「高校数学の知識庫」を今より10倍活用する方法

ベクトル方程式(直線)

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こんにちは。 da Vinch (@mathsouko_vinch)です。

 

 

ベクトルで直線を表せるのか

ベクトルは点を表すことができるということを以下の記事で示しました。

記事リンク

ということは2つの点を通る直線を表すことも可能なのではないでしょうか。

それが直線のベクトル方程式というものです。簡単に言うと

 

ベクトルで直線を書こうと思うとこんな考え方になります

 

ということを言っています。ですが間違ってはいけないことが一つあります。それは

 

成分表示すれば私たちの知っている直線の方程式が出てくる

 

ことです。要するにベクトルだけに通用するものではなく、かなり一般的な概念であることを意味しています。これができるから数学は面白いのです。

では、やることがわかったところで早速作ってみましょう。まず2つの点ABを用意します。その点の位置ベクトルを \(\vec{a}\) 、\(\vec{b}\) ベクトルとしておきます。

この2つの点を通る直線は次のようになりますね。

この直線をベクトルで表すにはどうしたら良いか、それは

 

直線上の点を位置ベクトルで表す

 

ことをすればよいです。要するに

ある始点からベクトルを考えた時に、その終点が直線上の点を表すような式を考えれば、その点の集まりが直線になります。

図で言うと次のように直線AB上の点Pを表す位置ベクトルを示せば、そのPが直線を表す式になっているのです。

難しく聞こえるかもしれませんがやることは単純です。要するにPは直線AB上に乗っていればいいのでベクトルで言うと

$$\vec{AP}=t\vec{AB}$$

が成り立っていればいいのです。 \(t\) は定数倍を表すための適当な文字です。直線上にある点は必ずこのようにかけたはず。新しいことは何もありません。

ではこれをPということがわかる形に変形してみましょう。要するに \(\vec{OP}\) を求めるということですね。始点を決めて(Oにしましょう)その始点からみます。

 

 

$$\vec{OP}-\vec{OA}=t(\vec{OB}-\vec{OA})$$

 

OPベクトルが私たちの欲しいベクトルですから

 

$$\vec{OP}=-t\vec{OA}+\vec{OA}+t\vec{OB}$$

 

より

 

$$\vec{OP}=(1-t)\vec{OA}+t\vec{OB}$$

 

のように変形すればこれが直線を表すベクトル方程式になるのです。もちろんこんな風に線分ABの外側に点Pがあっても同じ式になるので大丈夫です。

 

方程式が無事たちましたのでこれで終わりでもいいのですが、ほんとにこれが直線なの?!と思いたくなるので確認してみます。まずはこれを位置ベクトルで書いてみましょう。

実はこれはもう終わっていて、始点をOにしたので

 

$$\vec{OP}=\vec{p}\ ,\ \vec{OA}=\vec{a}\ ,\ \vec{OB}=\vec{b}$$

 

であります。なので書き換えれば

 

$$\vec{p}=(1-t)\vec{a}+t\vec{b}$$

 

になりますね。ではこれを成分表示してみます。\(\vec{p}\) は私たちがいつも考えている“変数”にあたりますから \(P(x,y)\) とおきましょう。すなわち、\(vec{p}=(x,y)\) ということですね。

他の点はわかっているので、そうですね・・・\(A(1,2)\) 、\(B(-3,-1)\) などとしてみましょう。図で言うとこんな直線の式が出てきてくれるはずですね。

では先程のベクトルでの直線の式に代入してみましょう。

 

イメージはこんな感じ。式は

 

$$(x,y)=(1-t)(1,2)+t(-3,-1)$$

$$(x,y)=(1-t,2-2t)+(-3t,-t)=(1-4t,2-3t)$$

 

ここから

 

$$x=1-4t\ ,\ y=2-3t$$

 

となりますね。この \(t\) は定数倍を表すために自分で勝手に入れたものなのであってはいけません。これを消去することで \(x\) と \(y\) の関係式になります。

 

$$x=1-4t$$

 

より

 

$$t=-\frac{x-1}{4}$$

 

なので代入すれば

 

$$y=2-3t=2-3\left(-\frac{x-1}{4}\right)=2+\frac{3x-3}{4}=\frac{3}{4}x+\frac{5}{4}$$

 

ほら、ちゃんと直線の式になったでしょう。ちなみに座標から普通に直線の式を求めると

傾きは

 

$$\frac{2-(-1)}{1-(-3)}=\frac{3}{4}$$

 

なので直線の方程式は

 

$$y-2=\frac{3}{4}(x-1)$$

 

から

 

$$y=\frac{3}{4}x+\frac{5}{4}$$

 

でちゃんと同じになりました。安心ですね。

 

以上のことをまとめると

 

2A\((a,b)\) B\((c,d)\) を通る直線のベクトル方程式は P\((x,y)\) を変数とし、\(t\) をつかって、

 

$$\vec{OP}=(1-t)\vec{OA}+t\vec{OB}$$

 

$$(x,y)=(1-t)(a,b)+t(c,d)$$

 

と書ける。

また、位置ベクトル表記にすれば

 

$$\vec{p}=(1-t)\vec{a}+t\vec{b}$$

 

 

です。

いったん広告の時間です。

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まとめ

今回はベクトルを使って直線の方程式を表しました。まずはどのようにその直線を定義するのかに慣れることが大事です。また、出てきた式は何も新しいものではなく、今までの直線の方程式の別の表記の仕方であることもお忘れなく。全く新しい概念ではないのでしっかりと意味を考え、自分のものにしてください。

ではまた。

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