対数でも指数であったような
置き換え
を用いた方程式、不等式が存在します。ここではその解説を行なっていきます。
ちょっとした朗報ですが、実は対数バージョンの置き換えタイプは指数より少し楽です。なぜなら指数で難しかった「見方を変えて考える」ことをしなくて済むからです。
要するに対数の場合は明らかに置き換えであることがわかります。それは
$$(\log_{2} x)^2$$
が出てくるからです。この
対数自体を2乗する形
は私たちにとってこれ以上どうすることもできません。真数の肩に数字があるわけではありませんし、対数同士の掛け算の対数法則はありませんね。
ですからこの形が出てきたらほとんどの確率で置き換えが必要です。そして、見るべきところはむしろこちらではなく別にありますのでそこを中心に解説しましょう。
では問題を解いてみます。まずは方程式です。
まず見てわかるのは、対数自体の2乗があるので普通には解けず、置き換えをしなくてはいけないことです。ですので式の一番左にある \((\log_{2} x)^2\) は置いておいて真ん中にある対数に注目します。
大事なことはこの式を将来的には \(t=\log_{2} x\) で置き換えたいのですが、真ん中はまだ置き換えることができないことです。なぜなら真数が違うからです。
真数が5乗になっていることが確認できますね。これではもちろん置き換えができません。
どうするか。もうみなさんはできますね。そうです、真数にある肩は対数の前に置けるのでした。
ですから式は
$$(\log_{2} x)^2-5\log_{2} x -24=0$$
とでき、これで置き換えができます。 \(t=\log_{2} x\) とおくと
$$t^2-5t-24=0$$
となり2次方程式ですね。これを解く前に一つ注意を。まず、対数なので真数条件を忘れないでください。また、置き換えた文字の範囲の確認も忘れずに。
今回は真数条件は
$$x>0$$
で、置き換えた文字は対数でした。もちろん \(x\) は \(0\) より大きいという条件だけなので対数自体は全ての数字を取れます。
ですので \(t\) には範囲がありませんね。すなわち
\(t\) は全ての実数
です。特に何も考えずに計算を進めていいということです。
ここまできたらあとは大丈夫でしょう。2次方程式を解いて
$$t^2-5t-24=(t-8)(t+3)=0$$
より答えは
$$t=-3\ ,\ 8$$
です。もちろん置き換えた文字を戻して
$$\log_{2} x=-3\ ,\ 8$$
ですのであとは対数の方程式を解くだけです。
対数に直せば
$$\log_{2} x=-3=-3\log_{2} 2=\log_{2} 2^{-3}=\log_{2}{\left(\frac{1}{8}\right)}$$
$$\log_{2} x=8=8\log_{2} 2=\log_{2} 2^{8}=\log_{2} 256$$
なので答えは
$$x=\frac{1}{8}\ ,\ 256$$
です。置き換えをしっかりできればなんてことはないはずです。
では次は不等式に行きましょう。置き換えまではやることは一緒なので難しくありませんよ。
今回は
を解いてみます。置き換えは
$$t=\log_{\frac{1}{3}} (x-2)$$
でしたいので、変形します。
$$\log_{\frac{1}{3}} (x-2)^2=2\log_{\frac{1}{3}} (x-2)$$
なので
$$-(\log_{\frac{1}{3}} (x-2))^2 +2\log_{\frac{1}{3}} (x-2) +3<0$$
です。マイナスが一番前にあるのが少し嫌なので全部にマイナスをかけます。不等号の向きが変わるので注意です。
$$(\log_{\frac{1}{3}} (x-2))^2 -2\log_{\frac{1}{3}} (x-2) -3>0$$
あとは \(t=\log_{\frac{1}{3}} (x-2)\) で置き換えて、
$$t^2 -2t-3>0$$
できましたか?真数が少し変な感じですが全く同じですので気にしないでください。
ここまできたら真数条件と文字の範囲の確認です。
真数条件は
\(x-2>0\) より \(x>2\)
で \(t\) に関しては制限はありません。真数条件はあとで使うのでしっかり確認しておきます。不等式では特にです。
では二次不等式を解きますよ。
置き換えたあとは
$$t^2 -2t-3>0$$
ですので
$$(t+1)(t-3)>0$$
と変形して不等号の向きに注意すれば
$$t<-1\ ,\ t>3$$
となります。ここまでは大丈夫ですね。
では置き換えた文字を戻します。戻すと
$$\log_{\frac{1}{3}} (x-2) <-1$$
$$\log_{\frac{1}{3}} (x-2) >3$$
が得られます。ここまできて変なことをしてしまう人が多いのですが、やることは対数の不等式を解くだけです。もちろん数字を対数で表すのですね。
$$\log_{\frac{1}{3}} (x-2) <-1=-\log_{\frac{1}{3}} \frac{1}{3}=\log_{\frac{1}{3}} \left(\frac{1}{3}\right)^{-1}=\log_{\frac{1}{3}} 3$$
$$\log_{\frac{1}{3}} (x-2) >3=3\log_{\frac{1}{3}} \left(\frac{1}{3}\right)=\log_{\frac{1}{3}} \frac{1}{27}$$
あとは底をみて不等号の向きに注意します。今回は底が1より小さいので不等号の向きを逆にして、
$$x-2>3$$
$$x-2<\frac{1}{27}$$
より
$$x>5\ ,\ x<\frac{55}{27}$$
です。最後に注意してほしいことは真数条件を忘れないことです。今回は
$$x>2$$
ですので最終的な答えは
$$x>5\ ,\ 2<x<\frac{55}{27}$$
となります。真数条件に必ず注意してください。
不等式も注意するところをしっかりとみてあげれば指数と同じですよね。そう感じられればもう問題ないでしょう。
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まとめ
対数に関する方程式、不等式の代表はこの記事で解説した形です。指数でやっていればすんなり入るはず?なので、ぜひ指数の形と見比べたり参考にしながら勉強を進めてみてください。きっとおんなじだと思うはずです。
ではまた
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