10)=-7\)ですね。
この一連の計算をしたときに一番下に元の式に現れている数字が得られればもうやることはおしまいです。ここからどこが答えになるかというと、こうなります
$$2x^2-7x-15=(2x+3)(x-5)$$
1列目と2列目がそのままカッコの中身になってくれるのです。
とここまで話してきましたが、複雑に見えます。なのでコツをまずは言いましょう。コツは
かけて\(x^2\)の前の数字、かけて定数の部分の数字の2組をまずは見つける
です。先ほどの例だとまず、かけて2、かけて-15のそれぞれ数字の組を見つけます。
かけて2は\(1\times 2\)しか思いつきません。
かけて-15は\(1\times (-15)\)、\((-1)\times 15\)、\(3\times (-5)\)、\((-3)\times 5\)が考えられますね。
そしてこれらの中で先ほどのたすき掛けの図を使ってうまく-7が出てくるものを考えるわけです。
例えば次の問題
$$3x^2-x-10$$
はどうでしょう。この場合はかけて3、かけて-10をまずは探します。3はいいとして、-10の場合は
$$1\times (-10),\ (-1)\times 10,\ 2\times (-5),\ (-2)\times 5$$
のパターンが考えられます。この中で-1が出てきてくれる形は
ですので、因数分解すると
$$3x^2-x-10=(3x+5)(x-2)$$
となります。おお、できました。
終わりに
今回は基本的な因数分解から、たすき掛けまでやりました。ここで出てきていることはどんどんできるようになってください。今後は「計算をしてください」と言われてた時にそれは「因数分解してください」と同じ意味になることが多くなります。要するにできて当たり前になってしまうのです。焦る必要はありませんがしっかりと取り組んでください。
少しやり方のみの説明になってしまいましたがここまで。
ではまた。
コメント