ここでは対数の性質をしっかりと証明したいと思います。正直なところ管理人は一度理解したら機械的に計算できるようになることが次のステップだと思っているので、まずはこんな感じなんだと思えればOKです。
対数には次のような性質がありました
- 対数の足し算は真数の掛け算
$$\log_{a} b +\log_{a} c =\log_{a} bc$$
- 対数の引き算は真数の割り算
$$\log_{a} b +\log_{a} c =\log_{a} (b\div c) =\log_{a} \frac{b}{c}$$
- 真数が累乗なら肩の数字を対数の前に出せる
$$\log_{a} b^{c}=c\log_{a} b$$
- 真数と底が同じ対数は1
$$\log_{a} a=1$$
これらを順に証明していきます。その後、特に3、4番の性質を使えばどんな数字も自分の好きな底の対数にできることを示します。これはとても便利なので抑えておくと計算の方針がぐっと立てやすくなります。
では証明スタートです。
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1つめ&2つ目:対数の足し算と引き算の性質
まず、手がかりとして私たちは指数法則を知っているので、指数に直せればなんとかなるかもしれませんね。
それを踏まえて一旦2つの対数を
$$\log_{a} b=x$$
$$\log_{a} c=y$$
とおきましょう。すると計算したい式は
$$\log_{a} b +\log_{a} c=x+y$$
になります。ところで対数の関係式は指数に直せますから
$$\log_{a} b=x$$
より
$$a^{x}=b$$
$$\log_{a} c=y$$
より
$$a^{y}=c$$
とできますよね。では、ここでこの2つの指数を掛け算してみましょう。なぜかというと、指数は掛け算すると一緒にできるからです。
$$b\times c=a^{x} \cdot a^{y}=a^{x+y}$$
こうなりますね。では今計算した結果を対数にまた戻してみます。
$$x+y=\log_{a} (b\times c)$$
できましたね。もちろん置いたものは元に戻してあげれば
$$\log_{a} b +\log_{a} c=\log_{a} (b \times c)$$
が出てきました。
引き算も同じように考えます。途中からになりますが、割り算を考えて、
$$b\div c=a^{x} \div a^{y}=a^{x-y}$$
ですから、ここから
$$x-y=\log_{a} (b\div c)$$
になります。文字を戻せば
$$log_{a} b -\log_{a} c=\log_{a} (b\div c)$$
です。これで証明ができました。使ったのは指数法則です。指数から出てきた記号なので当たり前といえば当たり前ですかね。
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3つ目:対数の真数に関する性質
これは今証明した1つ目の性質を使えば証明できます。対数の足し算は真数の掛け算でしたので、それを逆に使いましょう。
どういうことかというと
$$\log_{a} b^{c}$$
という式はこう考えることもできます。
$$\log_{a} b^{c}=\log_{a} (b\times b\times \cdots \times b)$$
真数の部分を \(b\) が \(c\) 回掛けられたものと考えるのです。累乗の意味はそうでしたよね。
これに1つ目の性質を使えば真数の掛け算は逆に対数の足し算にできるので
$$\log_{a} (b\times b\times \cdots b)=\log_{a} b +\log_{a} b +\cdots+\log_{a} b$$
と \(\log_{a} b\) が \(c\) 個足される形にできます。これをまとめれば
$$\log_{a} b +\log_{a} b +\cdots+\log_{a} b=c\log_{a} b$$
で証明完了です。意外と楽でしたね。
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4つ目:対数の基本的な性質
これは指数に直せばすぐにわかります。
$$\log_{a} a=x$$
とおいてあげて、指数に直してみます。すると
$$a^{x}=a$$
となるので明らかに \(x\) は1ですよね。ですから
$$\log_{a} a=1$$
です。対数の基本的な性質ですが、非常に大切な性質です。
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対数の性質を上手に使うためには
冒頭に言っていた3、4の性質のすごさをここで説明しましょう。例えば
\(3\) を底が \(5\) の対数に直してください
と言われて一瞬で出来る人は多くないはずです。
「指数と対数はこんな関係だったから・・・」
と考えてしまいますよね。
ですが3つ目と4つ目の性質を使えばいい意味で何も考えずにこの数字を好きな底の対数にすることができます。
どうやるかと言うと数字を
$$3=3\times 1$$
とみます。そしてこの \(1\) の部分を好きな底の対数で書くのですが、 \(1\) は
$$1=\log_{5} 5$$
と書いてもいいですよね。4つ目の性質から言えます。ですから
$$3=3\times 1=3\log_{5} 5$$
と無理やり書くことができます。そして3つ目の性質から対数の前にある数字は真数の肩に乗せることができるので
$$3=\log_{5} 5^{3}$$
となり、真数を計算すれば
$$3=\log_{5} 125$$
になります。つまり、数字は今の手順を踏めば必ず対数の形にできるのです。これは対数の計算をする上でとても便利ですし、これができれば自在に対数を扱うことができます。
もちろん知っているだけでは勿体無いので計算練習は欠かせません。対数を簡単にするのか、それとも数字を対数にするのかはもちろん状況によって変化しますからね。
まとめ
今回は対数の性質の証明をし、その性質が便利であることが少しでもわかれば十分でしょう。計算をやり始めた時にここで学んだことが使えるようになった時、対数って意外と簡単だと感じると思います。わからなくなったらここまで戻ってきてください。
ではまた
コメント
すんなり納得出来ました!
ありがとうございます
コメントありがとうございます!管理人のダ・ヴィンチです。
サイトを見てくださりありがとうございます!大変嬉しいです!この記事の内容を理解されたということで、僕としても勉強の一助になれてとても光栄です!
これからも当サイトをよろしくお願いいたします!!
[…] 対数法則の証明&性質の上手な使い方 こんにちは。 da Vinch (@mathsouko_vinch)です。 ここでは対数の性質をしっかりと証明したいと思います。正直なところ管理人は一度理解したら機械的 […]