対数とはなにか
指数を学んだら対数を学びます。高校数学で指数と一緒についてくる対数とは一体なんなのか、それをここで解説したいと思います。
対数とは一言で表すと
指数の逆
です。逆というと何か反対というイメージが湧いてしまいますがどちらかというと指数だけでは対応できなくなったところを対数で補ったイメージです。
簡単に例を示します。例えばこの方程式を満たす \(x\) を考えられますか?
$$2^{x}=3$$
私たちが知っている数字を駆使してもこの答えは見つけられません。だいたいこれぐらいという検討はつきますが、正確な数字を言うことは不可能です。
この事情は平方根に代表される累乗根でもありました。例えば「3乗して \(2\) になる数字はよくわからないのでとりあえず
$$\sqrt[3]{2}$$
と書きましょう」としましたよね。
指数でも同じことを考えるのです。要するにこの
$$2^{x}=3$$
に当てはまる \(x\) をこういう記号で書くことにするのです。
$$\log_{2} 3$$
この記号は “ログ” と読みます。私たちはこの記号のことを対数と呼ぶことにするわけです。
実はこの対数、式を見るとちゃんと情報が書いてあることがわかります。
指数でいう底が対数の下の方に小さく書いてありますね。これは指数と同じように対数でも底と言います。右に書いてある数字は指数でいうと右辺ですね。これは指数でいうと計算した結果ですが、対数ではこの数字のことを真数と言います。
大事なことはこの指数の方程式
$$2^{x}=3$$
の答えである \(x\) が
$$x=\log_{2} 3$$
であることです。これを踏まえると、今まで指数で書いていた式を対数でも書けるようになります。
どういうことか説明しますね。例えば次の指数を含んだ式は当たり前の式です。
$$2^3=8$$
ですが今まさに学んでいる対数を使ってこの式を無理やり表すと
$$\log_{2} 8=3$$
になります。対応関係がわかりましたか?そうです。指数は対数でもかけるのです。逆に対数で書かれているものを指数で書くことももちろん可能です。
指数方程式の答えを無理やり表したものが対数でしたが、これで対数も一つの記法であることがわかります。
ですからこの対数同士の計算もできるはずですよね。その詳細をここからは見ていきたいと思います。
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対数法則を理解する
対数をもう一度確認しておきましょう。対数は
$$\log_{a} b$$
の形で表されて、\(a\) を対数の底、\(b\) を真数と言うのでした。ここで一つ大事なことを言っておきましょう。
この真数ですが必ずプラスになります。なぜかは指数とに対応関係を見れば一発です。
指数と対数は次のように結ばれていますね。
$$a^{x}=b$$
$$x=\log_{a} b$$
これをみるとわかるように、真数にあたる部分は指数でいうと指数を計算した結果です。もちろん累乗した値はプラスですね。
ですから必ず真数はプラスです。後々嫌という程出てくるのでおさえておいてください。
話を戻しましょう。対数という記号を作ったからにはその和や差、積や商の計算方法をしっかりと考えておくべきです。対数の一連の計算ルールを対数法則と言います。ルートなどでもそうでしたし、指数でも指数法則を考えましたよね。
ではやってみます。例えば
$$\log_{2} 3 +\log_{2} 5$$
のような対数の和は計算をどうすればいいのでしょうか。これについては別の記事で導出をしていますので(ここでやるとこの記事が長くなりすぎそうなので書いていません笑)ぜひ参考にしてください。導出はもちろん重要です。ですが対数の計算に慣れるためにもまずは次のことをしっかりと呪文のように頭に刻み込んでください。それは
対数の足し算は真数の掛け算
対数の引き算は真数の割り算
です。一度わかったら導出から考える必要はありません。数学は一度保証されたものはどんどん活用していくことが重要ですから。導出は
に載せていますので参照ください。
例に行く前に1つ気をつけて欲しいことがあります。それは必ず計算する対数の底が同じでなくてはならないことです。結構間違えるポイントなので気をつけてください。
では少し例をあげましょう。
例えば
$$\log_{2} 3 +\log_{2} 5$$
は対数の足し算の性質を使えば
$$\log_{2} 3 +\log_{2} 5=\log_{2} (3\times 5)=\log_{2} 15$$
とできますね。もちろん
$$\log_{2} 18 -\log_{2} 3$$
は引き算の性質を使えば
$$\log_{2} 18 -\log_{2} 3=\log_{2} (18\div 3)=\log_{2} 6$$
です。不思議な感じですが、簡単ですね?
