「高校数学の知識庫」を今より10倍活用する方法

短期間で6割!ベクトルの対策と考え方(使い方編)

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ここでは前回この記事で示した内分の公式をうまく使って未知のベクトルを求めることをしてみましょう。未知のベクトルを求めることはベクトルでの重要な問題です。これができるようにならないと応用問題は解けないので必ず身につけましょう。

まずはこの図を考えます。

点Cは線分OAを \(2:1\) に内分する点で、点Dは線分OBの中点です。

点Pは線分CB、DAの交点です。

求めたいのは \(\vec{OP}\) とします。全くもって手がかりがありませんね。

ですがベクトルの概念はこのなんの手がかりもない中で欲しいベクトルを求めることができる優れモノなのです。

必要なのは内分の公式と定数倍の公式だけ。こんな方法で求められるんだということを感じて欲しいと思います。

ではスタートします。

まず、根本にある考え方ですが、それは

欲しいベクトルを2つの違った条件で表す

ことです。今回は \(\vec{OP}\) が欲しいのですがその \(\vec{OP}\) を異なる2つの条件で表します。

その時に大事なのが

基本のベクトルで表す

ということです。ここでこのシリーズの一番最初に示したベクトルの基本概念が出てきます。

とにかく2つの基本ベクトルでほかのベクトルは表せるので、先ほど話した「2つの条件でベクトルを表すこと」を基本のベクトルを用いてできるはずです。

今回の問題では基本のベクトルとして \(\vec{OA}\) と \(\vec{OB}\) を選ぶと問題が考えやすいです。センターなどでは基本的には与えられるのでどれを選べばいいかという悩みは無用です。

次に考えるべきことは、いま欲しい \(\vec{OP}\) をなんとかして \(\vec{OA}\) と \(\vec{OB}\) で表す事です。今までの知識を使って表せるのでしょうか。

まず見て欲しいのは三角形OADです。この三角形をじっと見てみると点Pが三角形の線分の内分点になっており、まさに以前示した内分の公式の形になっているのです。

わかりづらい人のためにそこだけをくりぬいてみます。

しかし一つ問題が。この三角形は \(\vec{OA}\) は使っているのですが \(\vec{OB}\) を使っていません。このまま公式を使おうとしても \(\vec{OB}\) が出てこなさそうです

さてどうしたものか。ですがここで定数倍の関係が使えるのです。今使う \(\vec{OD}\) は \(\vec{OB}\) を使ってかけますよね。

$$\vec{OD}=\frac{1}{2} \vec{OB}$$

これはつまり

ODベクトルを使う=OBベクトルに直せる

ことを意味しています。ということは基本ベクトルの定数倍でかけるベクトルは使ってもちゃんと基本のベクトルに書き直せます

これをさらに考えると、一度基本のベクトルでかけたベクトルは新しいベクトルを考える際にいくらでも使っていいわけです。そのベクトルは基本のベクトルでかけているわけですから使っても全く問題ありません。

少しわかりづらい人はこのまま進んでください。少し見えてくるはずです。

前置きが長くなりましたが、実際に \(\vec{OP}\) を作ってみます。ここでさらに大事なことは

比を自分でおく

ことです。つまり自分自身で内分の公式を使えるようにするために比を文字を使っておきます。内分の公式の記事で確認した通り、全体を \(1\) として比を置きますので次のように置きます。

$$AP:PD=s:1-s$$

こうすることによって全体が \(1\) ですので公式を使うと

$$\vec{OP}=(1-s)\vec{OA}+s\vec{OD}$$

とかけます。\(\vec{OD}=\frac{1}{2} \vec{OB}\) ですので最終的に

$$\vec{OP}=(1-s)\vec{OA}+\frac{1}{2}s\vec{OB}$$

とかけます。\(\vec{OP}\) を2つの基本ベクトルを使って書くことに成功しました。

同じことをもう一つ見える三角形にも使ってみましょう。三角形OBCです。

もちろん比を置くのですが、先ほどとは違うので新しく置きます。今回は \(CP:PB=t:1-t\) としましょう。

すると先ほどと同じようにして

$$\vec{OP}=(1-t)\vec{OC}+t\vec{OB}$$

で、\(\vec{OC}=\frac{2}{3}\vec{OA}\) なので、

$$\vec{OP}=\frac{2}{3}(1-t)\vec{OA}+t\vec{OB}$$

が得られます。これで準備は完了です。同じ \(\vec{OP}\) を違う観点から2つの式で表しました。

ベクトルは同じ使っているベクトル(基本のベクトル)が同じということは、その係数は等しくないといけません。同じベクトルなのに違ったらおかしいです。

よって

$$\vec{OP}=(1-s)\vec{OA}+\frac{1}{2}s\vec{OB}$$

$$\vec{OP}=\frac{2}{3}(1-t)\vec{OA}+t\vec{OB}$$

より

$$1-s=\frac{2}{3}(1-t)$$

$$\frac{1}{2}s=t$$

という関係式が出ます。なんとこれは連立方程式になっているので自分でおいたはずの \(s\ ,\ t\) が出せてしまうのです。

計算すると

$$s=\frac{1}{2}\ \ \ ,\ \ \ t=\frac{1}{4}$$

これを \(\vec{OP}\) の式に代入すれば(どちらでもOK)

$$\vec{OP}=\frac{1}{2}\vec{OA}+\frac{1}{4}\vec{OB}$$

が出て未知の \(\vec{OP}\) を出すことができました。定数倍内分の公式を使うことで未知のベクトルを求めることができました。

ここで少し振り返ります。この問題で大事だったことは

同じベクトルを違う条件で書いた

ことにあります。今回は \(\vec{OP}\) を2つの三角形に注目して表しました。ただそれだけにもかかわらず未知のベクトルを求めることができる点にベクトルのすごさがあります。

とにかく平面であれば2つの条件さえ立てることができれば未知のベクトルを求めることができるということを記憶にとどめておいてください。

いったん広告の時間です。

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まとめ

今回の問題はベクトルに勉強をする際に欠かせないやり方、そして考え方が出てきました。ベクトルのほぼ全てがここに詰まっていますので理解できるまでなんども読み直してください。

 

未知のベクトルは異なる2つの条件から考えることによって求めることができる

・三角形に注目して出す今回の方法は一つの重要な例

・基本のベクトルで表すことがすべての基本

 

この3つが主なものです。読み返す時には意識してみてください。

ではまた。

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