シグマ記号の証明
さて、以前こちらのページで和の公式を紹介しましたが、証明を全くせずに『とりあえず覚えて使ってください』というなんとも勝手な言い方をしていました。
ですので今回はしっかりと証明を行い、この記事以降は煩わしさ抜きに公式を使ってもらおうと思います。
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二乗の和の公式の証明
まずは二乗から考えていきましょう。そもそもどんな和を考えるのだったかというと
$$\sum_{k=1}^n k^2=1^2+2^2+3^2+…+n^2$$
でした。考えることは『二乗の和が出てくるような上手い形の式がないか』です。ここで見るべきなのは次の恒等式です。
$$(k+1)^3-k^3=3k^2+3k+1$$
これは
Focusもしある関数 \(f(x)\) が \(f(k)\) が \(m\) 次式であるとすると、\(f(k+1)\) から \(f(k)\) を引くと残る式は \(m-1\) 次式である
という命題を反映している式です。実際に左辺と右辺をそれぞれ計算すると等しくなることが確認できます。上の式を実際に当てはめてみると
\(f(x)=x^3\) とすればこれは 3次式ですが、
\(f(k+1)-f(k) =(k+1)^3 -k^3\)
を計算することになり、
\(f(k+1)-f(k) =(k+1)^3 -k^3=3k^2 +3k +1\)
確かに2次式になりましたね。
というわけで、これを認めて先に進むことにします。
次に順番に整数を入れた形を考えます。足すのは\(n\)までです。それらを左辺、右辺それぞれで足してみます。こういうことですね。
さて、右辺を見てみます。すぐに気づくと思いますがほとんどが消えて無くなります。残るのは
$$(左辺)=(n+1)^3-1^3=(n+1)^3-1$$
だけです。では問題の右辺。右辺はこう考えるといいでしょう。
$$(右辺)=3\{n^2+(n-1)^2+…+2^2+1^2\}+3\{n+(n-1)+…+2+1\}+(1+1+…+1+1)\nonumber$$
そうすると最初のまとまりは今まさに計算したい二乗の和であり、次のまとまりはすでに計算した初項1、公差1の等差数列。その次は1が\(n\)個あるのでもちろん\(n\)です。ということは整理すると
$$(右辺)=3\sum_{k=1}^n k^2+3\cdot\frac{1}{2}n(n-1)+n$$
となりますね。というわけでこのような式が得られます。
$$(n+1)^3-1=3\sum_{k=1}^n k^2+\frac{3}{2}n(n-1)+n$$
これを変形して、
となります。これで証明できました。証明方法が入試に出たこともあるようなので、覚えておいても損はないと思います。ですが、最初のうちはまず公式を覚えて使えることが大事ですのでそこは間違えないように。
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三乗の和の公式の証明
実は、三乗の公式は2乗の公式を知っていてかつ、その証明方法を知っていれば作れてしまいます。なぜかというと、先ほど使った恒等式を四乗verにして同じように考えればよいのです。
要するにこの式を使います。
$$(k+1)^4-k^4=4k^3+6k^2+4k+1$$
これに関しては二乗の公式と同じようにできるので、ぜひ自分でやってみてくださいね。後々後付けとして答えを載せます。結果は
$$\sum_{k=1}^n k^3=\frac{1}{4}n^2(n+1)^2=\left(\frac{1}{2}n(n+1)\right)^2$$
となり、一乗の和の公式の2乗になっていることが確認できるはずです。
終わりに
ここまでやってきてことは正直なところ必須ではありません。ですが公式を「安心して使う」、「理解して使う」という観点からは大切だと管理人は考えていますのでぜひここでやったことは頭に残しておいてください。和の記号は数列の一つ目の難関です。乗り越えれば光が見えてきます。
ではまた。
コメント
途中赤字で、「ある関数のn+1次式からn次式〜」とありますが、正しくは、
「ある関数f(x)について、f(n)がm(mは自然数)次式のときは、f(n+1)-f(n)は(m-1)次式」
ではないでしょうか?
間違っていたらすみません。
まずはサイトを見てくださり本当にありがとうございます!そしてコメントありがとうございます!
指摘していただいた点について、その通りです。書き方が曖昧で誤解を与えてしまったらすみません。訂正させていただきました。
この質問があるということはとてもよく理解していらっしゃるということだと思いますので僕のサイトがお役に立てる場面は少ないかもしれませんが、是非今後ともよろしくお願いします!!