さてここで対数について非常に重要な性質を2つ示します。それは
$$\log_{a} b^{c}=c\log_{a} b$$
と
$$\log_{a} a=1$$
です。1つ目は言葉で言うと
真数が累乗の形ならその肩の数字を対数の前に持ってきて良い
ということです。これは今後ものすごく使う大事な性質です。もちろん証明はできます。この証明も先ほどの記事にまとめておいたので気になる方はぜひ見てください。
https://math-souko.jp/post-3359/
また2つ目は言葉で言うと
真数と底が同じ対数は \(1\) である
となります。これは実は管理人はものすごく使います。どう使うかは計算練習&先ほど紹介した記事のところでお話ししますが、管理人は数字を対数にするときに多用します。使い方は別記事で。
ひとまず例を挙げておきましょう。例えば
$$\log_{2} 16$$
は何になるかを考えてみます。実はこの対数は対数で考える必要がないただの数字です。それは指数に直して考えるとわかります。今欲しいのはこの式の値なので
$$\log_{2} 16=x$$
として \(x\) は何かを考えます。対数の関係式は指数に直せるので
$$2^{x}=16$$
ですよね。対数と真数の関係を思い出してください。よって、ここから
$$x=4$$
とわかります。ですが、先ほど紹介した2つの性質を使うことで機械的に計算ができてしまいます。
やってみましょう。まずは真数を累乗に直します。
$$\log_{2} 16=\log_{2} 2^{4}$$
いいですね。1つ目の性質から肩の数字は前に落とせるので
$$\log_{2} 2^{4}=4\log_{2} 2$$
となります。さらに、真数と底が同じなので2つ目の性質を使えば
$$4\log_{2} 2=4\times 1=4$$
となりある意味何も考えずに計算ができますよね。
これが2つの性質の威力ですがまだまだ使いどころはたくさんあります。それは学習を進めていけばわかるでしょう。
長々と書いてきましたがとにかくここで抑えて欲しいことは
- 対数の足し算は真数の掛け算
$$\log_{a} b +\log_{a} c =\log_{a} bc$$
- 対数の引き算は真数の引き算
$$\log_{a} b +\log_{a} c =\log_{a} (b\div c) =\log_{a} \frac{b}{c}$$
- 真数が累乗なら肩の数字を対数の前に出せる
$$\log_{a} b^{c}=c\log_{a} b$$
- 真数と底が同じ対数は1
$$\log_{a} a=1$$
この4つです。これさえわかっていれば対数の計算はできます。本当です。長くなりましたがここまでにします。読んでくださった方ありがとうございます。
まとめ
対数は指数から生まれた記号ですが、その性質はやはり指数と似て少し計算が面倒です。まずは性質をしっかりと理解した上で使い方をマスターしましょう。
ではまた
コメント
こんにちは、誤字を見つけたのでご報告です。
4log22=2×1=4
←途中の計算式の数字
•対数に引き算は真数の引き算
←対数の引き算は真数の割り算
解説がとてもわかりやすくて助かっております。今後もよろしくお願いします。
コメントありがとうございます!誤植のご連絡大変助かります!
指摘していただいたところを訂正いたしました。また何かあればよろしくお願いいたします。
大変うれしいお言葉です。今後の記事更新の原動力になります!!
当サイトで高校数学の理解が深まればそれ以上の喜びはありません!!
これからも当サイトをよろしくお願いいたします!
da Vinch