等差数列と等比数列の組み合わせ
第2弾は変わった解き方をする和の形です。等差数列と等比数列の積が数列になっているパターンです。例えば
$$S=1\cdot 1+2\cdot 3+3\cdot 3^2+\cdots +n\cdot 3^{n-1}$$
のような形です。変な形なので目につきやすいとは思います。
解法は、初めてやった時にはまず思い浮かばないやり方になってしまうのでとっつきにくいと思います。
ですが教科書にも載っているぐらいですからいやいやながら出来なければなりません。
最初のやり方だけわかればあとは今までの知識の組み合わせですから、恐れることはありませんよ。
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等比数列の公比に注目
さて、早速やり方を説明します。簡単に言うと
等比数列の部分の公比を両辺にかける
です。これをやるだけで準備は万端です。
やってみましょう。先ほどの数列の和を例にとります。
まず等比数列部分の公比を見ると、3になっているので何も考えず、とりあえず3を両辺にかけます。すると
$$3S=1\cdot 3+2\cdot 3^2+3\cdot 3^3+\cdots +(n-1)\cdot 3^{n-1}+n\cdot 3^n$$
となります。
次に以下のように並べ、上の式から下の式を引きます。引き算が最初は慣れないと思うので必ず自分で計算してくださいね。やってみると
となり、一部見たことのある形が出てくるはずです。そう、等比数列の形が出てくるわけです。ずらしているのはこの形を出すためだったわけですね。
ここで次の部分に注目します。
$$1\cdot 3+1\cdot 3^2+1\cdot 3^3+\cdots +1\cdot 3^{n-1}$$
これはさきほど言った通り等比数列の和の形になっていますが、果たして初項、公比、項数は何でしょうか。
実はこれを考えることがこの問題でミスするかしないかを分けます。多くの場合ここで間違えて解答と合わないです。
しっかりと見ていきましょう。まず初項は何でしょうか。1に惑わされないでください。初項は3ですね。
次に公比。これは大丈夫でしょう。3です。見れば一発です。
最後に項数。これが問題です。これを\(n\)個と思ったらもう一度考え直しましょう。公比に注目するとわかりやすいです。初項は3の1乗、2項目は3の2乗、最終項は3の\(n-1\)乗ですから、結果として1から\(n-1\)まであるということになります。よって\(n-1\)個になるわけです。
というわけで、やっと等比数列の和の公式を使えます。公式に今の値を当てはめて、
$$-2S=1\cdot 1+\frac{3(3^{n-1}-1)}{3-1}-n\cdot 3^n$$
となりますね。あとはこれを変形して
$$-2S=1+\frac{1}{2}\cdot 3^n-\frac{3}{2}-n\cdot 3^n$$
\(3^n\)でくくって
$$-2S=\left(\frac{1}{2}-n\right)\cdot 3^n-\frac{1}{2}$$
\(-2\)で割ります。
$$S=\frac{1}{2}\left(n-\frac{1}{2}\right)\cdot 3^n+\frac{1}{4}$$
あとはお好みです。
$$S=\frac{1}{4}\left(2n-1\right)\cdot 3^n+\frac{1}{4}$$
これで和が求められました。
さてここまで実際に計算をしてきましたが、重要なポイントは
1. まず形を見て(等差)(\(\times\))(等比)であることを確認する。
2. 等比数列部分の公比を両辺にかける
3. 引き算をした後の等比の和を間違えない
というところです。あとは練習あるのみ!
終わりに
今回はよく出てくる和の形で特殊な(等差)(\(\times\))(等比)のパターンを学習しました。やり方と、計算方法がとても大事なものとなっているので練習をたくさんして慣れてください。よくある形はとにかくしっかりと理解した後に演習を積むことができるようになる一番の道です。めんどくさがらずにやれば必ず成果は出ます。
ではまた。
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