数列の和にはどんな情報があるのか
数列の和は数列のそれぞれの項の和でした。
等差数列や等比数列など、特徴が顕著に現れる数列では和の公式を考えて簡単に求めることができましたし、和の記号シグマを用いることによってある程度機械的に計算できるようになりました。
では逆に数列の和がわかっている時に数列それ自身の特徴をつかむことは可能なのでしょうか?
数列は一般項を求めることが大事ですからすなわち
数列の和から数列の一般項を求められるのか
ということが問題になってきます。今回はこのことについて深く考えます。
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数列の和から数列の一般項
早速本題に入ります。数列の和は元の数列の一般項anを使うと
$$S_{n}=a_{1}+a_{2}+a_{3}+\cdots +a_{n-1}+a_{n}$$
とかけます。ここでいま考えた和から最後の一つを除いた和も考えてみます。
$$S_{n-1}=a_{1}+a_{2}+a_{3}+\cdots +a_{n-2}+a_{n-1}$$
となります。Snの記号を使いましたがこれは『初項からn番目までの数列の和をとります』という意味です。なので\(S_{n-1}\)は\(n-1\)番目までの和をとりましょうという意味になります。
次にこの2つの式をじっと眺めてみましょう。そうすると上の式に一般項があると思います。\(a_{n}\)ですね。この一般項だけ取り出すにはこんなことをしてみてはどうでしょうか。
$$S_{n}-S_{n-1}$$
すると、なんと
$$S_{n}-S_{n-1}=(a_{1}-a_{1})+(a_{2}-a_{2})+\cdots +(a_{n-1}-a_{n-1})+a_{n}=a_{n}$$
という式が出てきました。これは和の式の\(n\)番目までの和から\(n-1\)番目までの和を引くと一般項が出てくる式になっています。すなわち
和の式がわかる=その数列の一般項がわかる
ことを意味していますね。こんなに簡単に一般項が和から求められてしまうのです。
まとめると
初項からn番目までの和\(S_{n}\)を用いて
$$S_{n}-S_{n-1}=a_{n}$$
である。
と言えます。
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公式を使うときの注意
この公式を使うときには少し注意しなければならないことがあります。それは階差数列でもありましたが、
\(n=1\)は別で考えなければならない
ことです。なぜなら\(n=1\)とすると上の公式は
$$S_{1}-S_{0}=a_{1}$$
となり\(S_{0}\)というわけのわからないものが出てきてしまうからです。
よって上の公式は\(n\ge 2\)の条件で使うことになります。
しかしひとつ押さえてほしいのは、単純に
$$S_{1}=a_{1}$$
であることです。\(S_{1}\)はもちろん初項から初項までの和ですから、要するに初項ですね。
これもふまえた上でまとめると
初項から\(n\)番目までの和\(S_{n}\)を用いて\(n\ge 2\)の時
$$S_{n}-S_{n-1}=a_{n}$$
であり、また
$$S_{1}=a_{1}$$
である。
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ちょっと例題
例えばある数列の和が以下のように与えられているときに一般項を求めてみます。
$$S_{n}=n^2+2n$$
まず\(n\ge 2\)のとき、
$$a_{n}=S_{n}-S_{n-1}=n^2+2n-[(n-1)^2+2(n-1)]=n^2+2n-(n^2-1)=2n+1$$
また和の式から
$$a_{1}=S_{1}=1^2+2=3$$
です。今求めた一般項は
$$a_{n}=2n+1$$
でありここから
$$a_{1}=2\cdot 1+1=3$$
であるので、わざわざ分けて書く必要がなさそうです。よってほしい一般項は
$$a_{n}=2n+1$$
と求められるわけです。
終わりに
和の形が出ていると簡単に一般項が求められますが、注意しなければならない点は忘れないようにしましょう。特に記述式では細かいところが問われることがあるので侮ってはいけません。
ではまた。
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