点の存在範囲をわかりやすく
ベクトルの問題で皆さんが苦手にしているであろう分野の一つが点の存在範囲の問題なのではないでしょうか。
なぜならとにかくわかりにくいし抽象的だからです。
ここではいくつかの例をあげながらじっくりと存在範囲の問題について考えていきましょう。
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内分点の公式は一つの存在範囲の決定版?
まずは私たちに馴染み深い内分点の公式を考えてみましょう。実はこの式は存在範囲の一つの形になっています。公式をおさらいしてみますと
$$\vec{OP}=\frac{n}{m+n}\vec{OA}+\frac{m}{m+n}\vec{OB}$$
でした。少し見方を変えてみます。この式の点pは線分ABの内分点なので必ず線分AB上のどこかになりますね。
ということは逆に言うと「OPベクトルがこの公式のようにかける時、点pは線分AB上のどこかにある」と言うことができます。
また、内分点の公式において、式に出てくる係数部分を足してみると
$$\frac{n}{m+n}+\frac{m}{m+n}=1$$
が成り立っています。内分点考えると必ずこの式が成り立っています。
これを踏まえた上で次の式を見てみましょう。
ある点Pがあり、その点は次の式を満たします。
$$\vec{OP}=s\vec{OA}+t\vec{OB}$$
またこの式においてs、tは次の式を満たします。
$$s+t=1$$
この時点Pはどこに存在できるでしょうか。
これはまさに式の形が内分点の式とその条件そのものですので、図としては必ず
の線分AB上の何処かにいるはずです。いかかでしょうか。ベクトルで書くとこんな感じですね。
これで納得してもらえるということでも良いのですが、そもそもいつも出てくるこの標識
$$\vec{OP}=s\vec{OA}+t\vec{OB}$$
は何をしているのかを理解するとさらに理解が深まると思いますので考えてみましょう。
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2つのベクトルで点を表す
全てのベクトルは2つの基準のベクトルを決めればそれらを定数倍して足せば作ることができます。
それを式にすると
$$\vec{OP}=s\vec{OA}+t\vec{OB}$$
です。右辺にある \(\vec{OA}\) と \(\vec{OB}\) が先ほどで言う2つの基準のベクトルです。そして \(s\) 、\(t\) が基準のベクトルを何倍するかを決める値です。
例えば \(s\) 、\(t\) をそれぞれ
$$s=\frac{1}{2}\ ,\ t=1$$
とすると、結果的にできる \(\vec{OP}\)は
となります。点Pはこの \(s\) 、\(t\) によって場所が変化するわけです。
また \(s\) 、\(t\) を
$$s=\frac{1}{3}\ ,\ t=\frac{1}{3}$$
とすると
となります。こんな風にある2つのベクトルを基準に取れば、他のあらゆる場所にある点を
$$\vec{OP}=s\vec{OA}+t\vec{OB}$$
における \(s\) 、\(t\) で表せるわけです。この \(s\) 、\(t\)
$$s+t=1$$
の条件があるとPは先程学習した線分ABを内分する点となるのです。
例えば \(s=\frac{1}{3}\ ,\ t=\frac{2}{3}\) はたしかに \(s+t=1\) になりますが図を書くと
もちろん線分ABの内分点になってますね。これで式の意味とどこが対応しているのかがわかってきたでしょうか。
まとめ
この範囲はかなり抽象的で何をやっているのかを見失いがちです。ですが、式の意味と表す図形をイメージしてあげればものすごく難しいことをしているわけではありませんし、ベクトルの重要な考え方が詰まっています。
ではまた。
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